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中央アフリカ共和国のプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、中央アフリカ共和国のプランテン(料理用バナナ)の生産量は、1961年の48,000トンから2022年には89,077トンへと、長期的には着実な増加傾向を示しました。しかしながら2023年には40,877トンと、急激な減少が記録されました。この減少は、国内の社会的・経済的要因や紛争、あるいは気候変動の影響が要因である可能性があります。過去の傾向と2023年の劇的な変化を比較しながら、問題点とその背景について考察します。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 40,877
-54.11% ↓
2022年 89,077
0.34% ↑
2021年 88,772
0.34% ↑
2020年 88,467
0.25% ↑
2019年 88,247
0.26% ↑
2018年 88,015
0.48% ↑
2017年 87,597
0.6% ↑
2016年 87,072
0.76% ↑
2015年 86,413
1.15% ↑
2014年 85,430
0.61% ↑
2013年 84,916
-0.1% ↓
2012年 85,000
1.19% ↑
2011年 84,000
-4.55% ↓
2010年 88,000
3.53% ↑
2009年 85,000
1.98% ↑
2008年 83,348
1.64% ↑
2007年 82,000
-0.22% ↓
2006年 82,177
1.45% ↑
2005年 81,000
-0.49% ↓
2004年 81,398
1.75% ↑
2003年 80,000
-2.44% ↓
2002年 82,000
-0.52% ↓
2001年 82,425
-0.69% ↓
2000年 83,000
1.56% ↑
1999年 81,723
-0.34% ↓
1998年 82,000
2.5% ↑
1997年 80,000
2.2% ↑
1996年 78,279
0.36% ↑
1995年 78,000
2.63% ↑
1994年 76,000
2.7% ↑
1993年 74,000
2.78% ↑
1992年 72,000
2.86% ↑
1991年 70,000
2.94% ↑
1990年 68,000
1.49% ↑
1989年 67,000
1.52% ↑
1988年 66,000 -
1987年 66,000
1.54% ↑
1986年 65,000 -
1985年 65,000 -
1984年 65,000
1.56% ↑
1983年 64,000 -
1982年 64,000
3.23% ↑
1981年 62,000 -
1980年 62,000
3.33% ↑
1979年 60,000 -
1978年 60,000
-1.64% ↓
1977年 61,000
1.67% ↑
1976年 60,000
3.45% ↑
1975年 58,000
1.75% ↑
1974年 57,000
0.88% ↑
1973年 56,500
2.73% ↑
1972年 55,000
1.85% ↑
1971年 54,000
1.89% ↑
1970年 53,000
1.92% ↑
1969年 52,000
1.96% ↑
1968年 51,000
2% ↑
1967年 50,000
2.04% ↑
1966年 49,000 -
1965年 49,000 -
1964年 49,000
2.08% ↑
1963年 48,000 -
1962年 48,000 -
1961年 48,000 -

プランテン(料理用バナナ)は中央アフリカ共和国において重要な食糧資源であり、国内で広く消費されている主食の一つです。また、地域の小規模農家にとっては生計を支える重要な収入源でもあります。1961年の生産量は48,000トンで、その後、1991年までの約30年間に一定の緩やかな増加が見られました。特に1990年代初頭からはより加速的な成長を遂げ、2019年には88,000トンを超える生産量に達しています。このような長期的な増加傾向は、農業技術の改良や栽培面積の拡大、地域全体での作物需要の高まりなどが要因として挙げられます。

しかしながら、2023年には生産量が40,877トンと、過去数十年間では見られない急激な減少が記録されました。この減少幅は50%以上に達しており、国内農業への相当な打撃を示していると考えられます。この減少は、いくつかの要因によるものと推察されます。まず直近の社会情勢として、中央アフリカ共和国では経済不安や国内紛争が続いており、農業従事者が安定的に作物を生産・供給できる状況が損なわれている可能性があります。また、気候変動や天候不順が、収穫量や作物の品質に悪影響を与えたことも考えられます。さらに地政学的な背景として、近隣諸国や国際市場との取引が停滞し、農産物の流通に影響を及ぼしている点も注目すべきです。

他国の状況と比較すると、日本や韓国のような農業依存度の低い国々では、プランテンのような特定作物の生産量の変動が国全体の経済や食糧安全保障に与える影響は小さい方です。一方で、中央アフリカ共和国やアフリカ大陸の多くの国々では、農業が国内総生産(GDP)の大半を占め、主要な労働分野でもあります。したがって、農業生産の低下は経済全体に深刻な問題を引き起こす要因となります。

2023年の大幅な生産量減少を踏まえた今後の課題として、まず農業インフラの整備が重要です。特に内戦や紛争の影響を受けた地域における安定的な農業活動の再開を支援するためには、国際的な援助や地域内協力を通じたインフラ投資の強化が必要です。また、気候変動に適応した農業技術の普及も欠かせません。例えば、耐乾性の高いプランテン品種の導入や、効率的な灌漑システムの導入などが挙げられます。

さらに、地域間の協力を強化し、農産物の流通を円滑にするための仕組み作りも求められます。これには例えば、域内貿易を促進する政策や、物流インフラの整備が含まれます。そして、貧困層への直接的な食糧支援や、小規模農家への金融支援プログラムを通じて、地元の農業コミュニティの復興を図ることも重要です。

最後に、このデータが示す教訓は、単に生産量減少の原因を特定し対策を講じるだけでなく、長期的な視点で食糧安全保障を考慮する必要性にあります。中央アフリカ共和国においては、国内の安定と農業の発展が密接に結びついていることが浮かび上がります。国際社会や地域内のパートナーとの連携を通じて、持続可能な農業と地方経済の安定を実現していくことが望まれます。この取り組みは、同様の課題に直面する他の開発途上国にも参考になるモデルケースとなる可能性があります。