最新のFAO(国際連合食糧農業機関)のデータによると、モーリタニアのトウモロコシ生産量は2022年に17,896トンに達し、過去数十年間で大きな変動を伴いながら成長してきたことがわかります。特に近年では、持続的な改善が見られる半面、環境的な制約や災害による影響が課題として浮き彫りになっています。
モーリタニアのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 17,896 |
2021年 | 12,000 |
2020年 | 15,000 |
2019年 | 17,232 |
2018年 | 12,000 |
2017年 | 14,000 |
2016年 | 9,600 |
2015年 | 6,976 |
2014年 | 12,565 |
2013年 | 6,226 |
2012年 | 22,841 |
2011年 | 11,609 |
2010年 | 19,910 |
2009年 | 11,830 |
2008年 | 15,461 |
2007年 | 16,966 |
2006年 | 17,285 |
2005年 | 12,234 |
2004年 | 7,138 |
2003年 | 15,810 |
2002年 | 4,778 |
2001年 | 6,168 |
2000年 | 13,651 |
1999年 | 5,148 |
1998年 | 10,927 |
1997年 | 11,616 |
1996年 | 14,415 |
1995年 | 3,598 |
1994年 | 6,294 |
1993年 | 7,463 |
1992年 | 3,142 |
1991年 | 2,113 |
1990年 | 2,408 |
1989年 | 2,660 |
1988年 | 7,467 |
1987年 | 1,000 |
1986年 | 3,000 |
1985年 | 1,000 |
1984年 | 3,000 |
1983年 | 3,000 |
1982年 | 4,000 |
1981年 | 4,000 |
1980年 | 5,000 |
1979年 | 5,000 |
1978年 | 4,800 |
1977年 | 4,000 |
1976年 | 4,500 |
1975年 | 2,500 |
1974年 | 2,000 |
1973年 | 1,500 |
1972年 | 3,500 |
1971年 | 3,800 |
1970年 | 3,800 |
1969年 | 4,000 |
1968年 | 4,000 |
1967年 | 5,700 |
1966年 | 4,000 |
1965年 | 3,800 |
1964年 | 4,000 |
1963年 | 3,700 |
1962年 | 3,400 |
1961年 | 3,200 |
モーリタニアのトウモロコシ生産量は、1960年代からの推移を見ると、著しい変動を伴いながら成長してきました。1960年代後半から70年代前半には、3,000トン前後から一時5,700トンまで増加したものの、1973年から1975年頃にかけて大幅に低下し、最小で1,000トンにまで生産量が落ち込む時期もありました。この低下は、主に干ばつや農業技術の未成熟といった問題が影響したと考えられます。
その後、1980年代から90年代初頭にかけても不安定な増減が続きました。1986年に再び1,000トンと最低記録を更新しましたが、1988年には7,467トンと劇的に増加しました。この短期的な振れ幅は、降雨量の変動や農業支援政策の成果などに起因する可能性があります。1990年代中盤以降では、技術の導入や農業プロジェクトを通じて安定化の傾向が見え始め、1996年に14,415トン、2000年には13,651トンと比較的高い水準を維持しました。
2000年代後半から現在に至るまで、トウモロコシの生産量は全体的に持続的な成長を示しています。特に2010年には19,910トン、2012年には22,841トンと最過去最高値を記録し、これは国内での食料供給を安定化させるための重要なステップといえます。しかし、2013年と2015年の6,000トン台への急低下は、自然災害や地域的な気候変動が与える影響の深刻さを示しているでしょう。
地政学的には、モーリタニアはサヘル地域特有の問題として、気候変動や砂漠化、資源争奪による地域的な衝突のリスクに直面しています。このような状況では農業の持続可能性が常に脅かされており、特にトウモロコシのような主食作物の安定化が求められています。
今後の課題としては、灌漑技術のさらなる向上や、干ばつ耐性のあるトウモロコシ品種の開発・普及が挙げられます。また、地域の協力体制を強化し、環境政策と気候変動適応戦略を組み合わせた包括的なアプローチが必要です。具体的には、例えば近隣諸国(マリやセネガルなど)と連携した包括的な農業支援プログラムの立ち上げや、国際機関の資金援助を活用した気候変動対策の強化が考えられます。
一方で、国内市場と輸出のバランスを適切に保つことも重要です。生産量が増加傾向にある現在、国内外の需要を効果的にマッチさせる流通インフラの改善も求められます。特に日本や韓国、中国などからの食品輸入に依存する同地域では、地産地消の取り組みを強化し、輸入依存を減らすことが食料安全保障の観点からも意義深いといえます。
全体として、モーリタニアのトウモロコシ生産量の推移は、多くの課題を抱えつつも成長を続けています。これをさらに押し上げるためには、農業分野での技術革新や国際的な協力をさらに進めることが不可欠です。将来的には、精密農業(デジタル技術を活用した農業)や気候変動に強いインフラ整備を通じて、生産量の安定化と国内経済の強化に寄与することが期待されます。