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中国、香港特別行政区のカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)

最新のFAO(国際連合食糧農業機関)が提供するデータによると、中国、香港特別行政区のカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1960年代から1980年代にかけて大きな増減を見せつつも、1989年以降は急激に減少しました。そして、2006年以降、年間240トン台に落ち着き、現在の生産量はほぼ横ばい状態を保っています。このデータからは、大きな変動を経た末に、現在では安定的な生産量に定着した様子が見て取れます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 240
0.07% ↑
2022年 240
0.04% ↑
2021年 240
0.04% ↑
2020年 240
-0.27% ↓
2019年 241
0.24% ↑
2018年 240
0.04% ↑
2017年 240
-0.09% ↓
2016年 240
-0.56% ↓
2015年 242
-0.34% ↓
2014年 242
-3.02% ↓
2013年 250
-3.85% ↓
2012年 260
4% ↑
2011年 250
0.77% ↑
2010年 248
0.78% ↑
2009年 246
0.8% ↑
2008年 244
0.83% ↑
2007年 242
-3.12% ↓
2006年 250
6.79% ↑
2005年 234
1.86% ↑
2004年 230
-1.04% ↓
2003年 232
5.77% ↑
2002年 220
2.4% ↑
2001年 214
-5.48% ↓
2000年 227
0.81% ↑
1999年 225
12.95% ↑
1998年 199
-9.07% ↓
1997年 219
9.56% ↑
1996年 200
-28.32% ↓
1995年 279
97.87% ↑
1994年 141
-32.86% ↓
1993年 210
-25% ↓
1992年 280
-24.32% ↓
1991年 370
23.33% ↑
1990年 300
-30.23% ↓
1989年 430
-91.78% ↓
1988年 5,230
-6.1% ↓
1987年 5,570
-10.02% ↓
1986年 6,190
4.21% ↑
1985年 5,940
-15.14% ↓
1984年 7,000
-12.5% ↓
1983年 8,000
-2.79% ↓
1982年 8,230
43.88% ↑
1981年 5,720
-47.47% ↓
1980年 10,890
86.15% ↑
1979年 5,850
11.64% ↑
1978年 5,240
-31.32% ↓
1977年 7,630
-0.26% ↓
1976年 7,650
60.38% ↑
1975年 4,770
-16.61% ↓
1974年 5,720
19.17% ↑
1973年 4,800
-4% ↓
1972年 5,000
-23.08% ↓
1971年 6,500
8.33% ↑
1970年 6,000
-7.69% ↓
1969年 6,500
33.8% ↑
1968年 4,858
-18.72% ↓
1967年 5,977
77.1% ↑
1966年 3,375
-7.05% ↓
1965年 3,631
13.47% ↑
1964年 3,200
6.67% ↑
1963年 3,000
7.14% ↑
1962年 2,800
12% ↑
1961年 2,500 -

中国、香港特別行政区におけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタンの生産量は、1960年代に2,500トンで始まりました。その後の20年にわたり、増加傾向を示し、特に1980年には10,890トンに達しました。しかし、その後、急峻な減少を見せ、1989年から1995年にかけて100トン台から200トン台へと大幅に落ち込みました。その後、2000年代に入ってから今日まで、240トン前後で安定して推移しています。このような生産量の推移は、地域の農業政策や経済、都市化、そして地政学的要因といった背景と密接に関連していると考えられます。

1980年代以前、農業用地への需要が高まっていた背景として、人口増加や地域内での食料確保に向けた努力がありました。それに対し、1980年代から1990年代にかけての急激な減少は、都市化や経済発展に伴う土地利用の変化が影響している可能性があります。香港の特性として都市部が広がることで、農地が住宅開発や商業エリアへと転用され、生産量が減少したと考えられます。加えて、香港は農業以外の経済活動、とりわけ金融や貿易が経済を牽引していることから、相対的に農業の比重が低まった点も、こうした傾向の一因となっています。

また、生産量が240トンで横ばいとなった現状は、香港特有の地理的条件や政策的背景の影響を反映していると思われます。農地不足や高い土地価格が農業の大規模化を難しくしている一方で、ニッチな市場での需要を支えるために最低限の生産量は維持されていると推測されます。このような生産構造は、主に地元の限定的な市場向けに供給が成されていることを示唆している可能性があります。

この状況の中で、一部地域では持続可能な農業や都市型農業を試みる動きも見られます。特に、高密度の都市環境でも可能な水耕栽培やビル農業は、香港の地理的制約を克服するための重要な手法となり得ます。また、地産地消の推進や地域農業製品のブランド化を通じて、新たな付加価値を生み出すことも検討すべきです。この際、農業従事者向けの補助金や技術支援を充実させ、持続可能な農業の実現を目指すことが肝要です。

さらに、こうした農業の縮小と並行し、地域内外との農産物貿易に依存する体制が確立されています。しかし、新型コロナウイルスの影響をはじめとする貿易の停滞やサプライチェーンの断裂といったリスクへの対策も必要です。これに対し、例えば地域間協力や自由貿易の強化、さらには周辺国(主に中国本土)との農産物サプライチェーンの安定化は、このようなリスクを緩和する手段となるでしょう。

結論として、このデータからは香港におけるカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産の明確な縮小と、それに伴う農業の変遷が浮き彫りとなります。今後の課題としては、限られた土地利用の中で都市農業をいかに発展させていくか、また、外部からの貿易依存に伴うリスクをどのように軽減するかが挙げられます。政策としては、地元産業の多様化や技術革新の推進、そして持続可能な農業モデルの啓発が鍵になるでしょう。こうしたアプローチを通じ、香港特有の地域的特徴を活かした農業の未来を築く意義があると言えます。