国際連合食糧農業機関のデータによると、ニジェールのキュウリ類生産量は、1991年から2023年にかけて変動が非常に大きいことが特徴的です。一部の年では大幅な増加傾向が見られる一方で、2012年や2013年のように顕著な減少も記録されています。直近の2023年では、生産量が1,505トンとなっており、過去30年間の平均近辺で落ち着きつつある状況です。
ニジェールのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,505 |
-5.51% ↓
|
2022年 | 1,593 |
-3.34% ↓
|
2021年 | 1,648 |
89.04% ↑
|
2020年 | 872 |
90.36% ↑
|
2019年 | 458 |
531.11% ↑
|
2018年 | 73 |
-93.07% ↓
|
2017年 | 1,047 |
138.64% ↑
|
2016年 | 439 |
-41.81% ↓
|
2015年 | 754 |
-83.5% ↓
|
2014年 | 4,570 |
9420.83% ↑
|
2013年 | 48 |
-66.2% ↓
|
2012年 | 142 |
-98.21% ↓
|
2011年 | 7,954 |
44.78% ↑
|
2010年 | 5,494 |
524.32% ↑
|
2009年 | 880 |
-57.34% ↓
|
2008年 | 2,063 |
18.84% ↑
|
2007年 | 1,736 |
-13.2% ↓
|
2006年 | 2,000 |
27.2% ↑
|
2005年 | 1,572 |
4.07% ↑
|
2004年 | 1,511 |
0.72% ↑
|
2003年 | 1,500 |
12.91% ↑
|
2002年 | 1,329 |
5.92% ↑
|
2001年 | 1,254 |
25.42% ↑
|
2000年 | 1,000 |
16.28% ↑
|
1997年 | 860 |
91.11% ↑
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1995年 | 450 |
-58.72% ↓
|
1994年 | 1,090 |
98.18% ↑
|
1992年 | 550 |
1.85% ↑
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1991年 | 540 | - |
ニジェールのキュウリ類生産量のデータを分析すると、長期的には増減の幅が非常に大きい「不安定な」推移を示しているのがわかります。1991年には540トンからスタートし、急激な増加や減少を繰り返しながら、2010年には5,494トン、翌2011年には7,954トンと記録的なピークを迎えました。しかし、その後数年間で再び急落し、特に2012年および2013年にはそれぞれ142トン、48トンという非常に低い値を記録しています。このような急激な変化からは、外部的な要因が大きく影響している可能性が読み取れます。
特に気候の影響が考えられます。ニジェールはサハラ砂漠南縁に位置する国であり、干ばつや異常気象が比較的頻繁に発生します。降水量が不安定であるため、農作物の生産量が直接的に影響を受けやすい地域です。この地域では農業に依存する人口も多く、キュウリ類のような作物の生産量が減少すると、地元の食糧事情や経済に大きな影響を及ぼします。
また、政治的な不安や地域の紛争も生産量の変動に寄与している可能性があります。特に2012年から2013年にかけた期間に劇的な減少が観測されたのは、ニジェールや近隣諸国における社会的不安定や紛争が影響を与えたのかもしれません。農業インフラが脆弱であることも、こうした変動をより顕著にする要因となっているでしょう。
さらに、近年の気候変動による影響も注目すべき課題です。気温上昇や降雨パターンの変化は、この地域における農作物全般に影響を及ぼしています。そのため、水資源の有効活用や灌漑技術の普及、気候に強い品種の導入などの対策が求められます。2021年から2023年にかけて生産量が安定しつつあることは、農業技術の改善や政策が一定の成果を上げ始めた兆候と捉えられるかもしれません。
ニジェールだけでなく世界全体で比較すると、キュウリ類の生産は中国やインドを中心に非常に大きな規模となっています。中国は世界最大のキュウリ生産国で、数千万トン規模に及びます。これと比べると、ニジェールの生産量は極めて小さいものの、現地の経済や食糧事情における重要性を考慮すれば、その生産力は無視できません。
今後、ニジェールが抱える課題には、農業技術の向上と外部からの援助の活用が含まれます。具体的には、灌漑設備の導入を支援する国際プロジェクトの推進や、農業従事者への教育などを通じて、持続可能な農業を実現することが重要です。また、地政学的リスクを軽減するために、地域の政治的安定性を確保することが必要です。地域間の協力も進めることで、国全体としての食糧安全保障を強化できるでしょう。
ニジェールのキュウリ類生産量は、今後も継続してデータをモニタリングしつつ、各種の対策を講じることで、さらに安定的な生産へと繋げていくべきです。この取り組みは、国内の経済成長や住民の生活向上にも寄与することが期待されます。