国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に公開した最新データによると、ブータンの鶏卵生産量は1961年の100トンから2023年には3,467トンまで増加しました。この期間全体で長期的な成長傾向が見られるものの、特定の年には大幅な増減が発生しています。特に2009年以降、大幅な増加が始まり、2016年の4,305トン、2020年には7,072トンというピークに達しましたが、2021年以降は再び減少傾向が見られます。
ブータンの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 3,467 |
-16.31% ↓
|
2022年 | 4,143 |
-24.2% ↓
|
2021年 | 5,465 |
-22.72% ↓
|
2020年 | 7,072 |
22% ↑
|
2019年 | 5,797 |
44.92% ↑
|
2018年 | 4,000 |
-16.41% ↓
|
2017年 | 4,785 |
11.15% ↑
|
2016年 | 4,305 |
54.41% ↑
|
2015年 | 2,788 |
102.03% ↑
|
2014年 | 1,380 |
-49.36% ↓
|
2013年 | 2,725 |
55.71% ↑
|
2012年 | 1,750 |
-16.83% ↓
|
2011年 | 2,104 |
90.06% ↑
|
2010年 | 1,107 |
70.57% ↑
|
2009年 | 649 |
135.14% ↑
|
2008年 | 276 |
4.94% ↑
|
2007年 | 263 |
1.15% ↑
|
2006年 | 260 |
8.33% ↑
|
2005年 | 240 | - |
2004年 | 240 | - |
2003年 | 240 |
6.19% ↑
|
2002年 | 226 |
-29.38% ↓
|
2001年 | 320 |
-11.11% ↓
|
2000年 | 360 | - |
1999年 | 360 |
-10% ↓
|
1998年 | 400 |
-9.09% ↓
|
1997年 | 440 |
29.41% ↑
|
1996年 | 340 |
-8.11% ↓
|
1995年 | 370 |
2.78% ↑
|
1994年 | 360 |
2.86% ↑
|
1993年 | 350 |
2.94% ↑
|
1992年 | 340 |
3.03% ↑
|
1991年 | 330 |
3.13% ↑
|
1990年 | 320 |
6.67% ↑
|
1989年 | 300 |
7.14% ↑
|
1988年 | 280 |
3.7% ↑
|
1987年 | 270 |
3.85% ↑
|
1986年 | 260 |
8.33% ↑
|
1985年 | 240 |
6.19% ↑
|
1984年 | 226 |
-1.74% ↓
|
1983年 | 230 |
6.48% ↑
|
1982年 | 216 |
30.12% ↑
|
1981年 | 166 |
6.68% ↑
|
1980年 | 156 |
1.04% ↑
|
1979年 | 154 |
1.32% ↑
|
1978年 | 152 | - |
1977年 | 152 |
5.56% ↑
|
1976年 | 144 |
2.86% ↑
|
1975年 | 140 |
16.67% ↑
|
1974年 | 120 | - |
1973年 | 120 | - |
1972年 | 120 | - |
1971年 | 120 | - |
1970年 | 120 |
3.45% ↑
|
1969年 | 116 |
1.75% ↑
|
1968年 | 114 | - |
1967年 | 114 |
3.64% ↑
|
1966年 | 110 | - |
1965年 | 110 | - |
1964年 | 110 | - |
1963年 | 110 |
3.77% ↑
|
1962年 | 106 |
6% ↑
|
1961年 | 100 | - |
ブータンの鶏卵生産量データからは、国内の農業部門の発展や政策の影響を垣間見ることができます。1960年代から1980年代にかけては非常に緩やかな成長が続き、生産量は100〜300トン程度の小規模なものにとどまっていました。この時期は、全体的に伝統的な農業手法が広く行われていたことや、近代的な畜産技術の導入が進んでいなかったことが背景にあると考えられます。
1990年代に入ると、鶏卵の生産量は着実に増加を示し、1990年には320トン、1996年には440トンと倍増に近い成長を見せました。しかし、1990年代後半から2000年代にかけて、生産量の波が大きく、1997年には急増したものの、その後1999年から2002年にかけて急減、最低226トンまで落ち込むという不安定さが特徴的です。この変動は天候やインフラ整備状況の影響、または政策的な影響が要因となった可能性が高いです。
2009年以降の大幅な増加は特筆すべき点です。この時期、生産量は2008年の276トンから2009年には649トン、そして2010年以降、1,100トンを超え、2015年以降では2,000トン台を大きく超えました。特に2016年と2020年ではそれぞれ4,305トンと7,072トンを記録しています。この急増の背景には、国による市場志向型農業政策の推進や、民間セクターの発展が挙げられます。また、地域的には鶏卵の生産が輸出用および国内の需要拡大の両面で重要視されていた点も影響している可能性があります。しかし、2020年以降、新型コロナウイルスのパンデミックや物流の停滞の影響により、生産量が減少し、2023年には3,467トンにとどまっています。
未来の課題としては、急激な生産量の変動を抑え、持続可能な成長基盤を築くことが求められます。特に、農業分野でのインフラ整備や効率化、ならびに防疫対策の充実が必要です。また、地域的な地政学的影響や自然災害リスクが鶏卵生産に与える影響を考慮し、安定した生産供給を目指す政策が重要になります。さらに、食品安全基準を向上させ、輸出市場向けの高品質な鶏卵を確保することで、新たな経済機会も創出できるでしょう。
国際的な観点では、中国やインドのような近隣諸国と協力して鶏卵の輸出や技術交流プログラムを進めることが効果的です。この連携により、ブータンの鶏卵産業のさらなる発展を実現する可能性があります。また、気候変動や自然災害に対する備えを強化することで、長期的な競争力を維持することも不可欠です。
結論として、ブータンの鶏卵生産量は長期的に見れば成長を続けていますが、依然として課題が山積しています。政策や技術の改善、輸出基盤の整備が成功すれば、国内の食糧安全保障向上のみならず、周辺諸国や世界市場との連携強化にも大きく寄与するでしょう。ブータンにおける持続可能で効率的な鶏卵産業の発展が期待されます。