FAO(国際連合食糧農業機関)の2024年7月更新データによると、ガンビアのヤギ肉生産量は1961年の407トンから2023年には1,084トンへと大幅に増加しました。一方で、1990年代や2000年代には一時的に減少が見られる年もありました。また、2000年代後半以降は再び生産量が顕著に増加し、現在もその傾向が続いていることが確認されています。
ガンビアのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,084 |
2.15% ↑
|
2022年 | 1,062 |
3.35% ↑
|
2021年 | 1,027 |
3.36% ↑
|
2020年 | 994 |
3.88% ↑
|
2019年 | 957 |
4.08% ↑
|
2018年 | 919 |
1.48% ↑
|
2017年 | 906 |
-11% ↓
|
2016年 | 1,018 |
3.22% ↑
|
2015年 | 986 |
-5.66% ↓
|
2014年 | 1,045 |
21.83% ↑
|
2013年 | 858 |
4% ↑
|
2012年 | 825 |
2.74% ↑
|
2011年 | 803 |
-8.75% ↓
|
2010年 | 880 |
-15.79% ↓
|
2009年 | 1,045 |
1.6% ↑
|
2008年 | 1,029 |
0.81% ↑
|
2007年 | 1,020 |
21.64% ↑
|
2006年 | 839 |
3.04% ↑
|
2005年 | 814 |
3.14% ↑
|
2004年 | 789 |
-3.37% ↓
|
2003年 | 817 |
13.36% ↑
|
2002年 | 721 |
14.91% ↑
|
2001年 | 627 |
58.76% ↑
|
2000年 | 395 |
-3% ↓
|
1999年 | 407 |
-3% ↓
|
1998年 | 420 |
-3% ↓
|
1997年 | 433 |
-3% ↓
|
1996年 | 446 |
-3% ↓
|
1995年 | 460 |
-3% ↓
|
1994年 | 474 |
-3% ↓
|
1993年 | 489 |
-3% ↓
|
1992年 | 504 |
8.81% ↑
|
1991年 | 463 |
-21.89% ↓
|
1990年 | 593 |
-14.44% ↓
|
1989年 | 693 |
10.53% ↑
|
1988年 | 627 |
-6.86% ↓
|
1987年 | 673 |
3.55% ↑
|
1986年 | 650 |
1.55% ↑
|
1985年 | 640 |
3.74% ↑
|
1984年 | 617 |
9.36% ↑
|
1983年 | 564 |
1.79% ↑
|
1982年 | 554 |
1.82% ↑
|
1981年 | 545 |
1.85% ↑
|
1980年 | 535 |
2.53% ↑
|
1979年 | 521 |
2.6% ↑
|
1978年 | 508 |
3.36% ↑
|
1977年 | 492 |
3.47% ↑
|
1976年 | 475 |
2.86% ↑
|
1975年 | 462 |
3.7% ↑
|
1974年 | 446 |
3.85% ↑
|
1973年 | 429 |
4% ↑
|
1972年 | 413 |
4.17% ↑
|
1971年 | 396 |
2.86% ↑
|
1970年 | 385 |
2.94% ↑
|
1969年 | 374 |
3.03% ↑
|
1968年 | 363 |
-5.71% ↓
|
1967年 | 385 |
-2.78% ↓
|
1966年 | 396 |
-2.7% ↓
|
1965年 | 407 |
1.37% ↑
|
1964年 | 402 |
1.39% ↑
|
1963年 | 396 |
-5.26% ↓
|
1962年 | 418 |
2.7% ↑
|
1961年 | 407 | - |
ガンビアのヤギ肉生産量の推移を見ると、大まかに三つの期間に分けて分析できます。まず、1961年から1980年代前半にかけては緩やかな増加が見られました。この期間は生産技術の改善や畜産業の発展を反映しており、ヤギの飼育が地域経済や食料供給にとって重要な役割を果たしていたことを示しています。しかし1988年以降は急激な減少が始まり、1990年代半ばにかけて安定的な減少傾向が続きました。これは当時の干ばつなどの自然災害やガンビア国内の経済的な不安定さが影響した可能性があります。また、生産量が急減した1991年の463トンは、1960年代レベルに近い数値となり、この時期をガンビアにおける重要な転換点として捉えることができます。
2000年以降から見ると、特に2007年に生産量が1,020トンを突破し、その後もほぼ安定的に1000トン以上を維持しています。この大幅な増加は、政府による畜産業の改善プログラムや、地域的な住民運営型事業の推進などが大きな要因だと考えられます。また、貧困削減の取り組みの一環として、家畜の品質改善や販売チャネルの拡大が進められたことも影響を与えています。2010年代になると一時的な停滞や減少が見られるものの、2014年には再び1,045トンとなり、持続的な回復基調を示しています。このような回復基調は、干ばつや地域衝突による一時的な困難を乗り越えたガンビアの畜産業の回復力を物語っています。
2023年の生産量は1,084トンと過去最大を記録しており、各種データはガンビア国内でのヤギ肉需要の高まりを背景に、生産拡大が続いていることを示しています。ただし、この増加は必ずしも一様ではなく、年間30トン前後での増加と比較的緩やかなペースです。この増加の背景には、国内外市場での需要増加や、小規模農家が政府やNGOの支援を受けて生産向上に取り組んでいることが挙げられます。
一方で大きな課題として、気候変動、特に干ばつリスクへの対応が挙げられます。ガンビアはサヘル地域に位置し、雨量不足や過剰利用による土地の劣化が農業・畜産業の脅威となっています。地政学的に不安定な状況が繁殖率や在庫管理、輸送能力などの効率性に悪影響を与えることも考えられます。さらに、輸出市場拡大のためには、家畜伝染病対策や品質管理における国際基準を満たすことが不可欠となります。
今後の具体的な対策として、まずは気候変動への適応策の強化が挙げられます。たとえば、耐乾性の高い牧草の導入や、持続可能な水資源管理システムの構築は、農地の品質を維持しつつ生産性を確保する重要な手段となるでしょう。また、小規模畜産農家への技術普及や資金提供プログラムを拡充し、彼らの安定的な生産基盤を作ることが必要です。さらに、周辺国との連携を深め、地域一帯での持続可能な畜産政策を共に推進することも選択肢として挙げられます。
ガンビアのヤギ肉生産は、国の食料安全保障や経済にとって重要な位置を占めています。データを見る限り、生産量の安定増加は希望を感じさせますが、それと引き換えに増加する新しい問題も見逃せません。持続可能な農業開発への一層の努力が、その未来を左右する鍵となるでしょう。国際機関や地域協力の枠組みを活用し、ガンビアの畜産業が今後も発展を続けられるような支援策が必要になります。