Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年最新データによると、ガンビアの羊肉生産量は1961年の352トンから2022年の686トンに増加しています。この期間に羊肉生産量は全体的に上昇傾向を示しているものの、気候変動や社会的な要因により大きな変動も観察されています。2023年には588トンと、前年の686トンから減少しています。
ガンビアの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 588 |
-14.35% ↓
|
2022年 | 686 |
2.25% ↑
|
2021年 | 671 |
2.28% ↑
|
2020年 | 656 |
17.06% ↑
|
2019年 | 560 |
20.32% ↑
|
2018年 | 466 |
30.88% ↑
|
2017年 | 356 |
47.48% ↑
|
2016年 | 241 |
18.01% ↑
|
2015年 | 204 |
-7.05% ↓
|
2014年 | 220 |
-50% ↓
|
2013年 | 440 | - |
2012年 | 440 |
-11.11% ↓
|
2011年 | 495 |
-25% ↓
|
2010年 | 660 |
14.29% ↑
|
2009年 | 578 |
5% ↑
|
2008年 | 550 |
9.29% ↑
|
2007年 | 503 |
-17.19% ↓
|
2006年 | 608 |
2.79% ↑
|
2005年 | 591 |
2.87% ↑
|
2004年 | 575 |
2.96% ↑
|
2003年 | 558 |
39.42% ↑
|
2002年 | 400 |
12.69% ↑
|
2001年 | 355 |
21.16% ↑
|
2000年 | 293 |
-5% ↓
|
1999年 | 309 |
-5% ↓
|
1998年 | 325 |
-5% ↓
|
1997年 | 342 |
-5% ↓
|
1996年 | 360 |
-4.97% ↓
|
1995年 | 379 |
-5.03% ↓
|
1994年 | 399 |
-5% ↓
|
1993年 | 420 |
-5% ↓
|
1992年 | 442 |
-14.13% ↓
|
1991年 | 515 |
28.93% ↑
|
1990年 | 399 |
-13.57% ↓
|
1989年 | 462 |
-14.29% ↓
|
1988年 | 539 |
-9.26% ↓
|
1987年 | 594 | - |
1986年 | 594 |
2.86% ↑
|
1985年 | 578 |
29.63% ↑
|
1984年 | 446 |
-6.9% ↓
|
1983年 | 479 |
2.11% ↑
|
1982年 | 469 |
2.16% ↑
|
1981年 | 459 |
1.71% ↑
|
1980年 | 451 |
2.5% ↑
|
1979年 | 440 |
2.56% ↑
|
1978年 | 429 |
2.63% ↑
|
1977年 | 418 |
2.7% ↑
|
1976年 | 407 |
1.37% ↑
|
1975年 | 402 |
1.39% ↑
|
1974年 | 396 |
1.41% ↑
|
1973年 | 391 |
2.9% ↑
|
1972年 | 380 |
4.55% ↑
|
1971年 | 363 |
3.13% ↑
|
1970年 | 352 |
3.9% ↑
|
1969年 | 339 |
2.67% ↑
|
1968年 | 330 |
-6.25% ↓
|
1967年 | 352 |
3.23% ↑
|
1966年 | 341 |
10.71% ↑
|
1965年 | 308 |
5.66% ↑
|
1964年 | 292 |
10.42% ↑
|
1963年 | 264 |
-25% ↓
|
1962年 | 352 | - |
1961年 | 352 | - |
ガンビアの羊肉生産量は1961年以降、食糧安全保障や畜産業の影響を受けながら推移しています。初期の1960年代は、気候条件や農業技術の不足により平均的に低い水準に留まっていました。一方で、1970年代後半から1980年代前半にかけて生産量は増加基調にあり、1983年には479トンまで達しています。この成長は地域の需要増加や畜産インフラの発展に起因していると推測できます。
しかし、その後の1984年から1990年代にかけて、羊肉の生産量は大きく減少し、ピーク時の578トン(1985年)を超えることはありませんでした。この減少の要因としては、サヘル地域全体が抱える気候変動の影響、特に干ばつや資源不足が挙げられます。また、この期間ではガンビア周辺地域における政治的な不安定さが、農業生産や物流に悪影響を及ぼした可能性も考えられます。
2000年代以降、羊肉生産量は再び増加に転じています。2006年には608トン、2010年には660トンと安定的な成長を遂げており、これは地域全体の経済発展や畜産業への政策的支援が寄与していると思われます。ただし、2014年から2016年にかけては220トンにまで激減しており、この期間において感染症の流行や経済的要因が影響を及ぼした可能性が高いです。例えば、この期間のエボラ出血熱の流行が西アフリカ地域全体の経済や社会生活を圧迫したことが、ここでも間接的に反映されているように見受けられます。
直近のデータを見ると、2020年以降、再び拡大基調に乗り、2022年には686トンと過去最高を記録しましたが、2023年には588トンに減少しました。この変動は、近年の気候変動や、世界的な影響を及ぼしている新型コロナのパンデミックによる経済・物流への影響が関係していると考えられます。パンデミックにより輸送が滞ることや、農畜産業従事者の減少が直接的な生産量低下に繋がった可能性があります。
ガンビアの羊肉産業の長期的な課題として、まず第一に気候変動への対応が挙げられます。同国はサヘル地域に位置しており、干ばつや豪雨などの異常気象の影響を受けやすいです。これに対抗するためには、持続可能な畜産管理技術を導入するとともに、乾燥に強い飼料植物の育成や、地域間での農業協力の枠組みを進める必要があります。また、持続可能な水資源管理も重要な課題です。
さらに、市場拡大も重要なポイントです。ガンビア国内では人口増加による食肉需要が見込まれる一方で、輸出市場の潜在力もあります。ただし、輸出の前提として、国際標準に基づく食品衛生管理や、輸出向け物流インフラの整備が必要です。このような基盤が整えばガンビアは地域市場において競争力を確保できます。
加えて、疫病予防への体制強化も今後注力すべき領域です。動物疫病の流行は畜産業に壊滅的な打撃を与えるため、早期警戒システムやワクチン供給体制の整備が急務です。国際協力の支援を取り入れることも有効でしょう。
結論として、ガンビアの羊肉生産は過去数十年間にわたりさまざまな社会的・自然的課題を受けながらも、今後さらなる発展の潜在力を秘めています。国および国際機関は、畜産技術の近代化、感染症対策、水資源管理などの分野で長期的な施策を講じ、安定的な食肉供給を目指す必要があります。このような取り組みが、ガンビアの経済成長や食糧安全保障にも寄与するはずです。