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アラブ首長国連邦のキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、アラブ首長国連邦(UAE)のキャベツ生産量は1967年の85トンから徐々に増加し、1990年代初頭にピークを迎えました。1992年には最大の106,964トンを記録しましたが、その後大幅に減少し、近年では2019年以降に再び増加傾向が見えています。2022年の生産量は26,664トンと、以前のピークからは大きく減少しているものの、低迷期からは持ち直している状態です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 27,623
3.6% ↑
2022年 26,664
-19.41% ↓
2021年 33,087
-6.81% ↓
2020年 35,503
39.71% ↑
2019年 25,413
80.81% ↑
2018年 14,055
20.19% ↑
2017年 11,694
-14.27% ↓
2016年 13,641
0.68% ↑
2015年 13,549
7.17% ↑
2014年 12,643
66.73% ↑
2013年 7,583
-40.15% ↓
2012年 12,670
92.73% ↑
2011年 6,574
-22.91% ↓
2010年 8,528
-14.01% ↓
2009年 9,917
-4.18% ↓
2008年 10,350
33.34% ↑
2007年 7,762
-21.56% ↓
2006年 9,896
-43.14% ↓
2005年 17,403
16.02% ↑
2004年 15,000
4.73% ↑
2003年 14,323
-52.08% ↓
2002年 29,892
5.26% ↑
2001年 28,398
-3.74% ↓
2000年 29,500
-45.05% ↓
1999年 53,684
74.26% ↑
1998年 30,806
30.56% ↑
1997年 23,595
-31.64% ↓
1996年 34,517
-42.32% ↓
1995年 59,843
-43.92% ↓
1994年 106,708
-4.91% ↓
1993年 112,219
4.91% ↑
1992年 106,964
95.75% ↑
1991年 54,644
32.74% ↑
1990年 41,165
19.69% ↑
1989年 34,393
172.42% ↑
1988年 12,625
-28.33% ↓
1987年 17,616
56.28% ↑
1986年 11,272
-45.8% ↓
1985年 20,797
11.11% ↑
1984年 18,717
-28.8% ↓
1983年 26,287
152.27% ↑
1982年 10,420
16.07% ↑
1981年 8,977
81.1% ↑
1980年 4,957
-37.76% ↓
1979年 7,964
39.99% ↑
1978年 5,689
48.31% ↑
1977年 3,836
-30.25% ↓
1976年 5,500
-23.61% ↓
1975年 7,200
-32.14% ↓
1974年 10,610
3996.53% ↑
1973年 259
16.67% ↑
1972年 222
-8.26% ↓
1971年 242
21% ↑
1970年 200
100% ↑
1969年 100 -
1968年 100
17.65% ↑
1967年 85 -

1967年から2022年までのアラブ首長国連邦(UAE)のキャベツ生産量の推移を見てみると、特筆すべきは1970年代後半から1990年代初頭にかけての急激な増加と、その後の長期的な減少傾向です。この動向は、UAEの農業の発展とその後進行した諸課題を反映する重要なデータです。

1974年に10,610トンと、それまでの実績と比べて急激な生産量の上昇が始まりました。この背景には、UAEが1971年の建国以降、農業分野へ積極的な投資を行い、灌漑技術の導入や農地の拡大を進めたことが挙げられます。また、気候条件が厳しい地域での農業拡大は、食料自給率を高めるための国家的な戦略の一環でした。その後、1992年に106,964トンというピークを記録しましたが、この数値はUAEにおいて大規模な農業改革が成功を収めた時期を象徴するものです。

しかしながら、1990年代半ばをピークに生産量は急激に減少傾向となり、2000年代以降は持続可能性の課題が浮き彫りになりました。この減少の理由として、過剰な灌漑に伴い地下水資源の枯渇が進んだことや、砂漠地帯での農業の限界が挙げられます。また、都市化の進行による農業用地の減少や、石油経済への依存が農業政策の優先度を後退させたことも影響しています。

2019年以降のデータに目を向けると、生産量の回復の兆しが見られる点が注目されます。この背景には、先進的な農業技術の導入や水資源管理の改善、さらには気候変動に強い農業モデルへの移行努力が挙げられます。2020年に35,503トンという近年のピークを記録したことは、こうした取り組みの成果を示していると考えられます。

それでもなお、2022年の生産量が26,664トンと伸び悩む状況を見ると、いくつかの課題が残存していることが窺えます。特に、砂漠化や水不足という地政学的リスクは、この地域における農業の持続的発展にとって大きな障壁です。また、世界的な食料安全保障の観点からも、UAEのキャベツ生産はその地域的な意義を超えて重要性を増しつつあります。

今後の提言として、まず適切な水管理をさらに推進する必要があります。淡水化技術の利用や再生可能なエネルギーを活用した効率的な灌漑技術の導入を加速させるべきです。また、気候変動に強い品種の開発や、砂漠農業に最適化されたスマート農業技術の普及も重要です。そして、地域間協力を強化し、例えば湾岸諸国間での農業技術共有や共同研究を行う枠組みを整備することで、より広範な農業関連課題の解決を図るべきです。

結論として、UAEのキャベツ生産量の推移は、この国の農業の進化と課題を象徴するものです。現在の回復基調を持続的なものとするためには、新たな技術革新と効率的な資源管理、さらなる政策支援が求められます。UAEだけでなく、世界全体で食料需要が高まる中、地域的な努力が国際的な食料安全保障にも寄与することが期待されます。