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アラブ首長国連邦のレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、アラブ首長国連邦(UAE)のレモン・ライム生産量は1961年には1,800トンで始まり、年々徐々に増加を見せましたが、1980年代後半には急激な伸び、1990年代以降は全体的な減少傾向が見られます。特に2000年以降の年間生産量は不安定で、2019年以降再び増加傾向を見せています。2023年時点では9,000トンで、前年度と同水準を維持しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 9,000 -
2022年 9,000
28.39% ↑
2021年 7,010
-53.69% ↓
2020年 15,136
99.58% ↑
2019年 7,584
56.47% ↑
2018年 4,847
-14.86% ↓
2017年 5,693
-5.56% ↓
2016年 6,028
5.66% ↑
2015年 5,705
1.78% ↑
2014年 5,605
200.86% ↑
2013年 1,863
-4.36% ↓
2012年 1,948
-43.04% ↓
2011年 3,420
-37.61% ↓
2010年 5,482
9.64% ↑
2009年 5,000
10.33% ↑
2008年 4,532
-19.3% ↓
2007年 5,616
19.24% ↑
2006年 4,710
5.99% ↑
2005年 4,444
-60.67% ↓
2004年 11,300
0.28% ↑
2003年 11,269
-26.45% ↓
2002年 15,321
-5.4% ↓
2001年 16,195
-5.76% ↓
2000年 17,184
-6.94% ↓
1999年 18,466
-5.77% ↓
1998年 19,597
-2.76% ↓
1997年 20,153
0.86% ↑
1996年 19,982
-0.13% ↓
1995年 20,008
-0.67% ↓
1994年 20,143
1.11% ↑
1993年 19,921
-1.36% ↓
1992年 20,196
-13.6% ↓
1991年 23,376
13.79% ↑
1990年 20,544
11.32% ↑
1989年 18,455
30.58% ↑
1988年 14,133
96.26% ↑
1987年 7,201
20.24% ↑
1986年 5,989
-1.27% ↓
1985年 6,066
-0.48% ↓
1984年 6,095
98.66% ↑
1983年 3,068
44.11% ↑
1982年 2,129
-19.23% ↓
1981年 2,636
-32.93% ↓
1980年 3,930
15.72% ↑
1979年 3,396
5.96% ↑
1978年 3,205
-15.39% ↓
1977年 3,788
5.22% ↑
1976年 3,600
2.86% ↑
1975年 3,500
6.06% ↑
1974年 3,300 -
1973年 3,300
10% ↑
1972年 3,000
3.45% ↑
1971年 2,900
3.57% ↑
1970年 2,800
12% ↑
1969年 2,500
8.7% ↑
1968年 2,300 -
1967年 2,300
9.52% ↑
1966年 2,100
5% ↑
1965年 2,000 -
1964年 2,000
2.56% ↑
1963年 1,950
5.41% ↑
1962年 1,850
2.78% ↑
1961年 1,800 -

アラブ首長国連邦(UAE)におけるレモン・ライム生産量の推移は、この地域の農業構造、気候条件、さらには経済政策や国際的な地政学的背景を反映しています。最初のデータが記録された1961年、UAEのレモン・ライム生産は1,800トンと小規模でしたが、その後1970年代から1980年代にかけて、農業技術の改良や生産拡大政策により着実な増産が進みました。特に1988年から1991年にかけては14,000トンを超え、ピークを迎えた1991年には23,376トンに達しました。この伸びは、当時の国家としての安定した状況と灌漑技術の向上によるものと考えられます。

しかし1990年代中盤以降は、生産量が減少し始め、特に2000年以降では減少幅が大きくなり、年間5,000トンを下回る年が続きました。この主な背景には、水資源の制約、都市化の進行、農地の縮小といった国内事情があります。UAEは砂漠地帯が大半を占める国土を持つため、水資源の確保が課題であり続けています。この地域の主な灌漑源である地下水の利用が減少したことが、農業生産全般、特にレモン・ライム生産量に大きな影響を及ぼしたと考えられます。

さらに2003年以降では、気候変動とそれに伴う異常気象が生産量のさらなる減少を招いた可能性があります。このデータにおいて特筆される点は、2005年の4,444トンという落ち込みです。この数字は、過去のピーク時(1991年)の6分の1以下に過ぎず、農業の外的依存度の高さが浮き彫りになっています。また、2012年と2013年には1,900トン前後まで落ち込み、最低水準を記録しました。

2019年以降、レモン・ライム生産は徐々に回復傾向を見せています。2020年には15,136トンと大幅に増加しましたが、その後2021年には7,010トンに減少するなど安定とは言い難い状況が続いています。2022年と2023年では9,000トンとある程度の持ち直しを見せていますが、再び持続的な増産の実現には環境的・経済的課題の解決が求められています。

現在でも農業水準の向上は地政学的影響に左右されており、中東全体の気候リスクや貿易摩擦が将来的なレモン・ライム生産に与える影響も懸念されます。国際的な視点で見ると、日本、中国、アメリカ、フランスなどの主要生産国や消費国は、国内での栽培技術や輸入ルートの整備によりより安定した供給システムを構築していますが、UAEのような砂漠地帯に位置する国の農業は依存度の高い環境リソースを考慮しなければならず、この点で課題が顕著です。

未来へ向けて、UAEには持続可能な農業モデルを確立するための具体的措置が求められます。例えば、海水淡水化技術の活用や、先進的な農業技術(例:垂直農業やドローンによる水管理)の導入は重要な対策となるでしょう。また、気候変動に対応した作物の品種改良や、地域間での農業労働者の流動性の促進も生産の安定性を高める方策として挙げられます。さらに、近隣諸国との協力による水資源の共同利用や、国際的な援助を活用した技術導入の推進が有益です。

結論として、レモン・ライムをはじめとする農産物の生産は、UAEの食料安全保障と農村地域の経済維持において欠かせない分野であり、この分野の強化には環境負荷を最小限にしつつ持続可能な戦略を構築することが鍵となります。国際的な協力や革新的な技術の導入を通じて、長期的な生産安定を実現する可能性は十分に残されています。