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カタールのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表したデータによると、カタールのキュウリ類生産量は、1977年の840トンから2020年の28,375トンにかけて著しい増加を示しました。その後の2021年から2023年においてはやや減少傾向が見られます。特に1990年代から急激な増加が始まり、2015年以降にはさらに大幅な伸びを経験しましたが、2021年をピークに減少しています。このデータは、カタールにおける農業施策や技術進歩、そして地政学的・環境的な影響の複合的要因を反映していると言えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 15,655
-14.1% ↓
2022年 18,224
-16.59% ↓
2021年 21,848
-23% ↓
2020年 28,375
13.85% ↑
2019年 24,923
41.51% ↑
2018年 17,612
46.86% ↑
2017年 11,992
-8.33% ↓
2016年 13,081
10.67% ↑
2015年 11,820
18.5% ↑
2014年 9,975
30.79% ↑
2013年 7,627
-5.15% ↓
2012年 8,041
-10.75% ↓
2011年 9,010
1022.04% ↑
2010年 803
-3.95% ↓
2009年 836
17.75% ↑
2008年 710 -
2007年 710 -
2006年 710
-2.47% ↓
2005年 728
-21.45% ↓
2004年 927
27.3% ↑
2003年 728
-19.38% ↓
2002年 903
-79.27% ↓
2001年 4,356
-44.79% ↓
2000年 7,890
24.74% ↑
1999年 6,325
172.16% ↑
1998年 2,324
-51.85% ↓
1997年 4,827
5.32% ↑
1996年 4,583
18.7% ↑
1995年 3,861
96.89% ↑
1994年 1,961
120.34% ↑
1993年 890
-33.88% ↓
1992年 1,346
16.23% ↑
1991年 1,158
10.5% ↑
1990年 1,048
6.83% ↑
1989年 981
70.02% ↑
1988年 577
11.61% ↑
1987年 517
-21.67% ↓
1986年 660
26.44% ↑
1985年 522
68.39% ↑
1984年 310
5.44% ↑
1983年 294
149.15% ↑
1982年 118
-80.53% ↓
1981年 606
-23.29% ↓
1980年 790
-4.36% ↓
1979年 826
-3.95% ↓
1978年 860
2.38% ↑
1977年 840 -

カタールのキュウリ類生産量の推移を振り返ると、初期の1970年代から1980年代は、生産量が1,000トン未満で低水準に推移しました。この時期は、カタールの厳しい気候環境や灌漑インフラの未整備がその要因であったと考えられます。しかし1990年代に入ると、生産量は1,000トン以上に増加し、1995年には3,861トン、2000年には7,890トンとなり、飛躍的な成長を遂げました。これは、同時期に進められた農業技術の導入や温室栽培の普及によって、耕作環境が大幅に改善されたことを示しています。

さらに2010年代後半には、国家を挙げた「食料安全保障」政策の一環として、持続可能な農業技術への投資が本格化しました。その成果として2018年には17,612トン、2019年には24,923トン、そして2020年には28,375トンと、過去最高の生産量を記録しました。この時期、カタール国内での消費需要が高まる一方で、地域的な政治的緊張とそれに伴う輸入制限が、国内生産を拡大する原動力となりました。

しかし2021年以降、生産量が減少に転じ、2023年には15,655トンまで落ち込んでいます。これにはいくつかの理由が考えられます。一つは2020年の新型コロナウイルス感染症の影響で、労働力や物流面での制約が生じた可能性です。また、異常気象や水資源の不足、農業での過剰な地下水使用など、環境的な課題も生産量減少の一因と言えるでしょう。

今後の課題として、カタールにおける農業は、増え続ける人口の需要を満たすために効率的かつ持続可能な形で生産を維持・向上していく必要があります。また気候変動や水資源の管理が喫緊の課題であり、高効率の灌漑システムや再生可能エネルギーを活用した技術革新が求められます。具体的には、農業用水を減少させながら収量を確保する技術のさらなる普及や、より多くの温室施設導入が挙げられます。

さらに地政学的リスクや輸入依存からの脱却を目指して、隣国との地域協力も欠かせません。例えば中東地域全体での農業技術の共同開発や知識の共有が、長期的な食料安全保障と環境問題への対応に役立つでしょう。また、国際連合やFAOとも連携を深め、農業分野での資金援助やノウハウ提供を受け続けることも重要です。

結論として、カタールのキュウリ類生産量は、農業技術の進化や政策によって大きく成長を遂げましたが、その持続に向けた課題も顕在化しています。これらの課題に対処することで、同国の農業基盤を強化し、近隣諸国を含めた地域全体への良い影響をもたらす可能性があります。カタール政府や地域協力、さらに国際的な支援を通じて、効果的で持続可能な農業体制を追求していくことが重要です。

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