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カザフスタンのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、カザフスタンのヤギ肉生産量は1992年の7,900トンから始まり、2006年まで急増傾向を示しました。その後、2007年から2018年まで概ね高い水準で安定しましたが、2019年から減少に転じ、2023年には16,849トンという水準に落ち込みました。このデータは、経済状況、農業政策、気候変動など、複数の要因が生産量に影響を与えている可能性を示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 16,849
-14.44% ↓
2022年 19,692
-2.06% ↓
2021年 20,107
2.87% ↑
2020年 19,546
0.6% ↑
2019年 19,429
-1.82% ↓
2018年 19,790
-1.25% ↓
2017年 20,040
-1.85% ↓
2016年 20,417
-2.6% ↓
2015年 20,962
0.68% ↑
2014年 20,820
-0.81% ↓
2013年 20,990
0.89% ↑
2012年 20,805
4.63% ↑
2011年 19,884
-2.26% ↓
2010年 20,343
8.49% ↑
2009年 18,751
-9.11% ↓
2008年 20,631
6.68% ↑
2007年 19,340
17.14% ↑
2006年 16,510
27% ↑
2005年 13,000
20.37% ↑
2004年 10,800
20% ↑
2003年 9,000
24.33% ↑
2002年 7,239
44.78% ↑
2001年 5,000
28.21% ↑
2000年 3,900
-2.5% ↓
1999年 4,000
-18.37% ↓
1998年 4,900
8.89% ↑
1997年 4,500
-16.67% ↓
1996年 5,400
-6.9% ↓
1995年 5,800
-3.33% ↓
1994年 6,000
-25% ↓
1993年 8,000
1.27% ↑
1992年 7,900 -

FAOが公表したデータを分析すると、カザフスタンのヤギ肉生産量は過去30年間に渡り変動を繰り返してきたことがわかります。当初の1992年から1997年にかけて、カザフスタンの生産量は急激に低下しました。この時期の背景には、ソビエト連邦の崩壊後の経済混乱や、農業インフラの破壊が関連していると考えられます。特に、中央アジアの国々では、急成長する市場経済への移行に伴い、農業部門が大きな課題を抱えました。これにより、多くの地方の酪農経営が打撃を受け、ヤギ肉生産にも直接的な悪影響が生じました。

その後、2000年代に入ると、カザフスタンの経済は豊富な天然資源の輸出によって安定し、農業にも投資が行われ始め、ヤギ肉の生産が回復基調に転じます。この回復は特に2000年から2008年の間に顕著で、生産量は20,631トンへと大幅に増加しました。ただし、2009年の金融危機以降は一時的な生産量の減少が見られるものの、その後は20,000トン前後でほぼ安定しました。

一方で、2019年以降の減少傾向には再び注目が必要です。この下落の要因としては、気候変動による干ばつや餌資源不足が挙げられます。カザフスタンはステップ地帯の大部分を占める内陸国であり、降水量が少なく気候条件が厳しいため、農業物資の調達や動物飼育の負担が増大しやすい傾向があります。また、新型コロナウイルスのパンデミック期間中には輸送や物流が困難となり、これがヤギ肉産業にも影響した可能性があります。

2023年に見られる16,849トンへの顕著な減少にはさらに深刻な課題が見え隠れしています。特に地政学的な要因、世界的な食料需給の変動、およびロシア・ウクライナ紛争の影響が孤立した内陸の生産基盤を圧迫した可能性があります。農業部門は輸出依存度が高く、隣接地域の経済的および政治的な安定性に左右される状況が続いています。

カザフスタンのヤギ肉生産を再び増加軌道に乗せるためには、いくつかの具体的な提言が考えられます。まず、飼料資源を確保するための農業技術の導入や気候適応型農業への投資が重要です。特に乾燥地向けの飼育技術の導入や灌漑施設の近代化が生産効率の向上に寄与するでしょう。また、政府の農業補助金政策を改善し、効果的に小規模な酪農家にも支援が行き届くような制度が求められます。さらに、地域間の協力を強化し、中央アジア諸国との市場統合を進め、ヤギ肉の流通の効率化を図ることが望まれます。国際金融機関との協力のもとで資本提供や外国投資を呼び込み、生産基盤を補強する取り組みも推進されるべきです。

カザフスタンの天然資源輸出による収益を農業基盤の強化に再投資することも長期的な目線で重要です。しかし、これらの対策には持続可能性を重視する視点が欠かせず、地元コミュニティを巻き込んだ取り組みが鍵となるでしょう。カザフスタンが地域的にも重要なヤギ肉生産国としての役割を維持するためには、これらの具体策を短期および長期で計画的に実施していくことが必要です。