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イスラエルのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organizationが発表したデータによると、イスラエルのトウモロコシ生産量は、1961年の7,800トンから1985年のピーク時には103,500トン、その後も1989年に112,300トン、2014年には163,601トンと一時的な増減を見せつつ、大きく増加しました。しかし、2014年以降は減少傾向に転じ、2022年には50,018トンとなり、近年では最低水準に達しています。この生産量の変化には、農業政策の変更、気候要因、水資源の制約、経済的要因が関連しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 51,410
2.78% ↑
2022年 50,018
-26.76% ↓
2021年 68,291
-8.31% ↓
2020年 74,477
-4.27% ↓
2019年 77,801
3.83% ↑
2018年 74,929
-14.45% ↓
2017年 87,583
9.12% ↑
2016年 80,264
-9.81% ↓
2015年 88,990
-45.61% ↓
2014年 163,601
48.63% ↑
2013年 110,073
28.95% ↑
2012年 85,358
-11.43% ↓
2011年 96,375
11.37% ↑
2010年 86,537
6.71% ↑
2009年 81,097
-18.32% ↓
2008年 99,287
6.78% ↑
2007年 92,981
19.77% ↑
2006年 77,633
30.1% ↑
2005年 59,671
-16.33% ↓
2004年 71,320
-7.52% ↓
2003年 77,120
17.96% ↑
2002年 65,380
12.11% ↑
2001年 58,320
-17.65% ↓
2000年 70,820
-13.8% ↓
1999年 82,160
-5.89% ↓
1998年 87,300
28.18% ↑
1997年 68,110
-9.08% ↓
1996年 74,910
17.54% ↑
1995年 63,730
-3.13% ↓
1994年 65,792
-6.96% ↓
1993年 70,710
-10.1% ↓
1992年 78,650
-12.44% ↓
1991年 89,820
-6.08% ↓
1990年 95,630
-14.84% ↓
1989年 112,300
28.64% ↑
1988年 87,300
-5.42% ↓
1987年 92,300
-10.82% ↓
1986年 103,500
5.5% ↑
1985年 98,100
251.61% ↑
1984年 27,900
-27.34% ↓
1983年 38,400
37.14% ↑
1982年 28,000
89.19% ↑
1981年 14,800
8.03% ↑
1980年 13,700
28.04% ↑
1979年 10,700
-13.71% ↓
1978年 12,400
-3.88% ↓
1977年 12,900
-10.42% ↓
1976年 14,400
-3.68% ↓
1975年 14,950
9.52% ↑
1974年 13,650
13.75% ↑
1973年 12,000
15.94% ↑
1972年 10,350
36.18% ↑
1971年 7,600
65.22% ↑
1970年 4,600
35.29% ↑
1969年 3,400
36% ↑
1968年 2,500
-7.41% ↓
1967年 2,700
35% ↑
1966年 2,000
-37.5% ↓
1965年 3,200
-33.33% ↓
1964年 4,800
-26.15% ↓
1963年 6,500
-19.75% ↓
1962年 8,100
3.85% ↑
1961年 7,800 -

イスラエルのトウモロコシ生産量の推移を見てみると、1961年から2022年にかけて劇的な変動を経験しています。特に1960年代から1970年代は生産量にさまざまな波が見られ、2,000トン台から7,000トン台まで増減を繰り返しています。これは、初期段階における農業技術や灌漑システムの整備が不十分だったこと、また地域の地政学的な安定性が低かった影響が考えられます。その後、1970年代から1980年代にかけて灌漑技術の向上や市場開放政策の進展により、トウモロコシの生産は右肩上がりに増加しました。1982年から1985年にかけては生産量が急増し、1985年には103,500トンという顕著な数値を示しています。

1980年代後半から1990年代にかけても、年間90,000トン以上の安定した生産を維持しましたが、1990年代の後半から2000年代にかけて再び減少傾向が現れ始めました。この時期には、他国との自由貿易協定の影響で輸入トウモロコシが国内市場に流入し、自国生産が経済的に競争力を失ったことが一因と考えられます。また、この間には水不足が深刻化し、トウモロコシの栽培に必要な灌漑用水も制限されるようになりました。

2014年には163,601トンという過去最高の生産量を達成し、農作物としてのピークに達しましたが、その後は急激に低下しています。この要因として、イスラエル特有の乾燥した気候条件、異常気象による干ばつ、水資源制約の悪化、そしてトウモロコシよりも経済的に利益の大きい作物への転換が挙げられます。近年では2022年に50,018トンとなり、過去60年間でも非常に低い水準にまで落ち込みました。

イスラエル国内では、農業用水の約半分以上がリサイクル水に依存しており、水の管理が重要な課題となっています。また、地域的な地政学的課題も無視できません。たとえば、パレスチナ自治区との関係や中東地域の政治的不安定さが農業政策や資源分配に影響を与えています。このため、トウモロコシ生産をさらに拡大するには、技術革新による水の効率的利用や、干ばつ耐性の強いトウモロコシ品種の導入が不可欠です。

さらに、国際市場の競争に対応するためには、輸出を視野に入れた規模の拡大とともに、バリューチェーンを強化することが求められます。これを実現するためには、政府が農業支援政策を講じることが重要です。たとえば、農業従事者に対する融資制度の向上、砂漠緑化プロジェクトの推進などが挙げられるでしょう。また、トウモロコシ以外の作物と多角的な栽培を行うことで、農業の安定性と輸出収入の両立を図ることも可能です。

中東の地理的・気候的条件を考慮すると、持続可能な農業の発展には地域協力も欠かせません。他国と連携して研究開発を進め、リソースを共有することで、共同の利益を生み出すことが期待されます。特に水資源の効率的な利用、異常気象への適応、平和的な地域間連携の強化は、今後の鍵となる課題です。

結論として、イスラエルのトウモロコシ生産量の減少傾向を克服するには、水の効率利用や新たな品種の開発、そして国内外の農業政策の改善を通じた長期的な視野を持って取り組む必要があります。これにより、トウモロコシ生産が再び安定化し、さらにはイスラエル農業全体の持続可能性が向上するものと期待されます。