国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ツバルの鶏卵生産量は、1961年には8トンと非常に小規模なものから始まり、その後徐々に増加していったものの、1980年代中盤は一時的に減少し、1990年代から再び長期的な増加傾向を示しました。2000年以降、年間生産量は19~22トン程度で推移しており、2023年には20トンを記録しています。このデータは、ツバルにおける鶏卵生産が小規模ながら安定していることを反映しています。
ツバルの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 20 |
1.59% ↑
|
2022年 | 20 |
0.21% ↑
|
2021年 | 20 |
0.15% ↑
|
2020年 | 19 |
0.21% ↑
|
2019年 | 19 |
0.15% ↑
|
2018年 | 19 |
2.11% ↑
|
2017年 | 19 |
-0.58% ↓
|
2016年 | 19 |
-0.62% ↓
|
2015年 | 19 |
0.16% ↑
|
2014年 | 19 |
0.47% ↑
|
2013年 | 19 |
0.21% ↑
|
2012年 | 19 |
0.16% ↑
|
2011年 | 19 |
0.16% ↑
|
2010年 | 19 |
-19.82% ↓
|
2009年 | 24 |
25.25% ↑
|
2008年 | 19 |
0.16% ↑
|
2007年 | 19 |
0.16% ↑
|
2006年 | 19 |
0.16% ↑
|
2005年 | 19 |
-14.36% ↓
|
2004年 | 22 | - |
2003年 | 22 | - |
2002年 | 22 |
4.76% ↑
|
2001年 | 21 | - |
2000年 | 21 | - |
1999年 | 21 |
14.57% ↑
|
1998年 | 18 |
7.82% ↑
|
1997年 | 17 | - |
1996年 | 17 |
21.43% ↑
|
1995年 | 14 | - |
1994年 | 14 |
-9.39% ↓
|
1993年 | 15 |
28.75% ↑
|
1992年 | 12 | - |
1991年 | 12 | - |
1990年 | 12 | - |
1989年 | 12 |
50% ↑
|
1988年 | 8 |
14.29% ↑
|
1987年 | 7 |
40% ↑
|
1986年 | 5 |
-37.5% ↓
|
1985年 | 8 |
-20% ↓
|
1984年 | 10 |
-16.67% ↓
|
1983年 | 12 |
-7.69% ↓
|
1982年 | 13 | - |
1981年 | 13 |
30% ↑
|
1980年 | 10 | - |
1979年 | 10 | - |
1978年 | 10 | - |
1977年 | 10 |
25% ↑
|
1976年 | 8 | - |
1975年 | 8 | - |
1974年 | 8 | - |
1973年 | 8 | - |
1972年 | 8 | - |
1971年 | 8 | - |
1970年 | 8 | - |
1969年 | 8 | - |
1968年 | 8 | - |
1967年 | 8 | - |
1966年 | 8 | - |
1965年 | 8 | - |
1964年 | 8 | - |
1963年 | 8 | - |
1962年 | 8 | - |
1961年 | 8 | - |
ツバルの鶏卵生産量推移を分析すると、この地域の食料供給状況の一環があらわになります。1961年の鶏卵生産量はわずか8トンであり、当時の生産規模の小ささを示しています。この背景には、ツバルが小さな島嶼国家であり、土地面積が非常に限定的であることが挙げられます。ツバル全体の面積はわずか約26平方キロメートルで、この限られた土地資源が家禽類の飼育規模を制限してきた要因の一つと考えられます。
その後のデータを見ると、1981年には13トンまで増加しましたが、1986年になると5トンにまで減少しています。この著しい減少は、経済的な制約や家禽病などの疫病の影響である可能性が高いです。当時、ツバルではインフラが十分に整っておらず、感染症や災害が畜産分野に直撃するリスクが高かったと推測されます。
1990年代に入ると、鶏卵生産量は12トンを超え、1993年には15トンに達しました。2000年代にかけては、20トン前後まで増加しており、この成長は持続可能な家禽飼育の実践が改善された結果とも言えます。特に1999年の21トンから2009年の24トンまでの増加は、一部の地方で鶏卵生産が強化されたことや、輸入飼料の利用が増えたことによると考えられます。しかし、2010年以降に19トンまで減少し、その後2021年まで約19~20トンで安定していることから、生産規模の限界が見えてきます。
このような安定と停滞の背景には、ツバル独自の地政学的要因があると推測されます。ツバルは気候変動の影響を特に強く受けている国であり、海面上昇が陸地面積や農業環境に深刻な影響を与えています。また、新型コロナウイルスの影響も無視できません。国際的な物流が制約される中で、輸入飼料や家禽管理のための資源確保が難しくなり、生産量に影響した可能性があります。
ツバルの鶏卵生産量は安定してはいるものの、他国と比較すると非常に低い水準にあります。例えば、2023年の日本では年間生産量が約250万トンを超え、中国は2400万トン以上に達しています。ツバルの鶏卵生産量が主要国とは比較にならないほど小さいことから、鶏卵は輸入に依存する傾向が強いと考えられます。
今後の課題として、まず気候変動への対応が挙げられます。ツバルでは小規模ながら持続可能な畜産業を継続するため、気候変動に強い鶏種の導入や小規模農家への技術支援を検討すべきでしょう。これにより、変化する環境条件下でも一定の生産量を維持することが期待されます。また、効率的な飼料供給のために国際的な協力を検討し、特に太平洋地域の他国との連携強化が必要です。
結論として、ツバルの鶏卵生産量は小規模ながら一貫して国民の食料自給率に貢献してきました。しかし、気候変動や疫病などの潜在的なリスクを軽視することはできません。政府、国際機関、そして地域社会が連携し、持続可能な畜産体制を構築することが、ツバルの鶏卵生産の安定とその将来を保証する鍵となるでしょう。