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エストニアのさくらんぼ生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、エストニアのさくらんぼ生産量は1990年代初頭から2000年代後半にかけて大きな変動を見せつつ、ここ数十年間では低迷傾向が続いています。特に1992年には743トンだった生産量が、2002年には最高の1,435トンを記録しましたが、それ以降減少し、2014年にはわずか19トンにまで落ち込みました。近年は若干の回復傾向が見られるものの、大規模な改善には至っていません。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 79
-28.83% ↓
2016年 111
-5.13% ↓
2015年 117
515.79% ↑
2014年 19
-69.84% ↓
2013年 63
-43.24% ↓
2012年 111
5.71% ↑
2011年 105
-16.67% ↓
2010年 126
16.67% ↑
2009年 108
10.2% ↑
2008年 98
-9.26% ↓
2007年 108
-43.46% ↓
2006年 191
5.52% ↑
2005年 181
88.54% ↑
2004年 96
-85.52% ↓
2003年 663
-53.8% ↓
2002年 1,435
78.48% ↑
2001年 804
35.58% ↑
2000年 593
195.02% ↑
1999年 201
-42.74% ↓
1998年 351
-20.23% ↓
1997年 440
33.33% ↑
1996年 330
-48.03% ↓
1995年 635
-10.44% ↓
1994年 709
-38.61% ↓
1993年 1,155
55.45% ↑
1992年 743 -
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エストニアのさくらんぼ生産の推移を見てみると、驚くべきほどの変動と深刻な減少が繰り返されています。その背景には、気候条件の変化、経済的制約、農業政策の変更が複雑に絡み合っていると考えられます。

1990年代初期から中盤にかけて、さくらんぼの生産量は概ね増加を見せ、1993年に1,155トン、2002年には過去最高の1,435トンを記録しました。このような生産量の上昇は、旧ソ連諸国としての農業体制からの移行期における一時的な生産拡大や、地元農家の需要への対応によるものと考えられます。しかし、その一方で、収益性の課題や他の農作物との競争が激化したこともあり、次第に生産に影響を与えることになりました。

2000年代に入ると、生産量は急激に減少し、2004年には96トンにまで落ち込みます。この変化には、エストニアの厳しい気候やそれに伴う不作、さらにはEU加盟後の市場競争力の低下が影響を及ぼしている可能性があります。また、温暖化や異常気象も果樹栽培にとって重大な課題であり、特にエストニアのように北部に位置する国においては、適切な栽培技術や気候に耐えうる品種の開発が必要とされます。

さらに、2014年に記録された19トンという極端な低生産量は、全期間中でも最も低い数値であり、これは異常な天候や市場需要の低迷による生産縮小を反映している可能性が高いです。その後、2015年以降、わずかながら回復の兆しが見られるものの、2017年までの数値で見ると大規模な改善は見られない状況です。

エストニア国内のさくらんぼ生産が直面している主な課題は、気候変動と市場競争力の低下に留まりません。EU内の貿易自由化により安価な輸入品が増加した結果、地元農家の経済的負担が大きくなっています。また、農業労働力の高齢化や若年層の農業参加率不足といった構造的問題も影響を与えています。限られた資源の中で、高品質の作物を安定して生産するには、効率的な灌漑技術や病害虫の管理技術の導入が必要です。

今後の改善策として、まず地域特有の条件に適した新しいさくらんぼ品種の開発が重要です。寒冷地でも高収量を実現できる栽培品種を研究・導入することで、気候変動に対応する基盤を築くことができます。また、EUレベルでの協力を深めることも検討すべきです。例えば、地域間の農業技術交流や補助金制度を活用して、エストニア農家の経済的支援を強化することが可能です。

さらに、国内外での需要促進策として、さくらんぼの加工製品(ジャムやジュースなど)の輸出産業を強化することも有効でしょう。輸出市場への影響力を拡大することで、地元農業の活性化に繋げることが期待されます。このほか、観光と結びつけた農業振興策、つまり「農園観光」の展開も、地方の農業基盤を底上げする戦略として重要です。

エストニアのさくらんぼ生産の進退を考える上で、気候や経済といった外的要因に対する工夫だけでなく、農家の持続可能な発展を支える政策が欠かせません。国際機関や地域政府との連携を強化し、多面的な取り組みを進展させることで、エストニアのみならず他の北欧諸国が直面する共通の課題解決にも繋がるでしょう。

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