国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点の最新データによると、モンゴルにおけるキュウリ類の生産量は、1992年の500トンから2023年の8,499トンへと持続的に増加しています。特に2000年代初頭から徐々に伸びを見せ、2020年以降は急激な成長が観察されます。このデータは、地域の農業発展や気候条件、政府政策の影響を反映しています。
モンゴルのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 8,499 |
21.36% ↑
|
2022年 | 7,003 |
13.66% ↑
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2021年 | 6,161 |
1.76% ↑
|
2020年 | 6,054 |
28.61% ↑
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2019年 | 4,707 |
25.15% ↑
|
2018年 | 3,761 |
-4.1% ↓
|
2017年 | 3,922 |
5.04% ↑
|
2016年 | 3,734 |
-2.74% ↓
|
2015年 | 3,839 |
-18.6% ↓
|
2014年 | 4,716 |
8.65% ↑
|
2013年 | 4,341 |
18.35% ↑
|
2012年 | 3,668 |
-16.14% ↓
|
2011年 | 4,374 |
30.49% ↑
|
2010年 | 3,352 |
9.01% ↑
|
2009年 | 3,075 |
8.08% ↑
|
2008年 | 2,845 |
-1.25% ↓
|
2007年 | 2,881 |
-2.96% ↓
|
2006年 | 2,969 |
-1.03% ↓
|
2005年 | 3,000 |
50% ↑
|
2004年 | 2,000 | - |
2003年 | 2,000 |
-37.5% ↓
|
2002年 | 3,200 |
23.08% ↑
|
2001年 | 2,600 | - |
2000年 | 2,600 |
73.33% ↑
|
1999年 | 1,500 | - |
1998年 | 1,500 |
50% ↑
|
1997年 | 1,000 |
42.86% ↑
|
1996年 | 700 |
-22.22% ↓
|
1995年 | 900 |
28.57% ↑
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1994年 | 700 |
-12.5% ↓
|
1993年 | 800 |
60% ↑
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1992年 | 500 | - |
モンゴルは歴史的に農業条件が厳しい国とされてきましたが、国際連合食糧農業機関の最新データによれば、キュウリを含む園芸作物の生産量は顕著な増加を遂げています。キュウリの生産量は1992年の500トンという控えめな水準から、2023年には8,499トンと約17倍以上に増加しました。この長期的な増加傾向は、国内での農業技術の導入、インフラ整備、さらには気候変動の影響による適応的な農業形態の進展を反映していると考えられます。
データ分析によると、1990年代は生産が不安定で、1992年から1997年までは年間生産量が1,000トンを下回っていました。しかし、1998年以降、1,500トン以上を記録し、2000年には2,600トンと急上昇しています。この時期の増加は、冷蔵設備の整備や輸送網の改善、さらには国内の需要拡大が主要な要因とされています。
2000年代中頃から2010年代前半までの生産量は2,000~4,000トンの範囲で推移し、比較的緩やかな増加傾向を維持していました。その後、2020年以降になると生産量は急拡大し、2023年には初めて8,000トン以上を記録しました。この近年の急成長は、モンゴル政府が推進した「食糧安全保障計画」の支援のもとで、ビニールハウス技術の導入や灌漑設備の強化が重要な役割を果たしていると考えられます。
しかし、この成長の背景には課題も存在します。まず、モンゴルは寒冷で乾燥した気候が主であり、現地で適切な生育条件を提供するためには多大なエネルギーや資源が必要です。このため、厳しい冬季の暖房コストや水資源管理が喫緊の課題と言えるでしょう。また、輸送コストも高く、国内消費だけではなく輸出を本格化させるための効率的な物流体系の構築が不可欠です。
さらに、モンゴル周辺国との比較を行うと、例えば中国は世界最大のキュウリ生産国であり、年間で数千万トンの生産量を誇っています。一方、モンゴルの規模は依然として小さく、国際市場への拡大にはより高品質の製品開発とブランド化が求められます。この観点からは、日本や韓国と協力し、農業技術や輸出戦略について学ぶことが有効な手段となるでしょう。
今後の可能性として、地域協力による市場拡大や、低環境負荷型技術の採用が挙げられます。たとえば、モンゴル特有の気候条件を活かした「エコロジカル農業」の推進が、国際市場での付加価値を高める鍵になるかもしれません。また、温室効果ガス削減や限られた水資源の効率的な利用を目的に、先端農業技術をより積極的に導入すべきです。
さらに、新型コロナの影響で一時的に貿易が停滞していたことや、パンデミックが国内農業政策の役割を再確認する契機となったことも念頭におきたい点です。その結果として、国内農業が長期的視点で再構築され、特に食糧自給率の向上が促進されました。このような地政学的条件や疫病の影響を考えると、持続可能な農業モデルの確立がモンゴルにとって不可欠です。
結論として、モンゴルのキュウリ生産量の著しい成長は、地域の農業発展や政策の成功を示す重要な指標と言えます。今後も国内農業の発展には、気候への適応、生産コストの削減、輸送インフラの整備に注力する必要があります。同時に、国際市場との連携を強化し、環境配慮型農業を推進することが持続的な成長に寄与するでしょう。