Skip to main content

ガーナの鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、ガーナの鶏卵生産量は1961年の4,316トンから2023年には50,482トンへ大幅に増加しました。しかし、1970年代後半から1980年代半ばには生産量が大きく減少し、さらに2019年以降はわずかな減少傾向を示しています。また、2020年から2023年にかけての停滞・減少は、新型コロナウイルスや地政学的なリスク、市場需給の変化が影響した可能性があります。本分析では、このような長期的な成長と近年の停滞を中心に詳細を解説し、課題点と提言を提示します。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 50,482
-0.02% ↓
2022年 50,494
-1.97% ↓
2021年 51,510
-0.04% ↓
2020年 51,529
6.37% ↑
2019年 48,442
-5.78% ↓
2018年 51,416
10.57% ↑
2017年 46,500
-1.92% ↓
2016年 47,410
1.74% ↑
2015年 46,602
7.64% ↑
2014年 43,296
3.09% ↑
2013年 42,000
5% ↑
2012年 40,000
0.63% ↑
2011年 39,750
8.31% ↑
2010年 36,700 -
2009年 36,700
9.05% ↑
2008年 33,655
7.63% ↑
2007年 31,270
12.38% ↑
2006年 27,825
8.37% ↑
2005年 25,676
-1.81% ↓
2004年 26,150
3.06% ↑
2003年 25,375
4.22% ↑
2002年 24,347
4.42% ↑
2001年 23,317
2.31% ↑
2000年 22,790
8.55% ↑
1999年 20,994
6.57% ↑
1998年 19,699
8.59% ↑
1997年 18,141
19.85% ↑
1996年 15,136
2.77% ↑
1995年 14,729
1.91% ↑
1994年 14,453
1.95% ↑
1993年 14,176
8.15% ↑
1992年 13,108
5.43% ↑
1991年 12,432
20.29% ↑
1990年 10,335
9.86% ↑
1989年 9,408
9.23% ↑
1988年 8,613
-1.52% ↓
1987年 8,745
26.92% ↑
1986年 6,890
-5.36% ↓
1985年 7,280
-4.84% ↓
1984年 7,650
-4.38% ↓
1983年 8,000
-12.85% ↓
1982年 9,180
-15.93% ↓
1981年 10,920
-10.42% ↓
1980年 12,190
-8.79% ↓
1979年 13,365
0.87% ↑
1978年 13,250
1.67% ↑
1977年 13,032
30.22% ↑
1976年 10,008
-1.11% ↓
1975年 10,120
5.51% ↑
1974年 9,592
-0.44% ↓
1973年 9,634
6.77% ↑
1972年 9,023
9.7% ↑
1971年 8,225
5.56% ↑
1970年 7,793
8.23% ↑
1969年 7,200
5.26% ↑
1968年 6,840
4.8% ↑
1967年 6,527
6.02% ↑
1966年 6,156
7.75% ↑
1965年 5,713
13.03% ↑
1964年 5,054
13.98% ↑
1963年 4,434
2.56% ↑
1962年 4,324
0.17% ↑
1961年 4,316 -

ガーナの鶏卵生産量は、1960年代以降順調に増加を続け、経済成長や家畜飼育のインフラ整備に伴い、1990年代以降顕著な成長を見せました。この増加傾向は農業技術の改善や農業資材の供給拡大に支えられ、国内需要を満たすだけでなく、地域内貿易の促進にも寄与してきました。特に1990年代後半から2000年代にかけての成長は大規模な政府支援策や家禽飼育産業への外国投資により飛躍的な増加を遂げました。たとえば、1997年から2003年には6年間で生産量が約40%も増加しました。

しかしながら、1970年代後半から1980年代半ばにかけての減少期は、ガーナの経済混乱や政情不安が大きな影響を与えたと考えられます。この時期は、国内のインフレ率上昇や燃料価格の高騰に加え、食糧生産分野の支援不足が生産効率の低下を招きました。また1983年の深刻な旱魃(かんばつ)や干ばつは、飼料供給を著しく悪化させ、鶏卵生産に深刻な打撃を与えました。

一方、直近のデータを分析すると、2019年以降の生産量の伸び悩みは、新型コロナウイルスの影響が一因となっている可能性があります。パンデミックに伴う物流の停滞とサプライチェーンの寸断により、飼料など重要資材の輸入が滞り、産業全体が停滞したことは否めません。また、2020年代には、ガーナ国内での農業セクターにおける投資減少や小規模農家の経済的圧迫も課題となっており、生産量の停滞を支える要因となっています。

このような状況に対処するためには、いくつかの具体的な方策が考えられます。まず、国内の農業セクターにさらなる資金援助を行い、特に小規模農家が継続的に飼料や鶏の飼育設備を購入できる支援制度が必要です。また、隣国との地域協力を通じ、鶏卵や飼料の輸出入をスムーズに行う枠組みを強化することが重要です。たとえば、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の枠内での農業インフラ協力が考えられます。さらに、ガーナ国内での家禽飼育技術の教育普及も欠かせません。これにより、生産効率を高めるとともに、外部リスクへの適応力を向上させることが可能になります。

また、地政学的な背景としては、気候変動や国際的な市場動向が鶏卵生産に与える影響を無視することはできません。特に西アフリカ地域では気候変動による干ばつリスクや洪水が飼料の供給に不確実性をもたらしています。このため、地方政府や国際機関は、食糧農業部門における気候適応型政策を一層推進する必要があります。

長期的に見ると、ガーナの鶏卵生産産業は確かな成長を遂げてきた一方で、地域的・グローバルなリスクや変動に非常に敏感な構造を持っていることが分かります。今後、国内外からの支援を通じ、持続可能で強固な農業基盤を築くことで、さらなる成長が可能になると考えられます。そしてこれらは、ガーナの食糧安全保障や貿易収益向上にも寄与するでしょう。