Skip to main content

朝鮮民主主義人民共和国の鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の鶏卵生産量は、1961年から増加傾向を示し、1990年には15万2,000トンに達しました。その後、1990年代の難しい経済的および社会的背景により生産量が急激に減少。その後は回復の兆しを見せながらも安定しない推移が続き、最近の2023年では12万7,085トンとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 127,085
1.71% ↑
2022年 124,945
-0.71% ↓
2021年 125,832
-1.26% ↓
2020年 127,443
4.84% ↑
2019年 121,560
-5.03% ↓
2018年 128,000 -
2017年 128,000
-1.54% ↓
2016年 130,000
2.36% ↑
2015年 127,000
-2.31% ↓
2014年 130,000
4% ↑
2013年 125,000 -
2012年 125,000
4.17% ↑
2011年 120,000
5.26% ↑
2010年 114,000
9.62% ↑
2009年 104,000
-2.8% ↓
2008年 107,000
3.88% ↑
2007年 103,000
-6.36% ↓
2006年 110,000
-15.38% ↓
2005年 130,000
-5.11% ↓
2004年 137,000
1.48% ↑
2003年 135,000
3.85% ↑
2002年 130,000
8.33% ↑
2001年 120,000
9.09% ↑
2000年 110,000
15.79% ↑
1999年 95,000
15.15% ↑
1998年 82,500
17.86% ↑
1997年 70,000
-23.08% ↓
1996年 91,000
19.74% ↑
1995年 76,000
-16.48% ↓
1994年 91,000
-10.78% ↓
1993年 102,000
-12.82% ↓
1992年 117,000
-23.03% ↓
1991年 152,000
4.83% ↑
1990年 145,000
3.57% ↑
1989年 140,000
2.19% ↑
1988年 137,000
1.48% ↑
1987年 135,000
2.27% ↑
1986年 132,000
5.6% ↑
1985年 125,000
4.17% ↑
1984年 120,000
4.35% ↑
1983年 115,000
4.55% ↑
1982年 110,000
2.8% ↑
1981年 107,000
1.9% ↑
1980年 105,000
5.53% ↑
1979年 99,500
7.57% ↑
1978年 92,500
14.2% ↑
1977年 81,000
6.58% ↑
1976年 76,000
8.57% ↑
1975年 70,000
2.94% ↑
1974年 68,000
3.03% ↑
1973年 66,000
6.45% ↑
1972年 62,000
6.9% ↑
1971年 58,000
7.41% ↑
1970年 54,000
1.35% ↑
1969年 53,280
5.88% ↑
1968年 50,320
2.07% ↑
1967年 49,300
6.25% ↑
1966年 46,400
1.4% ↑
1965年 45,760
2.14% ↑
1964年 44,800
14.29% ↑
1963年 39,200
3.7% ↑
1962年 37,800
3.85% ↑
1961年 36,400 -

朝鮮民主主義人民共和国の鶏卵生産量データは、国の食糧自給率や経済状況、社会的安定性を反映する指標の一つです。このデータを見ると、初期の1960年代から1990年代前半まではほぼ一貫して増加し、1991年には15万2,000トンというピークを迎えています。この成長期は、集団農場制度内での家畜管理システムの強化と、食糧生産における国策の積極的な推進が背景にあると考えられます。

しかし、1992年以降、特に1990年代中盤には深刻な減少が見られます。この時期は「苦難の行軍」として知られる深刻な経済危機と食糧不足が直撃し、社会全般にわたり多大なダメージをもたらしました。その結果、鶏卵生産も1995年には7万6,000トンと、1990年の半分以下に落ち込みました。当時の農業生産全般が停滞し、鶏や飼料の供給が十分でなかったことや、農地および農業施設における物資の枯渇が要因であると推測されます。

その後、2000年代以降はやや回復基調に転じましたが、大きな変動を繰り返しています。2020年代初頭には概ね12万トン台で推移しており、2023年には12万7,085トンとなっています。目立つ安定化傾向は見られるものの、過去のピーク時である15万2,000トンには至っていません。この状態は、持続的な生産基盤の構築が課題となっていることを示しています。

地域的背景として、北朝鮮の鶏卵生産を支えるインフラは依然として脆弱です。電力供給不足、水資源へのアクセスの難しさ、化学肥料や家畜飼料の輸入制限が、生産性の向上を阻んでいる主要な要因と考えられます。また、地政学的要因として国際的制裁の影響があり、農業技術や資材の輸入に大きな制約を抱えていることも、当局が克服すべき課題であります。

このような状況に対応するためには、いくつかの具体的な施策が考えられます。一つは、国内の地方産業の発展と地域間協力の強化を通じた供給網の整備です。現地で生産可能な飼料の開発や使用を促進し、自給体制をさらに強化することが求められます。また、国際的な食糧援助や、持続可能な農業技術の導入に向けた交渉も重要です。一部の国や国際機関を通じ、制裁緩和交渉の中で協力を広げることで、農業インフラの改善が可能になるかもしれません。

さらに、自然災害や疫病といった突発的なリスクに備えた対策も欠かせません。2010年代以降のデータでは、生産量に大きな変動が見られる理由として、気候の不安定性や畜産疫病の影響が考えられます。このため、家畜疫病予防等に特化した行政機関の立ち上げや包括的な危機管理体制の構築を検討することが重要です。

結論として、データの推移は、北朝鮮が農業インフラ再構築の道のりにある現状を明確に示しています。2023年には12万7,085トンという生産量を維持していますが、過去のピーク時と比較すると依然として課題は山積しています。今後は、国内での効率化を図るとともに、外部リソースを活用した多角的な農業改革と、地政学リスクを緩和する国際的な協力体制の構築が鍵となるでしょう。