Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、スリナムの鶏卵生産量は1961年の820トンを起点に増加・減少を繰り返しながら成長してきました。2023年の生産量は4,427トンで、2016年のピーク(5,386トン)以降はやや減少傾向にあります。しかし長期的には、生産量が格段に向上しており、特に1990年代と比較すると約1.5倍程度の規模となっています。
スリナムの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 4,427 |
-0.88% ↓
|
2022年 | 4,467 |
-10.53% ↓
|
2021年 | 4,992 |
30.56% ↑
|
2020年 | 3,824 |
-16.59% ↓
|
2019年 | 4,584 |
24.86% ↑
|
2018年 | 3,671 |
-20.72% ↓
|
2017年 | 4,631 |
-14.03% ↓
|
2016年 | 5,386 |
49.58% ↑
|
2015年 | 3,601 |
36.04% ↑
|
2014年 | 2,647 |
-6.14% ↓
|
2013年 | 2,820 |
3.64% ↑
|
2012年 | 2,721 |
68.38% ↑
|
2011年 | 1,616 |
-29.68% ↓
|
2010年 | 2,298 |
-1.75% ↓
|
2009年 | 2,339 |
29.23% ↑
|
2008年 | 1,810 |
-18.25% ↓
|
2007年 | 2,214 |
27.85% ↑
|
2006年 | 1,732 |
-35.86% ↓
|
2005年 | 2,700 |
8% ↑
|
2004年 | 2,500 | - |
2003年 | 2,500 | - |
2002年 | 2,500 | - |
2001年 | 2,500 |
-16.67% ↓
|
2000年 | 3,000 |
7.14% ↑
|
1999年 | 2,800 |
-13.85% ↓
|
1998年 | 3,250 |
-31.87% ↓
|
1997年 | 4,770 |
59% ↑
|
1996年 | 3,000 |
-25% ↓
|
1995年 | 4,000 |
14.29% ↑
|
1994年 | 3,500 |
9.38% ↑
|
1993年 | 3,200 |
5.04% ↑
|
1992年 | 3,046 |
-0.12% ↓
|
1991年 | 3,050 | - |
1990年 | 3,050 |
1.67% ↑
|
1989年 | 3,000 |
-6.25% ↓
|
1988年 | 3,200 |
1.11% ↑
|
1987年 | 3,165 |
42.57% ↑
|
1986年 | 2,220 |
-27.45% ↓
|
1985年 | 3,060 |
22.4% ↑
|
1984年 | 2,500 |
-5.66% ↓
|
1983年 | 2,650 | - |
1982年 | 2,650 | - |
1981年 | 2,650 |
0.38% ↑
|
1980年 | 2,640 |
0.57% ↑
|
1979年 | 2,625 |
16.67% ↑
|
1978年 | 2,250 |
-27.42% ↓
|
1977年 | 3,100 |
-3.13% ↓
|
1976年 | 3,200 |
6.67% ↑
|
1975年 | 3,000 |
24.74% ↑
|
1974年 | 2,405 |
10.83% ↑
|
1973年 | 2,170 |
3.33% ↑
|
1972年 | 2,100 |
0.72% ↑
|
1971年 | 2,085 |
-3.92% ↓
|
1970年 | 2,170 |
14.21% ↑
|
1969年 | 1,900 |
4.68% ↑
|
1968年 | 1,815 |
57.96% ↑
|
1967年 | 1,149 |
6.78% ↑
|
1966年 | 1,076 |
-3.5% ↓
|
1965年 | 1,115 |
35.98% ↑
|
1964年 | 820 |
3.8% ↑
|
1963年 | 790 | - |
1962年 | 790 |
-3.66% ↓
|
1961年 | 820 | - |
スリナムの鶏卵生産量は、1961年から統計が開始されて以来、地政学的要因や国内経済状況、農業インフラの整備などに大きな影響を受けながら推移しています。1960年代半ばから成長が見られ、特に1968年から1975年の7年の間に急激な増加を記録しました。この期間における成長の背景には、家禽農業の近代化や輸入依存からの脱却といった国家戦略が寄与していたと考えられます。
しかしながら、1978年以降には急激な減少期に入り、生産量の変動幅が大きくなっていることも特徴的です。国内の政情不安や経済の低迷が影響を及ぼしたと推測されます。この不安定な時期を経て、1980年代後半には再び生産量が回復し、1990年代には比較的安定した成長を遂げました。その後、1997年の4,770トンという高い数値に達しましたが、その後の10年では不安定な状況が続いています。
2000年代半ばからやや停滞が見られましたが、2012年には改善の兆しがあり、特に2015年から2016年にかけて急速に生産が拡大しました。この成長の背景には、政府による農業事業の支援策や近代的な鶏舎の導入が進んだことが挙げられます。ただし、この成長期の後には減少に転じており、2023年の4,427トンという数値は2016年のピーク時の約82%にとどまっています。
スリナムの鶏卵生産は、自然災害や疫病の影響も受けやすい性質を持っています。特に鳥インフルエンザなどの家禽関連の病気の発生は、生産量の急落を引き起こす要因となってきました。また、近年の新型コロナウイルス感染症の影響により、物流が停滞し、飼料の供給遅延や供給コストの上昇が発生しました。このことは、国内の生産効率や収益性を圧迫し、一部の小規模生産者が事業を縮小または撤退する要因ともなりました。
他国と比較した場合、スリナムの鶏卵生産量は規模としては小さいながら、一定の自給自足を目指す姿勢が見られます。一方で、近隣の大国ブラジルは世界的に有名な鶏卵輸出国であり、スリナム国内市場にも影響を与えています。スリナムとしては、完全な自給体制を整えるよりも、地域間の協力枠組みを築き、安定的な輸入体制を確立することが重要と言えるでしょう。
今後の課題は、まず生産の安定性を高めることにあります。このためには、疫病予防の体制整備、新しい飼料技術の導入、鶏舎の環境改善が挙げられます。さらに、気候変動が農業全体に与えるリスクも無視できません。具体的な対策としては、災害に対する保険制度の整備や、効率良くエネルギーを使用する農業技術の導入が有望です。
結論として、スリナムの鶏卵生産量は長期的には成長を遂げつつありますが、近年の減少傾向や不安定さが今後の課題となっています。国内外の政策の支援を受けながら、持続可能で競争力のある農業を目指す必要があります。国際機関や近隣諸国との協力も重要であり、地域課題を克服するための連携が求められています。