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中央アフリカ共和国の鶏卵生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、中央アフリカ共和国における鶏卵の生産量は、1961年の580トンから2023年の2,485トンへ、およそ4倍以上に拡大しました。しかし、直近の10年においては、生産量は不安定な推移をたどっています。例えば、2011年には3,200トンのピークを記録しましたが、2012年以降、生産量が急減し、その後も回復の兆しを見せつつも、一定の振れ幅を伴っています。これは、国内の地政学的リスクや経済、インフラの状態と密接に関係していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,485
5.41% ↑
2022年 2,357
3.55% ↑
2021年 2,276
-4.95% ↓
2020年 2,395
-0.22% ↓
2019年 2,400
17.99% ↑
2018年 2,034
-26.04% ↓
2017年 2,750
37.91% ↑
2016年 1,994
-21.68% ↓
2015年 2,546
0.37% ↑
2014年 2,536
-2.44% ↓
2013年 2,600
4% ↑
2012年 2,500
-21.88% ↓
2011年 3,200
4.92% ↑
2010年 3,050
12.96% ↑
2009年 2,700
3.85% ↑
2008年 2,600
6.12% ↑
2007年 2,450
4.26% ↑
2006年 2,350
9.3% ↑
2005年 2,150
2.38% ↑
2004年 2,100 -
2003年 2,100 -
2002年 2,100 -
2001年 2,100
2.44% ↑
2000年 2,050
2.5% ↑
1999年 2,000 -
1998年 2,000 -
1997年 2,000
2.56% ↑
1996年 1,950 -
1995年 1,950
11.43% ↑
1994年 1,750 -
1993年 1,750
15.13% ↑
1992年 1,520
1.33% ↑
1991年 1,500
12.78% ↑
1990年 1,330
3.91% ↑
1989年 1,280
1.59% ↑
1988年 1,260
2.86% ↑
1987年 1,225
23.74% ↑
1986年 990 -
1985年 990
1.02% ↑
1984年 980 -
1983年 980 -
1982年 980
0.51% ↑
1981年 975
0.52% ↑
1980年 970
1.57% ↑
1979年 955
2.14% ↑
1978年 935
2.75% ↑
1977年 910
2.25% ↑
1976年 890
2.3% ↑
1975年 870
0.58% ↑
1974年 865
0.58% ↑
1973年 860
3.61% ↑
1972年 830
5.06% ↑
1971年 790
2.6% ↑
1970年 770
1.32% ↑
1969年 760
5.56% ↑
1968年 720 -
1967年 720
10.77% ↑
1966年 650
-9.72% ↓
1965年 720 -
1964年 720
10.77% ↑
1963年 650
8.33% ↑
1962年 600
3.45% ↑
1961年 580 -

中央アフリカ共和国の鶏卵生産量データは、同国の農業セクターの歴史を少なからず反映しています。1961年当時、鶏卵生産量は580トンでしたが、その後徐々に増加し、1970年代には1,000トンに迫る勢いを見せました。この増加は、当時の農業政策の拡充や都市部での消費者需要の増大がバックグラウンドにあったと考えられます。そして、1987年以降の生産量が急激に伸びたことは、農業技術の向上や飼育効率の改善が進んでいたことを示唆しています。

しかし、1990年代以降はやや不安定な状態となります。これは、中央アフリカ共和国の地政学的状況が影響している可能性が高いです。国土が紛争の影響を受け、インフラ整備が停滞していたことが農業生産全体に与えた負の影響も無視できません。また、2000年代に入ると再び生産量が上昇し、2011年には3,200トンのピークを迎えました。この時期は、国際援助や技術協力による農業の近代化が進み、内需と外需が交錯して鶏卵生産が押し上げられた時期と考えられます。

一方で、2012年以降、生産量は一時的に大幅に減少しました。これは同国の政情不安や経済的混乱、さらには家禽飼養に関する疫病の発生が影響したものと思われます。鶏卵生産がこのように低迷すると、国民の栄養確保や農村地域の経済活動にも悪影響が及ぶという課題が浮き彫りになります。そして、2023年には2,485トンまで部分的な回復が確認されていますが、今なお不安定なトレンドが続いています。

このような鶏卵生産の背景には、中央アフリカ共和国の地理的特性や社会的課題も大きく関与していると考えられます。まず、同国は内陸部に位置し、近隣諸国との貿易アクセスが限定的な点です。このことが、鶏卵の原材料である飼料や薬品の輸入の遅れに繋がり、農業や畜産業の発展を阻害する要因となっています。そして、気候条件もまた、農業生産全体に影響を及ぼしている重要な要素です。

直近の生産量の改善傾向は一定の希望を示しています。ただし、鶏卵生産量のさらなる向上を目指すにはいくつかの具体的な対策が必要です。まずは安定的な農業インフラの整備です。電力供給の安定化や道路インフラの改善により、養鶏場や市場間の物流効率が向上すれば、鶏卵の生産と流通の円滑化が期待できます。また、家禽飼養に特化した技術研修や獣医療のサポート、さらには飼料生産の国内促進なども重要な施策です。

加えて、地政学的リスクや紛争、疫病管理における国際的な協力も必要不可欠です。中央アフリカ共和国に限らず、多くの発展途上国で課題となるのが、これらのリスクによる農業生産の停滞です。地域紛争の解決に向けた国際社会の支援や、世界銀行やFAOを含む国際機関との連携による農業プロジェクトの積極的な展開が期待されます。また、気候変動が引き起こすリスクに対しては、適切な農業技術や耐性のある家禽品種の導入が効果的です。

さらに、鶏卵は動物性たんぱく質の安価で栄養価の高い供給源であり、国民の栄養状況の改善に寄与する重要な食品です。生産の安定化により価格が適正化されれば、貧困層への栄養補給も直接的に向上させることができます。このため、政府主導で地域の農業共同体や民間農家を支援する政策も並行して進めるべきです。

以上を踏まえると、中央アフリカ共和国の鶏卵生産量の今後の成長には、国内の経済・インフラ整備、地政学的な安定性の確保、そして気候適応策が鍵となると言えます。国際的な協力と相互支援は、この成長を促進する上で大変重要です。