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朝鮮民主主義人民共和国のニンニク生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のニンニク生産量は、1961年の14,000トンから1984年には50,000トンを達成し、1990年に80,000トンへと持続的に拡大しました。その後、2005年に95,000トンを記録してピークに達したものの、2010年代以降は徐々に減少傾向が続いており、2023年の生産量は77,178トンとやや回復したものの、依然として2000年代の記録には届いていません。この推移は、複数の要因、例えば気候条件、農業技術の発展、国際的な制裁、及び国内の経済状況の変動などが影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 77,178
3.83% ↑
2022年 74,331
1.4% ↑
2021年 73,307
-1.19% ↓
2020年 74,187
-1.74% ↓
2019年 75,499
-4.55% ↓
2018年 79,102
0.81% ↑
2017年 78,466
0.76% ↑
2016年 77,878
5.4% ↑
2015年 73,886
-7.35% ↓
2014年 79,747
-0.32% ↓
2013年 80,000 -
2012年 80,000
3.9% ↑
2011年 77,000
-4.17% ↓
2010年 80,351
-6.51% ↓
2009年 85,949
-5.97% ↓
2008年 91,406
-3.78% ↓
2007年 95,000
2.15% ↑
2006年 93,000
-2.11% ↓
2005年 95,000
4.28% ↑
2004年 91,100
1.22% ↑
2003年 90,000
3.64% ↑
2002年 86,841
2.17% ↑
2001年 85,000
6.25% ↑
2000年 80,000
-0.16% ↓
1999年 80,126
2.73% ↑
1998年 78,000
1.14% ↑
1997年 77,121
1.42% ↑
1996年 76,042
1.39% ↑
1995年 75,000
-12.3% ↓
1994年 85,524
-1.09% ↓
1993年 86,468
0.43% ↑
1992年 86,100
1.29% ↑
1991年 85,000
6.25% ↑
1990年 80,000
6.67% ↑
1989年 75,000
7.14% ↑
1988年 70,000
7.69% ↑
1987年 65,000
8.33% ↑
1986年 60,000
9.09% ↑
1985年 55,000
10% ↑
1984年 50,000
16.28% ↑
1983年 43,000
22.86% ↑
1982年 35,000
6.06% ↑
1981年 33,000
10% ↑
1980年 30,000
7.14% ↑
1979年 28,000
3.7% ↑
1978年 27,000
3.85% ↑
1977年 26,000
4% ↑
1976年 25,000
4.17% ↑
1975年 24,000
4.35% ↑
1974年 23,000
4.55% ↑
1973年 22,000
4.76% ↑
1972年 21,000
5% ↑
1971年 20,000
5.26% ↑
1970年 19,000
5.56% ↑
1969年 18,000
5.88% ↑
1968年 17,000
6.25% ↑
1967年 16,000
3.23% ↑
1966年 15,500
3.33% ↑
1965年 15,000 -
1964年 15,000 -
1963年 15,000 -
1962年 15,000
7.14% ↑
1961年 14,000 -

朝鮮民主主義人民共和国におけるニンニク生産の推移を見てみると、1960年代から1980年代にかけて、一定の成長を示しています。この成長は、農業政策の強化や耕作面積の拡大、栽培技術の改善などが影響した可能性があります。特に1980年代初頭には目覚ましい伸びを見せており、1981年に33,000トンだった生産量が1984年には50,000トンとなり、わずか数年で大幅な増加を記録しています。この時期の増加要因は、ニンニクが輸出品目としても重要な役割を果たしていたため、国内生産に力が入れられたことが考えられます。また、ニンニクは栄養価が高く保存性にも優れており、北朝鮮国民の食料確保の上で重要な役割を果たしていると推測されます。

1990年代に入ると、生産量の伸びはやや緩やかになるものの、86,000トンを超える安定した生産量を維持しました。しかし1995年以降、深刻な経済危機や食糧難(いわゆる「苦難の行軍」の時期)が影響し、栽培面積や農業生産システムに甚大なダメージがあったと見られています。この結果、1995年の生産量は75,000トンと大幅に減少しました。一度低下した生産量はその後回復基調に入ったものの、2000年代に入ると増加ペースが鈍化していることがわかります。

2005年には95,000トンという記録的生産量を達成しましたが、その後の推移では安定性を欠き、特に2010年代は減少傾向が目立ちます。2010年代の減少は、国内のインフラ整備の遅れ、近代農業技術の導入や肥料の質の低下、または国際的な制裁措置の影響による輸入資材不足などが原因と推測されます。地域の気象条件や予期せぬ自然災害も北朝鮮のような資源が限られた国家に強く影響を及ぼしています。

2023年時点では、やや生産量が回復し77,178トンに達しましたが、かつてのピーク時に比べると依然として伸び悩んでいます。この現状は、国内の農業政策が持続可能な発展に欠けていること、技術的革新や外部からの支援が十分でないことを反映している可能性が高いでしょう。

他国と比較してみると、中国は世界最大のニンニク生産国であり、2023年の生産量は2,000万トン以上と推定され、北朝鮮の300倍以上に相当しています。韓国の生産量はやや少ないものの、品質へのこだわりや輸出戦略に力を入れています。一方で、日本の国内生産量は比較的少なく、主に青森県を中心に生産され、輸入ニンニクに大きく依存している状況です。こうした他国の状況と比較すると、北朝鮮の農業基盤の弱さや国際市場への接続不足が際立っています。

北朝鮮のニンニク生産を今後推進するためには、まず農業インフラの整備を優先すべきです。例えば、灌漑施設や農業機械の導入を進め、農業労働者の負担を軽減する必要があります。また、気象変動の影響を受けにくい品種開発や栽培技術の導入が求められます。さらに、国際社会の協力を得るための外交努力も重要です。国際制裁が解除された際には、技術や資材の援助を受け入れる準備を整えておくことが求められるでしょう。

結論として、北朝鮮のニンニク生産は、過去には成長を遂げたものの、近年は厳しい経済状況や国際的な孤立の影響を受け、停滞が続いています。農業分野の改革と国際協調を基本とした政策立案が、未来への鍵となるでしょう。

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