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ニジェールの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ニジェールの羊肉生産量は1961年の5,400トンから始まり、年々増加傾向を見せ、一時期は28,288トン(1999年)に達しました。しかし、近年の生産量は安定を欠き、2023年には17,829トンに減少しました。この動向には、経済や気候、そして地政学的リスクなど多岐にわたる要因が影響を及ぼしています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 17,829
-6.64% ↓
2022年 19,097
1.45% ↑
2021年 18,824
-7.97% ↓
2020年 20,454
9.82% ↑
2019年 18,625
-2.74% ↓
2018年 19,150
-2.79% ↓
2017年 19,699
-4.74% ↓
2016年 20,679
2.39% ↑
2015年 20,196
21.53% ↑
2014年 16,618
4.51% ↑
2013年 15,901
-13.44% ↓
2012年 18,371
7.43% ↑
2011年 17,101
7.26% ↑
2010年 15,944
11.61% ↑
2009年 14,285
4.27% ↑
2008年 13,700
-3.4% ↓
2007年 14,182
-2.13% ↓
2006年 14,490
-3.24% ↓
2005年 14,975
90.74% ↑
2004年 7,851
-38.83% ↓
2003年 12,835
-7.19% ↓
2002年 13,829
-2.1% ↓
2001年 14,125
5.1% ↑
2000年 13,439
-52.49% ↓
1999年 28,288
2.97% ↑
1998年 27,472
5.99% ↑
1997年 25,920
9.02% ↑
1996年 23,776
1.92% ↑
1995年 23,328
7.05% ↑
1994年 21,792
-3.75% ↓
1993年 22,640
3.28% ↑
1992年 21,920
-2.14% ↓
1991年 22,400
1.82% ↑
1990年 22,000
-10.13% ↓
1989年 24,480
3.42% ↑
1988年 23,670
7% ↑
1987年 22,122
-9.41% ↓
1986年 24,420
116.49% ↑
1985年 11,280
-27.74% ↓
1984年 15,610
-36.85% ↓
1983年 24,720
11.68% ↑
1982年 22,134
-7.49% ↓
1981年 23,925
9.62% ↑
1980年 21,825
3.73% ↑
1979年 21,040
4.2% ↑
1978年 20,192
-5.73% ↓
1977年 21,420
30.3% ↑
1976年 16,439
18.1% ↑
1975年 13,920
1.87% ↑
1974年 13,664
-22.5% ↓
1973年 17,632
-1.17% ↓
1972年 17,840
5.99% ↑
1971年 16,832
-2.68% ↓
1970年 17,296
2.95% ↑
1969年 16,800
12% ↑
1968年 15,000
21.95% ↑
1967年 12,300
7.89% ↑
1966年 11,400
40.74% ↑
1965年 8,100
-8.47% ↓
1964年 8,850
7.27% ↑
1963年 8,250
22.22% ↑
1962年 6,750
25% ↑
1961年 5,400 -

ニジェールの羊肉生産は、1961年以降、農業技術の発展や家畜の管理技術向上に伴いおおむね増加傾向にありました。特に1960年代から1980年代序盤にかけて、内陸国ニジェールの経済において重要な部分を占める畜産業が大きく成長し、この分野が国民生活に欠かせない収入源となっていることがうかがえます。実際、1961年の5,400トンから1979年には21,040トンへと4倍近くに増加しました。この背景には、地域社会での需要増加に加え、周辺国との取引の拡大が寄与したとみられます。

しかし、長期的に見ると、羊肉生産には何度かの大幅な減少が観察されています。例えば、1974年の13,664トンや1984年の15,610トン、2000年の13,439トンなど、いずれも干ばつや紛争による影響が大きかった年です。特にサヘル地域の過酷な気候条件で繰り返される干ばつは、放牧地の減少と家畜の栄養状態の悪化をもたらし、結果として生産量が大幅に減少する要因となりました。

一方で、1990年代後半の28,288トンという最大値は、一時的な気候安定と家畜管理の政策推進が背景にあったと考えられます。しかし2000年代に入り、特に2004年の7,851トンという急激な減少からもわかるように、長期的な気候変動と内政・周辺地域の不安定さが新たな課題として浮上しています。ニジェールは降水量が不規則で、羊の飼育に適した条件が年ごとに異なるため、生産量の変動が大きい実態が明らかになっています。

近年では、2010年以降で19,000トン前後の安定を見せたものの、2023年には17,829トンと再び減少しました。この近年の下降傾向の要因としては、地政学的リスクや気候変動、人道的危機が挙げられます。ニジェールは西アフリカ諸国間での国境線を共有し、内陸国であるため、地域衝突や反政府活動も経済と農村部での生産活動に悪影響を及ぼします。また、新型コロナウイルスの拡散による国際交易の停滞もここ数年の影響として無視できません。

こうした課題に対する具体的な対策としては、まず気候変動に適応するための飼育技術の改善と砂漠化への対策が急務です。持続可能な家畜管理を推進し、灌漑技術の導入やコミュニティへの支援強化を図るべきです。また、地域の安全保障を確保することも重要であり、より平和的な枠組み作りを目指し国際協力を進めることが求められるでしょう。具体例としては、地域の協調を促進するアフリカ連合(AU)や国際機関と連携し、農村地域への支援と教育プログラムを展開することが挙げられます。

これらの対策を実行するにあたり、羊肉生産量の増加を単なる経済の指標として捉えるだけでなく、生活の質や地域の安定にどのように寄与するかを考慮することが肝要です。今後、ニジェール政府と国際機関は協力し、地域の気候変動適応政策と生産基盤の強化を進める中で、持続可能な発展モデルの確立を目指すべきです。グローバルな支援が途切れることなく続くことで、羊肉生産がニジェールの経済発展と住民の生活向上に寄与する未来を描くことが可能となるでしょう。