麻しんとは?基本を解説
麻しん(英名:Measles)は、麻しんウイルスによる非常に感染力の高い感染症です。咳・くしゃみだけで空気中に拡散され、同じ空間にいただけで感染するケースも多いのが特徴です。
主な症状
- 高熱(38〜40度)
- 咳、鼻水、目の充血
- 特徴的な全身性の赤い発疹
- コプリック斑(口内に白い斑点)
重症化すると肺炎や脳炎を引き起こすことがあり、世界保健機関(WHO)によると致死率は1000人に1〜3人と報告されています。
なぜ今、世界で麻しんが再流行しているのか?
予防接種率の低下
WHOとUNICEFの2024年レポートによれば、新型コロナウイルスのパンデミック以降、世界的に予防接種率が急落。2022年の世界平均は81%にとどまり、WHOが推奨する「95%以上」を大きく下回りました。
特にワクチン供給が不安定なアフリカ・南アジア地域では感染爆発が発生しています。
旅行再開に伴うグローバルな拡散
国際的な人の移動が再び活発化し、麻しんウイルスも国境を越えて拡大中。2024年のヨーロッパではイギリス、フランス、ルーマニアなどで大規模流行が報告され、アメリカでも過去5年で最大のアウトブレイクが発生しています(CDC, 2025年3月報告)。
世界の麻しん最新感染データ(2025年3月時点)
麻しん感染件数トップ10(2025年3月発表/2024年8月〜2025年1月累計)
ランキング | 国名 | 感染者数(件) |
---|---|---|
1位 | イエメン | 7,584件 |
2位 | パキスタン | 6,661件 |
3位 | インド | 6,532件 |
4位 | タイ | 6,224件 |
5位 | エチオピア | 4,596件 |
6位 | ルーマニア | 4,478件 |
7位 | アフガニスタン | 4,358件 |
8位 | インドネシア | 3,346件 |
9位 | キルギス | 2,966件 |
10位 | ベトナム | 1,835件 |
(出典:WHO “Global Measles and Rubella Update”, March 2025)
日本の麻しん現状と警戒ポイント
日本でも2025年に入り、東京都、埼玉県、大阪府などで感染報告が相次いでいます。厚生労働省によると、現在の感染は主に「海外からの持ち込み」が原因とされており、特にベトナム・フィリピン・インドからの渡航者が関与するケースが目立ちます。
日本は大阪関西万博を控えた地域として、さらなる感染拡大のリスクが高まっています。
麻しんから身を守るためにできること
予防接種の確認
過去に2回接種しているかどうかを母子手帳などで確認し、不明な場合は抗体検査または再接種を検討。
→ 特に1980年代生まれの方は1回接種のみの可能性あり、注意が必要です。
海外渡航前のワクチン対策
渡航先が麻しん流行地域の場合、出発の少なくとも2週間前までに予防接種を行うことが推奨されています。
→ 厚労省の「FORTH(海外渡航者の健康情報サイト)」で最新情報を確認可能。
発熱・発疹時は早期受診&マスク着用
発熱や発疹の症状がある際は外出を控え、速やかに医療機関を受診。事前に麻しん疑いがある旨を電話で伝えることで、感染拡大を防げます。
はしか再流行から見える、世界の公衆衛生への課題
麻しんの再拡大は単なる病気の話ではなく、ワクチン忌避、保健制度の不平等、感染症対策の国際連携といった大きなテーマを浮き彫りにしています。パンデミック後の社会が、いかにして「予防医療」を再構築するかが問われているのです。
麻しんは過去の病気ではありません。2025年現在、世界中で再びその脅威が現実のものとなっています。「予防できる感染症」だからこそ、正しい知識と行動が命を守るカギになります。
・自分や家族のワクチン接種歴を確認しましょう。
・渡航前は感染状況をチェックし、必要に応じて接種を受けましょう。
・ 「#麻しん予防」で検索して、最新情報もフォローしてみましょう。
・正しい情報をSNSや家族・友人とシェアしましょう。