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ボスニア・ヘルツェゴビナのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年7月時点の最新データによると、ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるキュウリ類の生産量は、2002年から2023年にかけて大きな変動を示しています。特に2016年には41,691トンとピークを迎えましたが、その後減少傾向が強まり、2023年には12,157トンと急激な落ち込みが見られます。過去20年以上のデータは、キュウリ類の生産が持続的でないことを示しており、近年の低下は深刻な課題となっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 12,157
-47.47% ↓
2022年 23,142
-13.84% ↓
2021年 26,859
-29.52% ↓
2020年 38,108
10.96% ↑
2019年 34,344
-3.16% ↓
2018年 35,463
-4.65% ↓
2017年 37,191
-10.79% ↓
2016年 41,691
37% ↑
2015年 30,431
70.89% ↑
2014年 17,807
-36.12% ↓
2013年 27,876
20.15% ↑
2012年 23,201
-12.71% ↓
2011年 26,580
-3.58% ↓
2010年 27,567
7.09% ↑
2009年 25,743
2.75% ↑
2008年 25,055
15.54% ↑
2007年 21,686
-15.55% ↓
2006年 25,678
15.34% ↑
2005年 22,263
-5.75% ↓
2004年 23,622
26.06% ↑
2003年 18,739
-19.97% ↓
2002年 23,416 -

ボスニア・ヘルツェゴビナのキュウリ類の生産量は、過去20年間で様々な要因により変動を繰り返してきました。この生産量は、同国の農業の一端を担う指標であり、気象条件、経済状況、農業技術の進展、さらには地政学的な要因など、複数の要因に大きく影響されています。

データを詳しく見ると、2002年の23,416トンから徐々に増加し、2016年には41,691トンに達し、これは過去20年間での最高値となりました。しかし、その後は年々減少が続き、2023年には12,157トンと大幅な低迷を記録しています。この急激な減少の要因としては、近年の異常気象、気候変動の影響、大雨や干ばつなどの極端な気象現象が挙げられます。これらは、温帯気候に属するボスニア・ヘルツェゴビナの農業セクター全般に悪影響を与えています。

加えて、地域的な経済問題や農業政策の不安定さも生産量の減少に繋がっていると考えられます。同国は東ヨーロッパの複雑な地政学的環境にあり、特に近年の地域的緊張や国際的な経済的な不確定要素が資源や投資を限定し、農家や農業関連産業を困難な状況に追い込んでいます。また、2020年以降の新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる供給網の混乱や労働力不足も影響を与え、2021年以降は顕著な生産量の減少が続いております。

ここで注目すべきは、2016年の記録的な生産量の背後に何があったのかを探ることです。この年は他の東欧地域でも農産物の生産が好調だった時期であり、気象条件が良好であったことや、EU市場への一定の輸出機会があったことが好影響を及ぼしたと推定されます。一方、2023年の結果を見ると、逆にこれらの要因がすべて逆風に作用したことが示唆されます。

今後の対策としては、まず農業部門における気候適応型技術の導入を強化する必要があります。例えば、耐干ばつ・耐寒性の高い品種の開発や、省水型灌漑システムの整備が重要です。また、EU諸国を含めた隣接諸国との農業技術や市場情報の共有を活性化させ、地域協力を通じて輸出拡大への道を模索するべきでしょう。同時に、政府は農家への持続可能な補助金制度を再構築し、生産者が安定的に経営できる環境を提供する必要があります。さらに、気候変動への影響を考慮した国レベルの農業政策を再評価するとともに、若い世代の農業参入を促す支援策が極めて重要です。

ボスニア・ヘルツェゴビナのキュウリ類生産量の現状は、同国の農業全般が直面する課題を反映しています。これに対して、長期的な気候変動への対応策や地域協力を中心に据えた政策が鍵を握るでしょう。また、これらの施策を国際的な支援と結びつけることで、将来の農業の安定と回復につなげる道が拓かれると期待されます。

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