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ニジェールのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、ニジェールのヤギ肉生産量は長期的に増加傾向にありますが、気象変動や経済的要因による大きな変動が続いています。1961年の15,080トンから2023年には27,220トンにまで増加しています。しかし特定の年代では、干ばつや社会的不安定による急激な落ち込みも観察されます。近年では、2020年をピークとし、減少の兆しが見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 27,220
-6.78% ↓
2022年 29,199
-5.08% ↓
2021年 30,761
-6.33% ↓
2020年 32,840
6.49% ↑
2019年 30,838
9.49% ↑
2018年 28,164
-3.35% ↓
2017年 29,140
13.6% ↑
2016年 25,651
2.82% ↑
2015年 24,947
50.12% ↑
2014年 16,618
-33.5% ↓
2013年 24,988
8.35% ↑
2012年 23,062
5.92% ↑
2011年 21,774
3.17% ↑
2010年 21,105
10.76% ↑
2009年 19,054
1.51% ↑
2008年 18,771
-6.55% ↓
2007年 20,087
-2.52% ↓
2006年 20,607
11.35% ↑
2005年 18,506
2.66% ↑
2004年 18,026
-2.07% ↓
2003年 18,407
9.77% ↑
2002年 16,769
-18.13% ↓
2001年 20,482
14.48% ↑
2000年 17,891
-49.24% ↓
1999年 35,244
6.41% ↑
1998年 33,120
7.31% ↑
1997年 30,864
1.46% ↑
1996年 30,420
2.92% ↑
1995年 29,556
5.12% ↑
1994年 28,116
2.54% ↑
1993年 27,420
5.54% ↑
1992年 25,980
2.56% ↑
1991年 25,332
3.08% ↑
1990年 24,576
-13.53% ↓
1989年 28,420
5.78% ↑
1988年 26,866
16.17% ↑
1987年 23,127
11.47% ↑
1986年 20,748
18.93% ↑
1985年 17,446
-30.77% ↓
1984年 25,200
-33.01% ↓
1983年 37,620
1.79% ↑
1982年 36,960
2.09% ↑
1981年 36,204
-0.1% ↓
1980年 36,240
2.55% ↑
1979年 35,340
3.81% ↑
1978年 34,044
11.85% ↑
1977年 30,437
36.57% ↑
1976年 22,286
7.54% ↑
1975年 20,724
2.22% ↑
1974年 20,273
11.56% ↑
1973年 18,172
-32.21% ↓
1972年 26,807
1.29% ↑
1971年 26,466
-2.2% ↓
1970年 27,060
11.82% ↑
1969年 24,200
10% ↑
1968年 22,000
7.1% ↑
1967年 20,543
13.62% ↑
1966年 18,080
3.31% ↑
1965年 17,500
6.06% ↑
1964年 16,500
2.29% ↑
1963年 16,130
4.06% ↑
1962年 15,500
2.79% ↑
1961年 15,080 -

ニジェールは、広大な砂漠地帯と貧困状態が特徴であり、農業や畜産業が国の重要な経済基盤です。特にヤギは乾燥した気候に適応性が高く、小規模農家にとって重要な収入源および食糧資源となっています。この動物を通じた生産は、食糧安全保障の観点や地域経済の持続可能性において重要な指標とされています。

ヤギ肉生産量の推移を見ると、1960年代から1980年代にかけて順調に増加していました。この時期、経済基盤として畜産業が強化されたほか、地域での需要の拡大が背景にありました。しかし干ばつや社会的・経済的不安定が、随所で大きな影響を与えています。特に1973年や1984年には、壊滅的な干ばつが発生し、生産量が急落しました。また2000年や2002年にも、収量が一時的に大幅に減少しています。こうした変動は、気象パターンの変化や適切なインフラ整備の不足による影響と考えられます。

2010年以降においても、全体的には生産量の回復と増加が見られますが、近年では再び減少傾向にあります。2020年に32,840トンでピークを記録した後、2023年には27,220トンにまで落ち込んでいます。この減少の背景には、気候変動に伴う降水量の不安定性、資源争奪に起因する地域紛争の影響、さらに新型コロナウイルスの拡大による物流の停滞や経済の縮小が関わっている可能性があります。

将来に向けては、ヤギ肉の安定した生産を維持し、さらなる成長を実現させるためにいくつかの課題と対策が挙げられます。まず、気候変動への対応が不可欠です。干ばつに強い飼料作物の導入や、雨水の効率的な利用が重要となります。また畜産インフラの改善が必要です。例えば、新たな家畜飼育技術を小規模農家に導入する支援プログラムや、家畜の健康を保つための獣医サービスの充実が考えられます。

さらに、国際社会や周辺諸国との協力が重要です。ヤギ肉は中東やアフリカ内での輸出可能性を秘めており、こうした需要を活用した貿易の強化が収益向上につながる可能性があります。同時に、地域間での技術共有や畜産業の協力枠組みの構築が、長期的には気候および経済問題の緩和に役立つと考えられます。

地政学的には、ニジェールが直面している地域紛争がヤギ肉生産へのリスクを増大させており、解決には国家レベルの積極的対応が必要です。特に、資源争奪を引き金とした紛争や移動制限が畜産物流に与える影響を軽減する政策が急務です。そのほか、食糧安全保障の観点から、ヤギ肉以外のゲイン(収益源)の多様化も求められます。

結論として、ニジェールのヤギ肉産業は、農村部の小規模生産者の収入と地域の食糧供給において重要な役割を果たしています。しかし気候変動および社会的不安定に伴う課題は依然として大きく、対策の強化が求められます。国内外の協力を通じて、持続可能な畜産モデルを構築することが今後の課題と言えるでしょう。