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ベラルーシの馬肉推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、ベラルーシの馬肉生産量は1990年代初頭に高い水準から始まり、2023年には200トンまで減少しており、この30年間で大幅な縮小が見られます。1992年には2,000トンだった生産量が1999年に最高の4,000トンに到達した後、長期的に減少傾向を辿っています。特に2010年代中盤以降、その減少率は加速し、2020年代にはさらに落ち込みが顕著となっています。

年度 (トン) 増減率
2023年 200
-33.33% ↓
2022年 300 -
2021年 300 -
2020年 300
-40% ↓
2019年 500
-16.67% ↓
2018年 600
-14.29% ↓
2017年 700
-12.5% ↓
2016年 800
-27.27% ↓
2015年 1,100
37.5% ↑
2014年 800
-11.11% ↓
2013年 900
-10% ↓
2012年 1,000
-41.18% ↓
2011年 1,700
-29.17% ↓
2010年 2,400
-4% ↓
2009年 2,500 -
2008年 2,500
8.7% ↑
2007年 2,300
-8% ↓
2006年 2,500
-10.71% ↓
2005年 2,800
-15.15% ↓
2004年 3,300
17.86% ↑
2003年 2,800
21.74% ↑
2002年 2,300 -
2001年 2,300
-23.33% ↓
2000年 3,000
-25% ↓
1999年 4,000
11.11% ↑
1998年 3,600
2.86% ↑
1997年 3,500
6.06% ↑
1996年 3,300
50% ↑
1995年 2,200
10% ↑
1994年 2,000
-31.03% ↓
1993年 2,900
45% ↑
1992年 2,000 -

ベラルーシにおける馬肉生産の推移を見ると、30年間で約90%近くの減少を記録しており、国内の畜産業全体の変化や国際市場の影響がうかがえます。1990年代、ベラルーシの馬肉の生産量は2,000トンを超える安定的な水準で推移し、1999年には4,000トンの生産量を記録しました。この時期はソビエト連邦崩壊に伴い、食糧供給の変化や動物性タンパク源への需要の高まりが背景にあると考えられます。しかし、その後2000年代中盤には3,000トン以下に減少し、以降も減少傾向が続いています。

2011年以降、馬肉生産量は特に急激に減少しており、2019年以降は年間1,000トン未満の水準に落ち込んでいます。この減少の直接的な要因として、国内の経済構造の変化、農業従事者の減少、さらには馬肉に対する消費者の嗜好の変化が挙げられます。さらにエネルギーコストや飼料価格の上昇も、馬肉生産に与える負担を増大させる一因となっている可能性があります。

地理的および地政学的な観点からも、この減少について考える必要があります。ベラルーシは近年、経済的にロシアへの依存度を高め、また国際的な制裁などの影響を受けています。これにより農業分野の輸出入における競争力が低下し、多くの国内生産者が市場を離れる結果となりました。また、地政学的緊張による物流の不安定性も馬肉を含む動物製品の供給に影響を与えています。

馬肉そのものの消費についても、現代のベラルーシ社会において、肉類の消費動向が変容していることが確認されています。欧州諸国全体でも馬肉の需要は減少傾向にあり、これに伴い、国内外での供給量も縮小しています。例えば、近隣諸国であるポーランドやウクライナといった地域でも似たような傾向が見られます。一方で、馬肉需要が一定する中央アジアなどの地域との輸出入連携を強化するという発想が今後の可能性として考えられるでしょう。

未来への対策としては、馬肉生産を維持または再活性化させるための政策が求められます。まず、国内での持続可能な農業政策を構築し、特に中小規模の家畜農家が直面する経済的課題に対応することが重要です。また、馬肉に関する文化的価値を地域内外で再評価し、観光や地域資源としてのプロモーションを行う取り組みも魅力的でしょう。さらには、馬肉生産を輸出市場と結びつけることで、国内収益を向上させる機会を広げることも一案です。例えば、馬肉を主食に活用する国々との貿易協定を通じて、市場開拓を目指すという方向性も考慮に値します。

結論として、ベラルーシの馬肉生産は、消費者の需要低下や経済条件の変化を含む複数の要因によって縮小を続けています。この状況を転換させるためには、農業政策の改善、地域社会や国際市場との連携強化が根幹となるでしょう。その上で、より広範な地政学的・経済的安定を目指して、馬肉生産の復興に取り組む必要があります。