ソルテア

ヨーロッパ / イギリス / 文化遺産

基本情報

遺跡名称	ソルテア
遺跡名称(英語)	Saltaire
国名	イギリス
登録区分	文化遺産
登録基準(登録基準とは)	(ii)(iv)
世界遺産登録年	2001年
資産面積	20ha

世界遺産「ソルテア」の登録理由や特徴について

サルタイル（Saltaire）は、イギリスのウェスト・ヨークシャーに位置する、19世紀後半の産業村であり、その保存状態は極めて良好です。この村は、テキスタイル産業が盛んな時代に建設され、産業革命を象徴する重要な地域として認知されています。サルタイルを設計・建設したのは、資本家で慈善家でもあったトーマス・バリントン（Thomas Bartlett）です。彼は、労働者の生活環境を改善することを目的として、この村を発展させました。

サルタイルの特徴的な点は、その美しい建築様式と統一された都市計画です。すべての建物は高い建築基準に従って設計されており、公共の建物や労働者の住宅群は、バラエティに富んだ美的感覚を持っています。特に、サルタイルのテキスタイル工場は、ヴィクトリア朝時代の工業建築の典型ともいえる存在で、地域の歴史的価値を物語っています。

村全体がよく保存されているため、訪れる人々は当時の社会制度や労働環境、さらには市民生活の様子を垣間見ることができます。サルタイルは、歴史的な背景から見ても、単なる工業地域以上の意味を持っています。ここでは、ヴィクトリア時代の慈善主義的な父性愛（philanthropic paternalism）が顕著に表れ、労働者たちに対する配慮が随所に見受けられます。

サルタイルの全体的なデザインは、歴史的な価値が高いだけでなく、今もなお人々に影響を与える社会実験としての側面を持っています。この村は、2010年にユネスコの世界遺産に登録されました。これにより、サルタイルの独自性とその保存の重要性が国際的に認められることとなりました。

観光客は、サルタイルを訪れることで、実際にその歴史的背景を体験し、当時のモダニズムへの影響を学ぶことができます。また、地域は今なお多くのイベントや展示が行われており、訪れる人々にとっては、歴史を感じる貴重な場となっています。

産業村サルタイルは、ただの観光地に留まらず、社会や歴史について考察するための場としても機能しているのです。サルタイルの魅力は、その美しい建築だけでなく、そこに込められた理念や人々の生活の知恵にあります。歴史を愛するすべての人々にとって、サルタイルは忘れがたい訪問先と言えるでしょう。