国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したエチオピアのヤギ肉生産量データによると、1993年から2023年の30年間で生産量は劇的に増加しました。1993年の24,840トンから2023年には148,994トンに達しており、約6倍の増加です。その間、一部の年で減少や停滞も見られるものの、全体的には安定した成長傾向が確認されています。特に2019年以降では年ごとの変動が大きく、2021年の減少後2023年には再び過去最高値に達しました。
エチオピアのヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 148,994 |
8.22% ↑
|
2022年 | 137,675 |
7.64% ↑
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2021年 | 127,905 |
-13.06% ↓
|
2020年 | 147,126 |
3.66% ↑
|
2019年 | 141,932 |
29.32% ↑
|
2018年 | 109,749 |
18.68% ↑
|
2017年 | 92,475 |
7.79% ↑
|
2016年 | 85,789 |
0.95% ↑
|
2015年 | 84,984 |
7.1% ↑
|
2014年 | 79,349 |
7.23% ↑
|
2013年 | 74,000 |
3.5% ↑
|
2012年 | 71,500 |
5.15% ↑
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2011年 | 68,000 |
2.56% ↑
|
2010年 | 66,300 |
1.3% ↑
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2009年 | 65,450 |
1.32% ↑
|
2008年 | 64,600 | - |
2007年 | 64,600 |
17.45% ↑
|
2006年 | 55,000 |
12.98% ↑
|
2005年 | 48,680 |
10.19% ↑
|
2004年 | 44,180 |
23.75% ↑
|
2003年 | 35,700 |
9.09% ↑
|
2002年 | 32,725 |
14.32% ↑
|
2001年 | 28,626 |
12% ↑
|
2000年 | 25,560 |
-5.68% ↓
|
1999年 | 27,100 |
-3.21% ↓
|
1998年 | 28,000 |
10.8% ↑
|
1997年 | 25,271 |
1.12% ↑
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1996年 | 24,990 |
1.2% ↑
|
1995年 | 24,693 |
-0.38% ↓
|
1994年 | 24,788 |
-0.21% ↓
|
1993年 | 24,840 | - |
エチオピアのヤギ肉生産量は、過去30年間で顕著な増加傾向を見せてきました。この増加は、主に農牧業の近代化、家畜の品種改良、そして国内外の需要の高まりに支えられたものと考えられます。1993年の24,840トンという低水準から始まり、2018年以降の急速な増加が特に注目されます。例えば、2018年から2020年の2年間で生産量は109,749トンから147,126トンへ、約34%も成長しました。この成長は国内の消費増加と輸出需要の増加が重なり合った結果である可能性があります。
一方で、ヤギ肉生産は年ごとの変動にも特徴があります。特に直近の2020年から2023年にかけて、2021年に127,905トンへと減少した後、2023年に再び148,994トンで最高値を記録しました。このような短期間での変動は、干ばつや疫病、または市場環境の変化が影響している可能性が考えられます。例えば、エチオピアは農業生産の要として気象条件に依存しているため、自然災害が畜産業にも深刻な影響を与えます。また、地政学的リスクとして挙げられる地域衝突や社会不安も、家畜の飼育環境や輸送などに影響を及ぼしているかもしれません。
他国との比較をすると、エチオピアのヤギ肉追加生産量の急伸は、新興国としての成長を示す良い例です。例えば、中国、インドなどの新興経済国では、家畜産業や農業のグローバル市場での競争力を高める努力が続けられています。また、近隣アフリカ諸国もエチオピアの持つ輸出マーケットシェアを狙い、家畜資源を強化していることが考えられます。ただし、日本や韓国のように家畜生産よりも輸入による需要依存が高い国々からの輸入依存度減少政策も、エチオピアの輸出への影響を与える可能性があります。
エチオピアの主要な課題は、生産の安定性確保と持続可能な発展です。安定生産を実現するには、気候変動への適応策が急務です。灌漑技術の普及や家畜の耐久性向上は、生産量の変動を緩和するために役立つでしょう。また、インフラ整備も重要であり、例えば生産地から市場までの輸送ネットワークを改善すれば、経済効率が向上し国際競争力が高まることでしょう。さらに、国際機関や他国との協力も視野に入れ、より効率的で環境負荷の少ない畜産形態を模索するべきです。
最後に、2020年からの新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックも考慮すべき要素です。感染症の影響で国際的な物流や需給バランスが崩れ、これが2021年の生産量減少に影響した可能性があります。このような世界的危機に対して、エチオピアは柔軟な市場政策や国内の供給チェーン強化を進める必要があります。
総合的に見ると、エチオピアのヤギ肉生産は持続的な成長ポテンシャルを秘めていますが、内外のリスクと向き合いながら、従来の手法に加えた技術革新や国際協力に基づく取り組みが求められます。これを実現することで、エチオピアはアフリカの中でも重要な食肉産業の輸出国としてさらなる発展を遂げるでしょう。