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モルディブのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、モルディブのトウモロコシ生産量は過去数十年間で大きな変動を経ながら徐々に増加しました。1960年代には年あたり数トン程度だった生産量が、2000年代以降では飛躍的に増え、2018年には151トンに達しました。その後、2022年までの間は概ね147〜151トンの範囲で横ばいの傾向が続いています。

年度 生産量(トン)
2022年 147
2021年 148
2020年 147
2019年 147
2018年 151
2017年 143
2016年 146
2015年 142
2014年 140
2013年 140
2012年 130
2011年 116
2010年 107
2009年 94
2008年 90
2007年 82
2006年 80
2005年 80
2004年 84
2003年 80
2002年 60
2001年 61
2000年 50
1999年 43
1998年 35
1997年 57
1995年 2
1994年 4
1993年 4
1992年 4
1991年 2
1990年 4
1989年 3
1988年 3
1987年 1
1986年 3
1985年 3
1984年 3
1983年 4
1982年 6
1981年 8
1980年 7
1979年 9
1978年 8
1977年 13
1976年 14
1975年 24
1974年 30
1973年 4
1972年 1
1971年 1
1970年 5
1969年 22
1968年 20
1967年 24
1966年 4
1965年 4
1964年 4
1963年 4
1962年 3
1961年 3

モルディブは、インド洋に位置する島国で、天然資源の乏しい小国として知られています。このため農業は伝統的に食料の供給手段というよりも経済的に重要な産業ではありませんでした。しかし、トウモロコシの生産に関して、1961年当初のわずか3トンから徐々に生産量の変動を見せ、2000年代に入ると急激に生産量が増加し始めました。特に2010年代以降は、トウモロコシ生産量は安定した増加を示し、2022年には147トンに達しました。

この増加傾向は農業技術の改善や気候条件の影響、さらには地域の食糧安全保障を意識した施策によるものと考えられます。また、小規模ですが持続可能な農法を取り入れたり、収穫効率を上げるための研究が進められたことも寄与しています。同じく島国で資源制約が類似しているフィジーやセーシェルなどと比較しても、この進展は注目に値します。ただし、総量で見ると、モルディブのトウモロコシ生産は世界規模での生産量と比較すると極めて小規模であり、自給自足には程遠いレベルにあります。

過去には生産量が一時的に下降する年もありました。1970年代前半や1980年代後半には生産量が減少しており、特に1971年には1トンまで落ち込みました。これらの要因には、当時の技術やインフラの不足に加え、自然災害や土壌劣化が影響を与えた可能性が考えられます。さらに、モルディブの気候はモンスーンに影響を受けやすく、洪水や干ばつなどの気候変動も作物生産量に不安定性をもたらしています。

地域的な課題として、モルディブの土地不足や土壌の肥沃度の低さが挙げられます。これに加え、気候変動による海面上昇が農地の喪失リスクを高めています。これらの地理的な制約から、モルディブは食料輸入への依存度が高く、トウモロコシの生産も完全に国内需要を満たすには至っていません。この現状は各国間での食料価格競争の激化による影響を受けやすく、食料自給率の向上が重要課題となっています。

この状況を踏まえ、モルディブではいくつかの具体的な対策が必要です。例えば、灌漑システムを導入して水供給を安定させることや、耐塩性の高い品種の研究・導入を進めることが効果的です。また、技術支援を提供する国際機関や周辺国との協力を強化することが、持続可能な農業の確立に寄与するでしょう。さらに、農業の従事者への教育やトレーニングプログラムの実施も重要です。

結論として、モルディブのトウモロコシ生産量は近年で一定の進展を見せていますが、依然として大きな課題を抱えています。持続可能な農業モデルの開発、技術革新の導入、そして国際協力を通じた資源の最適利用が進めば、安定した農業生産が可能になり、食料安全保障の向上にもつながると考えられます。この方向性に基づき、モルディブが引き続き農業分野での努力を進めることが期待されます。