国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、カタールにおけるカリフラワーおよびブロッコリーの生産量は、1977年には300トンであったのに対し、2023年には過去第2位となる2,152トンへと増加しました。長期的に見れば生産量は右肩上がりの傾向を示していますが、一部の年では不安定な数値の変動も見られます。特に2010年代以降に増加が加速しており、農業政策や技術の進展が大きな役割を果たしている可能性があります。
カタールのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 2,152 |
39.74% ↑
|
2022年 | 1,540 |
8.22% ↑
|
2021年 | 1,423 |
-17.32% ↓
|
2020年 | 1,721 |
-7.21% ↓
|
2019年 | 1,855 |
27.48% ↑
|
2018年 | 1,455 |
-1.36% ↓
|
2017年 | 1,475 |
-40.91% ↓
|
2016年 | 2,496 |
70.71% ↑
|
2015年 | 1,462 |
-6.09% ↓
|
2014年 | 1,557 |
29% ↑
|
2013年 | 1,207 |
-6.36% ↓
|
2012年 | 1,289 |
-6.32% ↓
|
2011年 | 1,376 |
-33.4% ↓
|
2010年 | 2,066 |
26.13% ↑
|
2009年 | 1,638 |
48.91% ↑
|
2008年 | 1,100 | - |
2007年 | 1,100 |
-4.35% ↓
|
2006年 | 1,150 |
1.5% ↑
|
2005年 | 1,133 |
42.7% ↑
|
2004年 | 794 |
-30.53% ↓
|
2003年 | 1,143 |
41.11% ↑
|
2002年 | 810 |
5.61% ↑
|
2001年 | 767 |
-56.17% ↓
|
2000年 | 1,750 |
7.96% ↑
|
1999年 | 1,621 |
7.64% ↑
|
1998年 | 1,506 |
-14.04% ↓
|
1997年 | 1,752 |
27.6% ↑
|
1996年 | 1,373 |
6.11% ↑
|
1995年 | 1,294 |
12.52% ↑
|
1994年 | 1,150 |
20.55% ↑
|
1993年 | 954 |
0.21% ↑
|
1992年 | 952 |
5.9% ↑
|
1991年 | 899 |
-0.88% ↓
|
1990年 | 907 |
-10.55% ↓
|
1989年 | 1,014 |
32.72% ↑
|
1988年 | 764 |
21.85% ↑
|
1987年 | 627 |
-7.52% ↓
|
1986年 | 678 |
55.15% ↑
|
1985年 | 437 |
93.36% ↑
|
1984年 | 226 |
-2.59% ↓
|
1983年 | 232 |
-50.32% ↓
|
1982年 | 467 |
97.88% ↑
|
1981年 | 236 |
-33.52% ↓
|
1980年 | 355 |
16.01% ↑
|
1979年 | 306 |
2% ↑
|
1978年 | 300 | - |
1977年 | 300 | - |
カタールにおけるカリフラワーおよびブロッコリーの生産量推移を分析すると、1977年から2023年にかけて全体として生産量が大幅に増加していることが確認できます。1977年から1980年頃までは300トン台で推移していましたが、1980年代に入ると生産量が波状的に上昇し、1989年には1,014トンと初めて1,000トンを超えました。その後も1990年代から2000年代にかけて成長が続き、特に2000年には1,750トンを記録するなど、明らかな拡大傾向が見られます。さらに、2010年には2,066トンという当時の最大値に達し、2016年には2,496トンという過去最高記録を更新する結果となりました。ただ、その後は生産量が一時的に下降した年度もあり、2021年には1,423トンまで落ち込む場面もあります。しかし、2023年には2,152トンとなり再び改善傾向が見られました。
この生産量の増加には、カタールの農業政策および技術の進化が寄与していると考えられます。近年、この国では国家主導の農業振興が行われており、特に乾燥地帯での灌漑システムの強化や、持続可能な農法の導入が進んでいます。これにより、水不足の課題に直面している国としての地理的課題を克服しつつ、農業生産性を高めています。また、食品安全保障の観点から、地元での食料自給率を向上させる取り組みが強化されています。
しかし一方で、生産量には年度ごとに大きな変動が見られる点が課題として浮かび上がります。この変動は、干ばつの影響や資源の供給不安など、自然条件や外部環境の制約による影響が考えられます。また、特に2021年に生産量が急落した背景には、パンデミックによる労働力不足や物流の停滞が影響している可能性も高いです。こうした外部要因の影響を最小化するためには、より強靭な食料生産体制を整備することが求められています。
このような状況を踏まえ、カタールが今後取り得る対策としては、気候変動の影響に耐え得る作物の開発や、スマート農業技術をさらに推進することが挙げられます。例えば、適応型の品種改良やAIを活用した生産マネジメントの導入は、変動する環境条件にも柔軟に対応するために有効です。また、国際的な知見と技術を取り入れるための地域間協力の枠組みを確立することも、一つの鍵となります。加えて、内陸国であるカタールにとって、海運や貿易に依存せずに持続可能な食料供給を実現するためには、都市部や砂漠地域での垂直農法の採用が今後さらに注目されるでしょう。
2023年のデータを見る限り、カタールはカリフラワーおよびブロッコリーの生産量拡大において前進を遂げています。しかし、地政学的リスクや自然条件の厳しい背景を考慮すると、今後も安定した成長を続けるためには、柔軟かつ具体的な政策を展開していく必要があります。国際的な協力と地域特有の農業イノベーションの両面を活用することで、この課題を解決する可能性が広がると期待されます。