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アラブ首長国連邦のカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、アラブ首長国連邦(UAE)のカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの生産量は、1967年以降一貫して増加傾向を示しましたが、その後は波動的な変動が見られています。特に1970年代から1980年代前半にかけて急激な成長を遂げ、その後一時的な減少と回復を繰り返しながら、近年では2021年に29,701トンというピークを記録しましたが、2023年には20,155トンと再び減少しています。このような生産量の動きは、国の農業政策、気候条件、経済的要因、および地政学的な背景などが複合的に影響しているものと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 20,155
-22.92% ↓
2022年 26,149
-11.96% ↓
2021年 29,701
39.15% ↑
2020年 21,345
-0.42% ↓
2019年 21,436
4.56% ↑
2018年 20,501
-13.72% ↓
2017年 23,762
81.35% ↑
2016年 13,103
-29% ↓
2015年 18,455
12.35% ↑
2014年 16,426
184.68% ↑
2013年 5,770
-72.98% ↓
2012年 21,355
-7.62% ↓
2011年 23,117
-15.69% ↓
2010年 27,419
37.55% ↑
2009年 19,934
-31.31% ↓
2008年 29,019
56.31% ↑
2007年 18,565
8.26% ↑
2006年 17,148
-35.07% ↓
2005年 26,408
25.75% ↑
2004年 21,000
6.01% ↑
2003年 19,810
-3.38% ↓
2002年 20,502
-25.17% ↓
2001年 27,399
-31.78% ↓
2000年 40,162
-5.78% ↓
1999年 42,626
22.62% ↑
1998年 34,764
0.1% ↑
1997年 34,731
20.07% ↑
1996年 28,925
10.37% ↑
1995年 26,208
56.12% ↑
1994年 16,787
-22.07% ↓
1993年 21,541
67.83% ↑
1992年 12,835
-18.77% ↓
1991年 15,800
21.96% ↑
1990年 12,955
-1.79% ↓
1989年 13,191
49.19% ↑
1988年 8,842
-27.2% ↓
1987年 12,146
-6.57% ↓
1986年 13,000
-8.55% ↓
1985年 14,215
20.64% ↑
1984年 11,783
-29.14% ↓
1983年 16,628
12.11% ↑
1982年 14,832
64.53% ↑
1981年 9,015
3.73% ↑
1980年 8,691
86.34% ↑
1979年 4,664
118.25% ↑
1978年 2,137
80.03% ↑
1977年 1,187
39.65% ↑
1976年 850
18.06% ↑
1975年 720
22.24% ↑
1974年 589
134.66% ↑
1973年 251
191.86% ↑
1972年 86
24.64% ↑
1971年 69
15% ↑
1970年 60
20% ↑
1969年 50
100% ↑
1968年 25
733.33% ↑
1967年 3 -

アラブ首長国連邦のカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの生産量推移を詳細に見ると、1967年の3トンから1979年の4,664トン、そして1981年には9,015トンと急速な成長を遂げています。この背景には、UAEが経済成長とともに農業分野への投資を増やし、灌漑システムの導入を進めたことが挙げられます。ただし、1980年代半ば以降、農業環境や政策の変化に伴う生産量の緩やかな減少が見られています。

特に1993年には21,541トンまで回復しましたが、その後、再び減少しつつ、1999年には42,626トンというピークを迎えました。この増加は、UAEが国土の不利な環境条件を克服するために導入した先進農業技術や、水資源の効率的な利用などが寄与したとみられます。一方で、2000年代には急激な減少を経験し、2001年には27,399トンと1990年代ピーク時の半分近い水準に低下しました。

2013年には生産量が5,770トンと急落しており、この時期は地域的な干ばつや水不足の影響が要因である可能性があります。その後は政策転換による持ち直しが見られ、2021年には過去10年間で最高値となる29,701トンに達しました。しかしそれ以降は再び減少傾向が見られ、2023年には20,155トンと明確な落ち込みが確認されています。この変動は、近年の気候変動の影響や、国内農業への投資減少といった要因が考えられるでしょう。

UAEの農業は、地理的、気候的な条件からくる制約を抱えており、水資源の不足が大きな課題です。多くの地域が砂漠地帯であるため、農業に利用可能な水が限られています。加えて気候変動により干ばつや気温上昇がさらに進む中で、水の効率的な利用は欠かせません。また、近年の新型コロナウイルスの影響で、農業分野への労働力が一時的に減少したことも生産量に影響を与えた可能性があります。こうした要因が、2020年代における生産量の波動的な動きの一因とみられます。

この状況を解決するためには、以下のような具体的な取り組みが必要です。まず、水資源のさらなる効率利用のため、海水淡水化技術やリサイクル水の農業利用推進が必須です。また、耐乾燥性のある新品種のカボチャやスクワッシュを開発し、それらを導入することで気候条件の影響を緩和する努力が求められます。さらに、地域での農業協力や国際的な技術移転を推進し、農地利用の効率化や持続可能な農業に向けた体系を整える必要があります。

このような取り組みはUAEの農業全体の生産性向上に寄与するだけでなく、地域の食糧安全保障を強化するうえでも意義があります。特に、隣国との協力関係を構築し共通課題としての水問題や農業技術の共有を図ることは、将来の持続可能な農業を形作る一助となるでしょう。国や国際機関は、この地域の農業課題を深く理解し、科学的かつ国際協調を基盤とした政策を支援することが必要です。