国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、レバノンのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1961年に17,000トンだったものの、生産量は長期間にわたり変動を伴いながら推移してきました。1990年代には急増し、1998年に47,200トンに達したものの、その後はやや減少傾向にあります。2023年の生産量は28,194トンであり、持続的生産と気候変動の影響が生産活動に影響を及ぼしている可能性が考えられます。
レバノンのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 28,194 |
-2.75% ↓
|
2022年 | 28,993 |
7.6% ↑
|
2021年 | 26,946 |
-3.77% ↓
|
2020年 | 28,000 |
-6.67% ↓
|
2019年 | 30,000 |
-14.85% ↓
|
2018年 | 35,230 |
-3.82% ↓
|
2017年 | 36,631 |
45.74% ↑
|
2016年 | 25,135 |
-9.34% ↓
|
2015年 | 27,725 |
-3.49% ↓
|
2014年 | 28,728 |
-8.04% ↓
|
2013年 | 31,239 |
3.43% ↑
|
2012年 | 30,202 |
13.89% ↑
|
2011年 | 26,517 |
-5.3% ↓
|
2010年 | 28,003 |
-21.51% ↓
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2009年 | 35,675 |
25.17% ↑
|
2008年 | 28,500 |
1.06% ↑
|
2007年 | 28,200 |
15.57% ↑
|
2006年 | 24,400 |
2.95% ↑
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2005年 | 23,700 |
-2.87% ↓
|
2004年 | 24,400 |
15.09% ↑
|
2003年 | 21,200 |
-9.79% ↓
|
2002年 | 23,500 |
41.57% ↑
|
2001年 | 16,600 |
-31.4% ↓
|
2000年 | 24,200 |
-41.83% ↓
|
1999年 | 41,600 |
-11.86% ↓
|
1998年 | 47,200 |
40.48% ↑
|
1997年 | 33,600 |
-12.09% ↓
|
1996年 | 38,223 |
12.42% ↑
|
1995年 | 34,000 |
13.33% ↑
|
1994年 | 30,000 |
7.14% ↑
|
1993年 | 28,000 |
7.36% ↑
|
1992年 | 26,080 |
-4.18% ↓
|
1991年 | 27,219 |
8.88% ↑
|
1990年 | 25,000 |
6.38% ↑
|
1989年 | 23,500 |
6.82% ↑
|
1988年 | 22,000 |
10% ↑
|
1987年 | 20,000 |
11.11% ↑
|
1986年 | 18,000 |
12.5% ↑
|
1985年 | 16,000 |
6.67% ↑
|
1984年 | 15,000 |
11.11% ↑
|
1983年 | 13,500 |
7.14% ↑
|
1982年 | 12,600 |
32.63% ↑
|
1981年 | 9,500 |
5.56% ↑
|
1980年 | 9,000 | - |
1979年 | 9,000 | - |
1978年 | 9,000 | - |
1977年 | 9,000 | - |
1976年 | 9,000 | - |
1975年 | 9,000 |
-37.33% ↓
|
1974年 | 14,362 |
82.58% ↑
|
1973年 | 7,866 |
0.65% ↑
|
1972年 | 7,815 |
17.03% ↑
|
1971年 | 6,678 |
-29.64% ↓
|
1970年 | 9,491 |
0.25% ↑
|
1969年 | 9,467 |
0.8% ↑
|
1968年 | 9,392 |
17.03% ↑
|
1967年 | 8,025 |
7.79% ↑
|
1966年 | 7,445 |
-44.85% ↓
|
1965年 | 13,500 |
-14.01% ↓
|
1964年 | 15,700 |
12.14% ↑
|
1963年 | 14,000 |
-22.22% ↓
|
1962年 | 18,000 |
5.88% ↑
|
1961年 | 17,000 | - |
レバノンのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量の推移を振り返ると、興味深い変動が見られます。1960年代初頭の生産量は年間約17,000トンで推移していましたが、1966年にはわずか7,445トンにまで減少しました。これはおそらく、政治的不安定や農業技術の制約が影響を及ぼしたと考えられます。その後の1970年代は9,000トン前後で安定したものの、1980年代後半から増加傾向を示し、1998年には47,200トンというピークを迎えました。この増加は農業収益の向上、輸出需要の拡大、および農業技術の近代化と関連していると考えられます。
ただし、2000年以降、特に2001年から2003年にかけて生産量が16,600トン~24,400トンの範囲に減少し、その後も不安定な推移が見られるようになりました。近年、2023年時点では28,194トンと1990年代のピ-ク時より低い水準になっています。このような変動要因として、レバノンが直面している地政学的リスクや気候変動が影響を及ぼしていると推察されます。例えば、近年のレバノンにおける経済危機やインフラの不備は、農業生産や流通に深刻な影響を与えた可能性があります。
他国と比較すると、カボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの世界的な主要生産国であるアメリカやインドでは、安定した生産基盤が構築されています。一方、レバノンのような小規模な農業依存国では、競争力維持が課題となっています。特に、日本や韓国のように収益性の高い農産業モデルを採用している国々を見ると、クオリティ向上やブランド化が生産量以上に重要となることが示唆されます。
この分野の課題として、まず気候変動による農業被害を挙げられます。カボチャ類の栽培は比較的適応性が高い作物として知られていますが、それでも降水パターンの変化や干ばつは、収穫量に大きな影響を与える可能性があります。また、輸出市場の競争激化や国内流通の課題も、持続的な生産維持における重要な検討事項です。さらに、レバノンにおける農業資源の地域的偏りによる不均衡も、効率的な生産体制の阻害要因となっています。
これからの対策としては、農業従事者への教育と技術支援が不可欠です。具体的には、耐病害性の高い品種や、気候変動の影響を緩和するための環境制御型栽培方法への移行などを推進するべきです。また、国際的な協力の枠組みを活用し、資金援助や輸出支援を享受することで競争力の向上を図ることが期待されます。さらに、地元農産品をブランド化し、国外市場での基盤を強化するべきです。日本やアメリカのように、地域の特産物をFOODEX(国際食品・飲料展)などでPRすることも戦略の一環です。
結論として、レバノンのカボチャ類生産量は過去数十年で大きく増減し、複雑な課題を抱えています。気候変動、政策支援の不足、国際市場へのアクセス向上が鍵となる中、高付加価値化と効率的生産体制を構築することが、今後の持続可能な発展にとって重要です。農業分野におけるイノベーションと地域間協力を積極的に駆使することで、レバノンはこの分野で新たな競争力を獲得する道を切り拓くことができるでしょう。