国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、モーリタニアの鶏卵生産量は、1961年の1,530トンから2023年の5,634トンへと約3.7倍に増加しました。全体的には、着実な増加傾向がみられるものの、特定の期間では停滞や若干の減少が観察されます。特に1990年代以降、生産量の伸びは鈍化し、その後も安定的な増加が続いています。
モーリタニアの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 5,634 |
0.07% ↑
|
2022年 | 5,631 |
0.52% ↑
|
2021年 | 5,601 |
0.52% ↑
|
2020年 | 5,572 |
0.49% ↑
|
2019年 | 5,545 |
0.68% ↑
|
2018年 | 5,508 |
-1.65% ↓
|
2017年 | 5,600 |
3.02% ↑
|
2016年 | 5,436 |
0.21% ↑
|
2015年 | 5,424 |
5.63% ↑
|
2014年 | 5,135 |
-11.46% ↓
|
2013年 | 5,800 |
3.57% ↑
|
2012年 | 5,600 |
1.82% ↑
|
2011年 | 5,500 |
1.29% ↑
|
2010年 | 5,430 |
3.11% ↑
|
2009年 | 5,266 |
0.09% ↑
|
2008年 | 5,262 |
2.21% ↑
|
2007年 | 5,148 |
-5.2% ↓
|
2006年 | 5,430 |
6.42% ↑
|
2005年 | 5,103 |
0.09% ↑
|
2004年 | 5,098 |
1.12% ↑
|
2003年 | 5,041 |
-4.34% ↓
|
2002年 | 5,270 |
6.36% ↑
|
2001年 | 4,955 |
0.19% ↑
|
2000年 | 4,945 |
0.31% ↑
|
1999年 | 4,930 |
3.57% ↑
|
1998年 | 4,760 |
-0.36% ↓
|
1997年 | 4,777 |
0.09% ↑
|
1996年 | 4,773 |
3.98% ↑
|
1995年 | 4,590 |
-0.22% ↓
|
1994年 | 4,600 |
4.07% ↑
|
1993年 | 4,420 |
4% ↑
|
1992年 | 4,250 |
-3.85% ↓
|
1991年 | 4,420 |
4% ↑
|
1990年 | 4,250 |
3.66% ↑
|
1989年 | 4,100 |
4.86% ↑
|
1988年 | 3,910 |
4.55% ↑
|
1987年 | 3,740 |
4.76% ↑
|
1986年 | 3,570 |
5% ↑
|
1985年 | 3,400 |
6.25% ↑
|
1984年 | 3,200 |
6.67% ↑
|
1983年 | 3,000 |
3.81% ↑
|
1982年 | 2,890 |
3.21% ↑
|
1981年 | 2,800 |
2.94% ↑
|
1980年 | 2,720 |
3.23% ↑
|
1979年 | 2,635 |
3.33% ↑
|
1978年 | 2,550 |
3.24% ↑
|
1977年 | 2,470 |
2.07% ↑
|
1976年 | 2,420 |
1.68% ↑
|
1975年 | 2,380 |
0.85% ↑
|
1974年 | 2,360 |
2.61% ↑
|
1973年 | 2,300 | - |
1972年 | 2,300 |
4.07% ↑
|
1971年 | 2,210 |
3.76% ↑
|
1970年 | 2,130 |
4.41% ↑
|
1969年 | 2,040 |
4.35% ↑
|
1968年 | 1,955 |
4.55% ↑
|
1967年 | 1,870 |
5.06% ↑
|
1966年 | 1,780 |
4.71% ↑
|
1965年 | 1,700 |
1.8% ↑
|
1964年 | 1,670 |
3.41% ↑
|
1963年 | 1,615 |
2.87% ↑
|
1962年 | 1,570 |
2.61% ↑
|
1961年 | 1,530 | - |
モーリタニアの鶏卵生産量は、過去60年の間に一貫して増加してきましたが、その背後には国の人口増加や食料需要の高まり、農業技術の改善といった複数の要因が存在します。1961年には1,530トンという控えめな生産量から始まりましたが、2023年には5,634トンに達しています。この推移は、モーリタニア国内の食料自給率を高め、食糧安全保障の面での進展を示すものです。
特に1960年代から1980年代にかけての生産量は、農村地域での伝統的な畜産業の拡大とともに着実に増加しました。しかし、1973年以降、石油危機や旱魃(かんばつ)などの外的要因が影響し、一部の年では増加が鈍化しました。その後、1990年代に入ってから再び堅調な成長を見せ、飼料の供給体制の安定化や農業従事者への支援プログラムが成功したことが要因と考えられます。特に2002年以降の上昇は注目に値し、生産効率の向上が背後にあったとされています。
一方で、鶏卵の生産量の安定的な増加には課題も残されています。まず、近年の地政学的リスクや極端な気象条件、特に旱魃が生産安定性に影響を及ぼす可能性があります。モーリタニアは、主に砂漠地帯が多くを占める地理的条件から、降水量の不足や温度上昇の影響を強く受けます。また、鶏卵の需要が隣国や地域全体で高まる一方で、輸送インフラや市場流通における効率性の課題も残ります。これにより、他国からの輸入依存度が増加する可能性があります。
さらに、2020年以降の新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、モーリタニアの経済全般にも少なからず影響を与えています。感染拡大による移動制限が飼料供給や農業活動全般に影響を及ぼし、生産量に若干の落ち込みが見られる年もありました。
モーリタニアが今後さらなる生産量の増加を目指すためにはいくつかの具体的な対策が考えられます。まず、気象条件の変化に備えるための適応型農業技術を積極的に導入する必要があります。例えば、干ばつへの耐性を持つ飼料作物の開発や、再生可能エネルギーを活用した鶏舎の管理技術が挙げられます。次に、農業従事者への研修や教育プログラムの強化を通じて、管理能力や経営資源の有効活用を促進することも重要です。また、国内市場での流通網強化だけでなく、国際市場での販売を意識した輸出環境作りも求められます。
地域協力の観点からも、西アフリカ諸国との協力が鍵となります。たとえば、他国の成功例を参考にした農業政策の導入や、共同出資による飼料生産施設の設立などがあります。特に隣国セネガルやマリと連携することで、地域全体での農産物の安定供給を図ることができます。
結論として、モーリタニアの鶏卵生産量は着実な増加を遂げていますが、環境変動やインフラ不足、地域協力の程度などがこれからの重要な課題となります。これらの課題に適切に対応するためには、国内外での協力関係の強化や、気候変動に配慮した農業政策の実行が欠かせません。国際機関や他国の支援を受けつつ、持続可能な食料生産のモデルケースとなることを目指して、さらなる発展を遂げていくことが期待されています。