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モンゴルの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、モンゴルの牛乳生産量は1961年の170,000トンから2023年には537,310トンへと大幅に増加しています。一部の年で減少傾向が見られるものの、総じて生産量は着実に増加しています。特に1990年代後半以降、増加傾向が顕著で、2022年には過去最高の595,194トンに達しました。近年では幾分の変動が見られますが、高水準を維持しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 537,310
-9.73% ↓
2022年 595,194
19.12% ↑
2021年 499,669
-3.83% ↓
2020年 519,556
4.03% ↑
2019年 499,442
-9.74% ↓
2018年 553,344
2.49% ↑
2017年 539,926
3.36% ↑
2016年 522,388
1.94% ↑
2015年 512,442
16.37% ↑
2014年 440,371
15.71% ↑
2013年 380,577
12.93% ↑
2012年 336,989
13.4% ↑
2011年 297,173
22.87% ↑
2010年 241,861
-25.7% ↓
2009年 325,526
7.26% ↑
2008年 303,500
-1.4% ↓
2007年 307,800
4.8% ↑
2006年 293,700
13.18% ↑
2005年 259,500
-21.03% ↓
2004年 328,600
12.38% ↑
2003年 292,400
5.71% ↑
2002年 276,600
-4.72% ↓
2001年 290,300
-22.71% ↓
2000年 375,600
-19.57% ↓
1999年 467,000
34% ↑
1998年 348,516
8.83% ↑
1997年 320,230
7.99% ↑
1996年 296,529
0.35% ↑
1995年 295,500
16.57% ↑
1994年 253,500
7.96% ↑
1993年 234,800
-8.79% ↓
1992年 257,427
-0.61% ↓
1991年 259,000
-4.25% ↓
1990年 270,500
-1.21% ↓
1989年 273,800
5.96% ↑
1988年 258,400
0.35% ↑
1987年 257,500
0.9% ↑
1986年 255,200
10.05% ↑
1985年 231,900
2.79% ↑
1984年 225,600
7.28% ↑
1983年 210,300
3.29% ↑
1982年 203,600
4.95% ↑
1981年 194,000
-9.77% ↓
1980年 215,000
-2.27% ↓
1979年 220,000
3.29% ↑
1978年 213,000
2.9% ↑
1977年 207,000
-2.82% ↓
1976年 213,000
3.9% ↑
1975年 205,000
-3.3% ↓
1974年 212,000
5.47% ↑
1973年 201,000
9.24% ↑
1972年 184,000
-7.54% ↓
1971年 199,000
1.02% ↑
1970年 197,000
6.49% ↑
1969年 185,000
5.71% ↑
1968年 175,000
-9.33% ↓
1967年 193,000
0.52% ↑
1966年 192,000
-8.13% ↓
1965年 209,000
12.97% ↑
1964年 185,000
2.78% ↑
1963年 180,000
2.86% ↑
1962年 175,000
2.94% ↑
1961年 170,000 -

モンゴルの牛乳生産量は、ここ数十年で著しい成長を見せています。1961年に170,000トンだった生産量は、1990年代前半まで20万トンから30万トンの範囲内で推移していました。その後、特に1995年以降の急激な増加が顕著であり、1999年には467,000トンに達し約2.8倍に拡大しました。

この成長には、いくつかの背景が考えられます。モンゴルは伝統的に遊牧を基盤とした畜産業が発展しており、酪農もその一環として重要な産業です。1990年代に入ると、モンゴル経済は社会主義体制からの移行期を迎え、多くの産業が自由化されました。この中で酪農業も高い成長を遂げたと推察されます。遊牧民の多くが伝統的な飼育法を活かして生産を増加させたことに加え、1990年代以降の市場経済化により海外輸出や国内消費拡大が進んだ点も要因かもしれません。

しかし牛乳生産量の推移は必ずしも一貫して右肩上がりではなく、一部の年では減少が見られます。例えば、2000年代前半や2021年といった特定の期間に大きな減少の傾向が確認されます。これらの変化には、自然災害や家畜の病気、新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーンの混乱といった外的要因が影響している可能性があります。モンゴルは気候変動の影響を強く受ける必然的な立地にあり、近年発生している「ゾド」と呼ばれる厳冬による家畜の大量死が、生産量の一時的な低下を引き起こす要因となったと考えられます。また、2023年の537,310トンという生産量も、2022年の記録的な595,194トンからわずかに減少していますが、これは供給の安定化を目指した調整や輸出の動向によるものと推測されます。

他国と比較すると、モンゴルの生産量は決して世界トップの水準ではありません。例えば、同じアジア地域では中国やインドの牛乳生産量が飛び抜けて高く、モンゴルの約10倍以上の規模を誇ります。しかし、モンゴルの生産量は国内人口に対して適切な供給を保ちながら、輸出の基盤も構築しつつあります。特に乳製品は遊牧文化に根差した重要な生活資源であり、自給自足を超えて経済収益の源泉となりつつあります。

未来に向けての課題としては、気候変動への対策、特に極端な寒波や乾燥地帯での持続可能な酪農手法の開発が挙げられます。また、国際市場の需要に対応した乳製品加工技術や輸出インフラの整備も進めるべきでしょう。政策面では、遊牧民への技術支援や家畜の飼育環境改善、さらには地政学的リスクにも備えた輸出ルートの多様化が重要です。

総合的に見て、モンゴルの牛乳生産の拡大は、国内外の需要に応えるだけではなく、気候変動や国際市場の変化に柔軟に対応しなければならない局面に来ています。今後は、持続可能な生産体制の構築が鍵となり、国内政策と国際的な連携がこれを支える重要な要素となるでしょう。

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