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中央アフリカ共和国のヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)の最新データによれば、中央アフリカ共和国におけるヤギ肉生産量は、1961年の1,350トンから2023年の22,061トンへと長期的に増加傾向を見せています。一方で、2018年以降のデータは毎年微妙な増減が見られ、安定した成長とはいえない状況となっています。この推移は、国内外の経済的、地政学的要因だけではなく、気候や社会情勢の影響も受けていることが伺えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 22,061
-6.86% ↓
2022年 23,687
1.54% ↑
2021年 23,327
1.58% ↑
2020年 22,965
-1.44% ↓
2019年 23,301
9.95% ↑
2018年 21,192
-5.22% ↓
2017年 22,360
2.66% ↑
2016年 21,782
1.65% ↑
2015年 21,429
0.83% ↑
2014年 21,253
-0.96% ↓
2013年 21,460
0.69% ↑
2012年 21,312
0.06% ↑
2011年 21,300
18.33% ↑
2010年 18,000
5.76% ↑
2009年 17,020
5.71% ↑
2008年 16,100
14.59% ↑
2007年 14,050
7.25% ↑
2006年 13,100
5.65% ↑
2005年 12,400
6.44% ↑
2004年 11,650
1.3% ↑
2003年 11,500
4.98% ↑
2002年 10,954
7.39% ↑
2001年 10,200
2% ↑
2000年 10,000
28.21% ↑
1999年 7,800
1.3% ↑
1998年 7,700
1.32% ↑
1997年 7,600
5.23% ↑
1996年 7,222
7.79% ↑
1995年 6,700
11.67% ↑
1994年 6,000
11.11% ↑
1993年 5,400
1.89% ↑
1992年 5,300
3.92% ↑
1991年 5,100
19.21% ↑
1990年 4,278
1.09% ↑
1989年 4,232
3.95% ↑
1988年 4,071
4.12% ↑
1987年 3,910
14.33% ↑
1986年 3,420
1.06% ↑
1985年 3,384
0.53% ↑
1984年 3,366
13.72% ↑
1983年 2,960
2.78% ↑
1982年 2,880
2.86% ↑
1981年 2,800
2.94% ↑
1980年 2,720
3.03% ↑
1979年 2,640
10% ↑
1978年 2,400
3.23% ↑
1977年 2,325
4.03% ↑
1976年 2,235
2.76% ↑
1975年 2,175
2.21% ↑
1974年 2,128
6.67% ↑
1973年 1,995
6.4% ↑
1972年 1,875
5.51% ↑
1971年 1,777
3.49% ↑
1970年 1,717
5.47% ↑
1969年 1,628
3.83% ↑
1968年 1,568 -
1967年 1,568
1.95% ↑
1966年 1,538
2.53% ↑
1965年 1,500
5.26% ↑
1964年 1,425 -
1963年 1,425
2.15% ↑
1962年 1,395
3.33% ↑
1961年 1,350 -

中央アフリカ共和国のヤギ肉生産量は、1961年の1,350トンという水準から、数十年にわたって堅調な成長を続け、2023年には約16倍の22,061トンに達しました。この持続的な成長は、農村部を中心としたヤギ飼育の普及や、地元消費向けの需要拡大に支えられています。ヤギ肉はタンパク源として重要であり、特に畜肉としての柔軟な利用が可能であるため、中央アフリカ共和国のような 国内生産への依存度が高い国では重要な役割を果たしています。

この成長にはいくつかの転換点が見られます。例えば1990年から2000年にかけて生産量が著しく増加しており、2000年には大幅な上昇が見られ10,000トンを突破しました。この増加は、もともと小規模で行われていたヤギ飼育が商業ベースへと転換していったことや、需要増加に対応するための供給強化が要因として考えられます。しかし、近年では、特に2018年以降、微細な変動があり2023年には22,061トンと減少するなど、成長の勢いに陰りが見えています。

この減少の要因には、気候変動の影響や国内紛争といった地政学的リスクが大きく関わっていると考えられます。中央アフリカ共和国は近年、旱魃や洪水の増加による農業・畜産業への負荷が深刻化しています。雨量の不安定さや干ばつは、飼料の供給不足を招くため、ヤギの健康状態や飼育可能数に直接的な影響を与えています。また、内紛の影響で農村部の基盤が損なわれ、効率的な生産や流通が阻害されている点も問題です。例えば、内乱による避難民の発生や農地荒廃の拡大が報告されており、これらが畜産業全般に影を落としています。

さらに、国内の輸出市場へのアクセスが限られている点も課題です。ヤギ肉の生産が増加しても、その多くが地元消費に留まっており、付加価値の高い輸出市場の開拓が進んでいません。これには、保冷技術や流通インフラの不足が影響しています。同様の畜産物輸出に成功しているインドやオーストラリアなど主要生産国と比較すると、中央アフリカ共和国ではこの点で大きな遅れが見られます。

このような背景を踏まえると、いくつかの具体策が必要です。第一に、気候変動への対策として、水資源管理や災害耐性のある農牧業技術の導入が求められます。例えば、干ばつ地域でも育てやすい飼料作物や、より耐寒・耐暑性の高いヤギの品種改良を進めるべきです。第二に、地政学的な課題への対応として、地域内の紛争解決や治安維持による農村部の復興が急務です。外部支援機関との連携を強化し、安定した生産基盤を形成する必要があります。また、長期的には、付加価値の高い市場へのアクセスを拡大するため、インフラ整備とともに輸出促進政策を打ち出すことが重要です。

農業や畜産業の安定は、単に経済的な発展だけでなく、国民の食料安全保障という意味でも不可欠です。中央アフリカ共和国のヤギ肉生産の成長を再び促進するには、内外の資源を適切に活用し、持続可能な生産体制を確立することが求められます。今後は、FAOをはじめとした国際機関の分析や支援も重要な役割を果たすと考えられます。