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切手が財政を支える!?世界一“収集癖”に頼る国、サンマリノ

 サンマリノ共和国は、世界最古の共和国のひとつであり、世界で5番目に小さな独立国です。しかし、その財政の一部は、なんと「切手販売」に支えられています。かつて国家収入の約18%を占めた切手収益は、現在はどうなっているのでしょうか?進化するサンマリノのユニークな経済戦略に迫ります。

サンマリノとは?歴史と独立性

 イタリア半島の中東部、ティターノ山の山頂に位置するサンマリノ共和国は、世界で5番目に小さな独立国であり、現存する最古の共和国として知られています。サンマリノの起源は301年に遡り、ローマ皇帝ディオクレティアヌスの迫害を逃れた石工のマリーノが、信仰の自由を求めて築いた共同体が始まりとされています。

 その後、サンマリノはナポレオン時代やイタリア統一運動の時代を通じて独立を維持。ナポレオン・ボナパルトはサンマリノの自由を尊重し、領土拡大の提案を受けた際も、サンマリノはこれを辞退し、現状の領土を維持する選択をしました。このような歴史的背景から、サンマリノは現在も独立国として存続しています。

サンマリノの財政を支える切手発行

 資源に乏しく、経済規模も小さいサンマリノにとって、国家財政を支えるためには独自の収益源が必要でした。そのひとつが「切手発行」です。19世紀後半から、サンマリノは美しいデザインや限定版の切手を発行し、世界中のコレクターに人気を博してきました。

 かつて切手収益は国家財政の約18%を占めるほどの重要な柱でしたが、近年はデジタル化の進展や電子メールの普及により減少しています。2024年12月の最新財務レポートによると、現在の切手収益は国家収入の約7%を占め、観光業(約25%)や金融セクター(約30%)とともに重要な収益源となっています。

 さらに、国際信用格付けの向上(2024年12月、Fitch Ratings)により、サンマリノの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)は「BB」から「BB+」に引き上げられ、見通しは「安定的」とされました。また、IMF(国際通貨基金)は、2024年12月の報告でサンマリノの経済回復を評価し、雇用の増加やインフレ率の安定を指摘しています。

 このような状況を受け、サンマリノ政府は切手収益の安定化を図るため、プレミアム切手や特別記念切手の発行を強化し、新たな市場戦略を展開しています。

観光と切手の関係

 サンマリノを訪れる観光客の多くは、切手やコインなどの収集品を目的に訪れます。特に、ティターノ山の旧市街には、切手専門店が数多く並び、コレクターにとってはまさに“宝の山”です。

 サンマリノには切手とコイン博物館もあり、19世紀から第二次世界大戦の期間にサンマリノ郵便局が発行した切手などが展示されています。ここでは、サンマリノの切手の歴史やデザインの背景を学ぶことができ、観光と切手収益の相乗効果を生み出しています。

サンマリノの切手が今も人気の理由

 サンマリノの切手は、郵便アイテムとしてだけでなく、アート作品としても高く評価されています。特に、

  • 限定発行の希少性(発行部数が少なく、価値が上がる)
  • 歴史や文化を反映したデザイン(美術品としての価値)
  • 国際的なコラボ切手(日本や欧州各国との共同発行)

 これらの要素が、コレクター市場での人気を支えています。

 サンマリノの公式郵便局やオンラインショップで、これらの魅力的な切手を購入することができます。コレクションとしてだけでなく、大切な人への手紙に添えて、サンマリノの歴史と文化を感じてみてはいかがでしょうか?

 サンマリノ共和国は、独立を維持しながら、ユニークな財源確保手段として「切手発行」を活用し続けています。かつては国家収入の約18%を占めていましたが、現在は7%程度と減少傾向にあります。しかし、サンマリノ政府は観光業と連携し、新たな切手販売戦略を展開中です。