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中央アフリカ共和国のトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、中央アフリカ共和国のトウモロコシ生産量は、1961年の40,000トンから2022年の214,384トンへ、長期的に見て大幅な増加を示しています。しかし、特定の期間には減少や停滞が観察され、その背景には地域紛争や農業インフラの不足が関連していると考えられます。特に2010年から2014年の急激な減少や2020年以降の急激な増加はデータ内で注目すべき特徴です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 220,815
3% ↑
2022年 214,384
3% ↑
2021年 208,140
3% ↑
2020年 202,077
95.19% ↑
2019年 103,531
4% ↑
2018年 99,549
4% ↑
2017年 95,720
-0.54% ↓
2016年 96,239
19.62% ↑
2015年 80,455
1.08% ↑
2014年 79,595
17.89% ↑
2013年 67,514
-19.97% ↓
2012年 84,365
-0.01% ↓
2011年 84,373
1.28% ↑
2010年 83,308
-44.89% ↓
2009年 151,168
3% ↑
2008年 146,765
5% ↑
2007年 139,776
6.7% ↑
2006年 131,000 -
2005年 131,000
4.8% ↑
2004年 125,000
5.04% ↑
2003年 119,000
5.31% ↑
2002年 113,000
5.61% ↑
2001年 107,000
6.26% ↑
2000年 100,700
6% ↑
1999年 95,000
7.95% ↑
1998年 88,000
6.54% ↑
1997年 82,600
8.97% ↑
1996年 75,800
7.03% ↑
1995年 70,818
13% ↑
1994年 62,672
8% ↑
1993年 58,030
-1.56% ↓
1992年 58,947
2.27% ↑
1991年 57,640
12.8% ↑
1990年 51,100
-17.18% ↓
1989年 61,699
-11.85% ↓
1988年 69,993
6.06% ↑
1987年 65,993
-29.94% ↓
1986年 94,189
106.59% ↑
1985年 45,592
8.29% ↑
1984年 42,100
6.11% ↑
1983年 39,676
-17.68% ↓
1982年 48,200
4.62% ↑
1981年 46,073
12.77% ↑
1980年 40,857
21.23% ↑
1979年 33,703
-14.36% ↓
1978年 39,353
19.25% ↑
1977年 33,000
-21.43% ↓
1976年 42,000
2.44% ↑
1975年 41,000
-10.39% ↓
1974年 45,754
0.34% ↑
1973年 45,600
2.7% ↑
1972年 44,400
2.31% ↑
1971年 43,397
2.87% ↑
1970年 42,188
-10.54% ↓
1969年 47,156
-5.69% ↓
1968年 50,000
25% ↑
1967年 40,000
11.11% ↑
1966年 36,000
12.5% ↑
1965年 32,000
14.29% ↑
1964年 28,000
-6.67% ↓
1963年 30,000 -
1962年 30,000
-25% ↓
1961年 40,000 -

中央アフリカ共和国のトウモロコシ生産の推移を見ると、1961年から1980年代半ばまでは4万トンから最大で9万トン程度の間を変動していました。この期間は、農業技術の発展が遅く、灌漑設備の未整備や地域での政治的・社会的な不安定要因が生産に影響した可能性があります。その後1990年代以降、比較的安定した増加傾向が見られ、2000年には10万トンを超えました。この増加は、国際支援や農業技術の導入、トウモロコシ需要の高まりなどが要因と考えられます。

2007年から2009年にかけてピークを迎えた生産量は13万トン以上に達しましたが、2010年以降には、生産量が再び大幅に減少し、2013年には67,514トンまで落ち込みました。この背景には、当時国全体を揺るがした武力衝突や治安の悪化が影響したとされています。このような状況下では農地の利用が制限され、農作物の流通も停滞することが一般的です。

2016年以降、再び増加基調に転じ、2020年以降は大幅な伸びを記録しました。2022年のトウモロコシ生産量は214,384トンに達しており、これは長期間のデータにおいて最大値です。この急成長の要因としては、地域紛争の一時的な解消や国際機関による支援の増加、さらには気候条件の改善が挙げられます。例えば、FAOやUNICEFをはじめとする国際組織が農業支援プログラムを展開し、種子供給や栄養補助を進めたことが大きな効果をもたらしたと考えられます。

一方で、地域特有の課題も依然として影響を及ぼしています。中央アフリカ共和国はインフラ整備が遅れているため、収穫されたトウモロコシの輸送や保存が難しい現状があります。生産量が増加しても、それらが有効に市場に流通せず、食料安全保障に課題をもたらす場合があります。また、地政学的リスクとして、隣国間の紛争や民族間の対立が再び生産に悪影響を与える可能性も指摘されています。

今後の対策として、農業基盤のさらなる整備が必要です。例えば、灌漑インフラの構築や倉庫設備の導入を進めることで、農家が安定的に作物を生産・保存できる環境を提供することが重要です。また、地域コミュニティとの協調を深め、民族間の衝突を防ぐための対話プログラムも効果的でしょう。これに加えて、国際的な農業技術の移転を積極的に進めることや、気候変動に強いトウモロコシ品種の導入なども推奨されます。

さらには、輸出産業への多角化による収入基盤の確保も求められます。主要農産物としてのトウモロコシの生産と輸出を支えるため、政府が税制優遇や融資制度の導入を進めることで、持続可能な農業成長が期待されます。

中央アフリカ共和国のトウモロコシ生産における成功と課題を踏まえ、単なる量的拡大だけでなく、効率的なインフラ整備、持続可能な農業政策、国際支援の継続が鍵となります。トウモロコシ生産は同国にとって食料安全保障のみならず経済の基盤ともなり得る重要な要素であり、これを踏まえた体系的な政策が求められます。