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ブータンのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ブータンのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの年間生産量は、2003年から2023年の20年間で大きな変動を見せています。2003年の4,000トンから2005年には9,383トンと急増した一方で、2008年には3,978トンまで減少するなど、生産量には大幅な上下動が見られます。特に2020年には7,918トンと一時的に回復したものの、2022年まで減少し、2023年には4,931トンと近年の低迷傾向から少し持ち直した状況です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,931
8.89% ↑
2022年 4,528
-20.49% ↓
2021年 5,695
-28.07% ↓
2020年 7,918
31.01% ↑
2019年 6,043
56.15% ↑
2018年 3,870
-25.63% ↓
2017年 5,204
-18.97% ↓
2016年 6,422
39.73% ↑
2015年 4,596
-21.19% ↓
2014年 5,832
-17.37% ↓
2013年 7,058
2.44% ↑
2012年 6,890
-6.31% ↓
2011年 7,354
22.4% ↑
2010年 6,008
-24.99% ↓
2009年 8,010
101.36% ↑
2008年 3,978
-42.94% ↓
2007年 6,972
-27.38% ↓
2006年 9,600
2.31% ↑
2005年 9,383
123.94% ↑
2004年 4,190
4.75% ↑
2003年 4,000 -

ブータンのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量データを詳しく見ると、20年間の推移には顕著な変動があり、安定性に欠けています。この傾向は、気候変動などの自然環境の影響だけでなく、農業政策、労働力、農業技術、さらには市場需要の変化など多様な要因によって生じていると考えられます。

2003年から2005年にかけて生産量は2倍以上に増加しましたが、これは農地の拡大や生産技術の改善、または外需の増加が一因である可能性があります。しかしその後、2007年から急激な減少が見られ、2008年には3,978トンと最低値に達しました。この時期の減少は、異常気象や国内外市場条件の変化、さらに農業インフラの未整備が関与している可能性があります。

2010年代に入り、平均的に6,000から7,000トンの間で推移しましたが、多年にわたり安定しない動きを示しています。特に、2018年からは3年連続して6,000トンを下回る低迷が見られ、2020年になってようやく7,918トンに回復しました。この回復は、農業政策の支援や気候の安定化が寄与したものと考えられます。しかしながら、2021年以降再び減少傾向が現れ、2023年の生産量は4,931トン、長期的な視点では依然として課題が多いといえます。

ブータンの農業は小規模・家族経営が中心で、近年では労働力不足や若者の都市流出、技術革新の遅れが重要な課題とされています。また、地域的エリートが農業経済を占める中で、資源の均等分配が進んでいないことが課題をさらに深めています。気候変動も無視できず、豪雨・干ばつなどの影響は、この種の天候に敏感な作物の生産に致命的な影響を与える可能性があります。

国際比較の観点では、例えば日本ではデータにはカボチャやスクワッシュの安定した高品質な生産が見られ、一方で、インドでは気候の地域差によって大きな生産変動が見られます。ブータンがその間に位置する状況を考えると、国際的な知見を取り入れて地域特性に適応した政策を導入することが重要です。

今後の課題解決のためには、まず生産の安定化を目指した取り組みが必要です。技術の導入により気候リスクを緩和する農業インフラの改善、小規模な農家のための融資制度や設備投資支援の拡充が求められます。さらに、自給自足の枠を超えて市場を視野に入れた生産モデルの導入も効果を発揮するでしょう。また、若者への農業教育や訓練を強化し、都市から農村への労働力の意識的な誘導や農業に対する認識の向上も欠かせません。

地政学的には、隣国インドとの貿易関係や輸送ルートの改善が収益性向上の重要な鍵を握るでしょう。また、将来的な資源争奪や地域紛争における自国農業の安全保障としても、この分野における成長は重要です。

コロナ禍においては輸送や労働力確保の側面で困難が生じた可能性が考えられますが、この経験を踏まえた危機管理能力の構築もまた今後の課題の一つです。過去20年のデータから得られる教訓は多く、持続可能な農業の実現に向けて、国際協力と地域特性を考慮した計画の策定こそが鍵となるでしょう。