国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、南スーダンの羊肉生産量は2012年の27,527トンから2023年の13,938トンへと、大幅に減少しています。この期間中、生産量の最高値は2012年であり、最低値は2023年でした。このデータは南スーダンの食料生産の現状や課題を示しており、特に過去10年以上にわたる生産量の著しい変動が注目されています。
南スーダンの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 13,938 |
-23.26% ↓
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2022年 | 18,163 |
1.9% ↑
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2021年 | 17,824 |
11.4% ↑
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2020年 | 16,000 |
-22.66% ↓
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2019年 | 20,688 |
24.27% ↑
|
2018年 | 16,648 |
-15.57% ↓
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2017年 | 19,718 |
-21.65% ↓
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2016年 | 25,168 |
-1.89% ↓
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2015年 | 25,653 |
-6.49% ↓
|
2014年 | 27,433 |
1.12% ↑
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2013年 | 27,129 |
-1.45% ↓
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2012年 | 27,527 | - |
南スーダンの羊肉生産量推移においては、2012年の27,527トンをピークとして、その後、生産量が全体的に減少傾向にあることが分かります。この減少は、国全体の経済的・社会的要因や地政学的背景と密接に関係している可能性があります。2012年から2023年の間に最も大きな減少が見られるのは2018年(16,648トン)および2023年(13,938トン)であり、これらを起点とする低迷が続いている状況が示されています。
このような減少の主な要因として、南スーダンで継続している地域紛争および不安定な治安状況が挙げられます。南スーダンは2011年に独立した若い国家ですが、独立後も内戦状態が続いており、この影響で牧畜を含む農業活動が深刻な打撃を受けています。牧畜業そのものが持続可能でない状況に置かれていることや、家畜の移動制限、インフラ整備の遅れ、降雨量の減少が、特に肉類生産にとって望ましくない環境を形成しているようです。
また、特定の年次で大きく落ち込んだ2017年や2020年は、自然災害や疫病の影響も強いと考えられます。南スーダンでは洪水や干ばつの周期的な影響が農業生産に直接的な打撃を与えており、その結果として家畜の育成にも悪影響が及んでいます。さらには、新型コロナウイルス感染症が世界的に影響を及ぼした2020年やそれ以降、物流や商品市場が停滞したことで、生産者が適切なリソースを確保することがより困難になりました。
羊肉生産量の推移が示すように、2023年の数値13,938トンは2012年の約半分以下にまで減少しています。この状況は、食糧安全保障に対する懸念をより深刻なものにしています。南スーダンにおける羊肉は主要な動物性タンパク質源の一つであり、生産低迷が住民の栄養不足や貧困の増加を招き、さらなる社会問題を引き起こすリスクがあります。
今後のために、いくつかの具体的な対策が推奨されます。まず第一に、地域の平和的な安定を促進するための国際的な協力度が引き続き必要です。農村部を中心とした治安改善は、牧畜業の復活に不可欠です。さらに、気候変動の影響を軽減するための灌漑システムや防災インフラの整備が急務です。FAOや他の国際機関による支援プログラムを活用しながら、家畜用の飼料や予防接種プログラムを充実させることも効果的でしょう。また、地域住民の教育やトレーニングを通じた生物学的多様性の持続可能な利用や先進的な農業技術の導入が、新しい解決策として期待されます。
このような戦略が実行されれば、羊肉生産量の復興が可能になるだけでなく、国内の食料安全保障や住民の生計向上も実現可能です。国際社会との協力が今後さらに重要となり、各種支援施策の進展が問われる中、南スーダンは持続可能な農業の基盤を再構築する絶好の機会を迎えることができるでしょう。