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プエルトリコのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新データによると、プエルトリコのトウモロコシ生産量は、1961年の15,082トンをピークに、長期にわたって減少傾向にあります。近年はさらに著しく減少し、2020年から2022年にかけて18トン前後で推移しています。このデータからはプエルトリコにおけるトウモロコシ生産の衰退が顕著であることが浮き彫りとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 324
1743.23% ↑
2022年 18
0.06% ↑
2021年 18
-0.96% ↓
2020年 18
-17.06% ↓
2019年 21
6.95% ↑
2018年 20
9.11% ↑
2017年 18
10.62% ↑
2016年 17
25.15% ↑
2015年 13
32.14% ↑
2014年 10
-44.61% ↓
2013年 18
64.45% ↑
2012年 11
-67.37% ↓
2011年 34
-27.29% ↓
2010年 46
-22.37% ↓
2009年 60
-18.95% ↓
2008年 74
-49.09% ↓
2007年 145
-17.39% ↓
2006年 175
58.56% ↑
2005年 111
-12.59% ↓
2004年 126
-20.79% ↓
2003年 160
-20.9% ↓
2002年 202
-34.8% ↓
2001年 309
-31.23% ↓
2000年 450
-35.71% ↓
1999年 700
-30.83% ↓
1998年 1,012
23.41% ↑
1997年 820
9.33% ↑
1996年 750
13.64% ↑
1995年 660
20% ↑
1994年 550
28.5% ↑
1993年 428
-6.96% ↓
1992年 460
-8% ↓
1991年 500
-7.41% ↓
1990年 540
-12.9% ↓
1989年 620
100% ↑
1988年 310
-55.71% ↓
1987年 700
288.89% ↑
1986年 180
20% ↑
1985年 150
50% ↑
1984年 100 -
1983年 100
25% ↑
1982年 80
-36% ↓
1981年 125
-16.67% ↓
1980年 150
-26.83% ↓
1979年 205
-4.65% ↓
1978年 215
-5.29% ↓
1977年 227 -
1976年 227
-50% ↓
1975年 454 -
1974年 454
-9.74% ↓
1973年 503
-53.81% ↓
1972年 1,089
-3.97% ↓
1971年 1,134
-16.68% ↓
1970年 1,361
-62.5% ↓
1969年 3,629
14.3% ↑
1968年 3,175
-60% ↓
1967年 7,938
-17.65% ↓
1966年 9,639
-25.44% ↓
1965年 12,927 -
1964年 12,927
41.29% ↑
1963年 9,149 -
1962年 9,149
-39.34% ↓
1961年 15,082 -

プエルトリコのトウモロコシ生産量の推移に目を向けると、大きな衰退が認められます。1961年に15,082トンと高い生産量を記録したものの、その後は急速に減少し、1970年代には生産量が1,000トンを割り込む状況に至りました。それ以降、断続的な増減を見せながらも低い水準が続き、特に2000年代以降はほぼ毎年減少が続きました。2020年代には年20トン未満という極めて低い規模で安定している状態です。

背景にはいくつかの要因が考えられます。まず、1960年代から1970年代に代表される農業の機械化・集約化の時期において、プエルトリコは徐々にトウモロコシ生産から他の作物や産業への転向が進みました。また、島特有の地理的制約、気候条件、大規模な災害の発生もトウモロコシ生産に影響を与えたと考えられます。これにはハリケーンの被害が含まれ、その復旧には多大な時間と資源が必要でした。

次に、プエルトリコ経済全体の構造的な問題も関連しています。プエルトリコは他のラテンアメリカ諸国と異なり、輸入穀物への依存度が高まり、国内生産を維持するインセンティブが乏しくなりました。また、国内の農業従事者の減少や高齢化、土地利用の変化も、トウモロコシ生産の縮小要因として挙げられます。

国際的に見ると、トウモロコシの主要生産国であるアメリカや中国、インドと比較してプエルトリコの生産量は非常に少ない規模にとどまっています。例えば、アメリカにおけるトウモロコシ生産は年間数億トンに達する一方、プエルトリコの生産量はその1億分の1以下に過ぎません。これは国土の広さだけでなく、農業の優先度や気候条件の違いが影響していると考えられます。

課題も多い一方で、気候変動の影響を和らげるために持続可能な農業の重要性が増している現在、プエルトリコが国内農産物の生産を再考する機会があると言えるでしょう。トウモロコシのような伝統的な作物の復興には、農業インフラの整備や土地資源の再配分が必要不可欠です。また、高付加価値の品種や気候変動に適応した耐性品種の導入といった技術的な対応も検討されるべきです。

さらには、プエルトリコ政府と地域の農業団体による政策的支援の強化が必要です。金融支援や補助金を通じて、小規模農家の意欲を高めると同時に、大都市市場へのアクセスを簡素化する物流の整備も重要です。また、他国の成功事例を参考に、トウモロコシ生産の効率化や技術共有を促進する国際的な協力体制を築くことも視野に入れるべきです。

結論として、プエルトリコにおけるトウモロコシ生産量の推移は、一国の農業と経済構造がいかにして変化してきたかを示す一例です。この生産減少が意味するのは単なる作物の問題だけではなく、食料安全保障、地域経済、気候リスクへの適応の重要性です。将来に向けてプエルトリコが抱える課題を克服するためには、多面的なアプローチと長期的な視野を持った政策策定が必要です。