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ニジェールの馬肉推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、ニジェールにおける馬肉生産量は1961年以降一貫して増減を繰り返してきました。特に1970年代には一時的な大幅な増加が見られ、1984年には生産量が急落しました。2023年には638トンと大きく減少しています。長期的な傾向としては一定の減少傾向が見られるものの、近年も生産量が不安定な状態が続いています。

年度 (トン) 増減率
2023年 638
-25.5% ↓
2022年 856
1% ↑
2021年 847
1% ↑
2020年 839
1% ↑
2019年 831
17.23% ↑
2018年 709
-8.94% ↓
2017年 778
-3.37% ↓
2016年 805
-3.52% ↓
2015年 835
-3.23% ↓
2014年 863
8.23% ↑
2013年 797
-6.32% ↓
2012年 851
0.68% ↑
2011年 845
30% ↑
2010年 650
-37.5% ↓
2009年 1,040 -
2008年 1,040 -
2007年 1,040
40.35% ↑
2006年 741
-50.86% ↓
2005年 1,508
-6.45% ↓
2004年 1,612
8.77% ↑
2003年 1,482
1.79% ↑
2002年 1,456
-1.75% ↓
2001年 1,482
15.15% ↑
2000年 1,287
-8.33% ↓
1999年 1,404
1.89% ↑
1998年 1,378 -
1997年 1,378
-5.36% ↓
1996年 1,456
4.67% ↑
1995年 1,391
1.9% ↑
1994年 1,365
5% ↑
1993年 1,300
4.17% ↑
1992年 1,248
2.13% ↑
1991年 1,222
4.44% ↑
1990年 1,170
2.27% ↑
1989年 1,144
4.76% ↑
1988年 1,092
5% ↑
1987年 1,040
3.9% ↑
1986年 1,001 -
1985年 1,001
-23% ↓
1984年 1,300
-40.48% ↓
1983年 2,184
5.66% ↑
1982年 2,067
3.25% ↑
1981年 2,002
-3.75% ↓
1980年 2,080
2.56% ↑
1979年 2,028
1.96% ↑
1978年 1,989
2% ↑
1977年 1,950
7.14% ↑
1976年 1,820
7.69% ↑
1975年 1,690
8.33% ↑
1974年 1,560
12.15% ↑
1973年 1,391
-10.83% ↓
1972年 1,560 -
1971年 1,560
20% ↑
1970年 1,300
5.26% ↑
1969年 1,235
11.76% ↑
1968年 1,105
6.25% ↑
1967年 1,040 -
1966年 1,040
14.29% ↑
1965年 910
7.69% ↑
1964年 845 -
1963年 845
8.33% ↑
1962年 780
9.09% ↑
1961年 715 -

ニジェールの馬肉生産量の推移を詳細に見ると、1960年代から1980年代初頭までは比較的顕著な増加が観察されました。この期間は農業技術の発展と家畜飼育の改善が進んだ影響も考えられます。1971年から1977年にかけては特に高い伸びを示し、1971年の1,560トンから1977年には1,950トンと約1.25倍に増加しました。しかしながら1984年には、馬肉生産量が1,300トンまで急落し、その翌年もさらなる減少がありました。この急激な減少については、干ばつや生態環境の変化が生態系に悪影響を与えた可能性が高いと推測されます。

その後、1990年代から2000年代にかけては緩やかな回復傾向がみられ、2004年には1,612トンまで生産と供給が回復しました。しかしながら2006年には再び生産量が741トンへと急激に減少し、その後は1,040トン前後という低水準での変動が続いています。これに続く2010年代は馬肉生産量が長期的に減少する兆候が現れ始め、2018年には709トンと顕著な削減が見られ、2023年には638トンとさらに縮小しました。この減少の背景には、気候変動による飼料確保の困難、新型コロナウイルスの流行により家畜市場が停滞したことなどが影響していると考えられます。

地域ごとの課題として、ニジェールはサヘル地域に位置しており、干ばつなど自然災害の影響を受けやすい地理的条件にあります。また、馬肉生産に関しては家畜飼育の技術や農業資源管理、さらには市場アクセスの不足が課題です。さらに人口増加や過放牧による土地の劣化が影響し、馬の飼育頭数の減少にも繋がっています。このような環境の悪化に伴い、生産性の低下が慢性化していると考えられます。

ニジェールと比較して日本では馬肉生産が限定的なものの、高品質志向の消費市場が存在します。一方で、中国や韓国は馬肉需要の増加を背景に、より効率的な飼育方法や持続可能な生産手法を取り入れています。このような比較対象を見ると、ニジェールでは持続可能な畜産に向けた技術導入が喫緊の課題であると述べられるでしょう。

今後の課題として、まず第一に、気候変動対策や農業や畜産用の持続可能な資源管理が必要です。適切な灌漑技術の導入や牧草地の保全を進めることで馬肉生産の安定化を図ることが求められます。また、家畜病予防のための医療インフラ整備や飼育技術の研修も非常に重要です。さらに輸出市場へのアクセス拡大や集中型の家畜業政策を取り入れるなどの市場対策も効果的です。

結論として、ニジェールにおける馬肉生産の推移は、環境問題や社会経済的な問題に敏感に反応する指標となっています。このデータを活用して政策を進める際には、国際社会の支援を受けつつ、地元コミュニティが主体となった持続可能な解決策の構築が不可欠です。これにより、ニジェールでの馬肉生産の安定化だけでなく、地域全体の食糧安全保障の改善にも寄与することが期待されます。