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モンゴルの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点のデータを基に分析した結果、モンゴルの羊肉生産量は1961年の46,000トンから2023年の180,112トンまで大きく増加していることが分かりました。この60年以上にわたる推移には一貫した増加傾向が見られる一方で、経済状況、気候条件、家畜の健康問題などに起因する振れ幅も存在しています。特に2018年から2020年にかけて急上昇し、その後も高水準が維持されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 180,112
-7% ↓
2022年 193,668
35.4% ↑
2021年 143,035
-33.13% ↓
2020年 213,899
26.99% ↑
2019年 168,441
10.3% ↑
2018年 152,706
20.57% ↑
2017年 126,656
9.02% ↑
2016年 116,172
-13.66% ↓
2015年 134,546
47.37% ↑
2014年 91,299
-1.21% ↓
2013年 92,414
37.44% ↑
2012年 67,240
-11.57% ↓
2011年 76,034
-1.73% ↓
2010年 77,369
-15.21% ↓
2009年 91,243
26.2% ↑
2008年 72,300
5.7% ↑
2007年 68,400
23.47% ↑
2006年 55,400
-3.48% ↓
2005年 57,400
-11.83% ↓
2004年 65,100
5.17% ↑
2003年 61,900
-17.36% ↓
2002年 74,900
-2.22% ↓
2001年 76,600
-14.89% ↓
2000年 90,000
-6.9% ↓
1999年 96,675
7.3% ↑
1998年 90,100
14.78% ↑
1997年 78,500
-15.77% ↓
1996年 93,200
-0.32% ↓
1995年 93,500
-2.5% ↓
1994年 95,900
-0.72% ↓
1993年 96,600
-0.31% ↓
1992年 96,900
-14.02% ↓
1991年 112,700
4.74% ↑
1990年 107,600
4.47% ↑
1989年 103,000
8.76% ↑
1988年 94,700
-4.82% ↓
1987年 99,500
-2.55% ↓
1986年 102,100
5.37% ↑
1985年 96,900
-7.54% ↓
1984年 104,800
1.95% ↑
1983年 102,800
-6.72% ↓
1982年 110,200
5.05% ↑
1981年 104,900
14.02% ↑
1980年 92,000
2.22% ↑
1979年 90,000
-2.17% ↓
1978年 92,000
21.05% ↑
1977年 76,000
-11.63% ↓
1976年 86,000
-14% ↓
1975年 100,000
19.05% ↑
1974年 84,000
20% ↑
1973年 70,000
-2.78% ↓
1972年 72,000
5.88% ↑
1971年 68,000
-2.86% ↓
1970年 70,000
4.32% ↑
1969年 67,100
11.83% ↑
1968年 60,000
7.14% ↑
1967年 56,000
7.69% ↑
1966年 52,000 -
1965年 52,000
4% ↑
1964年 50,000
-9.09% ↓
1963年 55,000
5.77% ↑
1962年 52,000
13.04% ↑
1961年 46,000 -

モンゴルの羊肉生産量は過去60年間で顕著な成長を遂げています。データによると、1961年には46,000トンであった羊肉の生産量が2023年には180,112トンに達しており、これは国家の食糧供給能力強化や農業政策の成功を示しています。しかし、生産量の推移を詳しく見ると、自然災害や経済変動など複合的な要因による一時的な減少や急増が目立ちます。

まず1961年から1980年代にかけて、羊肉生産量は比較的緩やかな増加を見せています。ただし、1975年には10万トンに到達するなどモンゴルの農牧業が拡大する兆しが見られました。その後、1990年代には生産量が安定期を迎えますが、1997年から2006年にかけて減少傾向が見られました。この背景には、1997年から厳冬による家畜の大量死を指す「ゾド」と呼ばれるモンゴル独特の気候リスクが影響していると考えられます。

一方、2010年代半ばから見られる羊肉生産量の急上昇は重要な変化を示しています。特に2018年から2020年にかけては、モンゴル国内の牧畜業振興政策や、中国市場を中心とした輸出需要の急増が影響しており、2020年には213,899トンと過去最高を記録しました。ただし、その後2021年には143,035トンまで一時的に減少し、2023年には180,112トンと再び高水準を維持しています。このような変動には新型コロナウイルス感染症のパンデミックや、それによる物流の制約が影響していた可能性があります。

このように、羊肉生産量の変動はモンゴルの経済的、社会的、自然的要因が複雑に絡み合った結果です。特に環境リスクであるゾドや温暖化による水資源不足、国際市場からの需要変化は重要な課題として挙げられます。また、近年の急激な生産増加は地政学的リスクにも関連しています。中国をはじめとする周辺諸国への依存が増す中で、モンゴルは輸出先の多角化や地域協調の強化が必要です。

未来に向けて、モンゴル政府と国際機関が連携を強化し、環境に配慮した持続可能な牧畜業を促進することが求められます。また、優れた品種改良や飼料政策の改良を通じて、寒波や干ばつの影響を軽減し、安定的に高品質な羊肉供給を維持することが重要です。同時に、中国市場だけでなく、日本や欧米市場への輸出拡大を視野に入れたマーケティング戦略や輸送インフラの整備も鍵となるでしょう。

羊肉はモンゴルの文化的背景と経済の中核を担う重要な資源であり、その持続可能な利用と管理が地域の発展と国際的な地位向上につながる可能性を秘めています。今後、政策と国際的連携を通じて、持続可能な農牧業の発展を目指す取り組みを強化することを期待したいと思います。