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ブータンのキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新の2024年7月更新データによると、ブータンのキャベツ生産量は過去20年間、大きな変動を示しています。2004年から徐々に成長を見せつつも、2008年や2010年に減少が見られ、その後再び増加傾向に転じました。特に2017年には10,562トンとピークに達しましたが、その後は減少傾向が顕著です。2022年には生産量が3,206トンと低調な結果となっており、一貫した生産体制の構築が求められています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,763
-13.81% ↓
2022年 3,206
-14.81% ↓
2021年 3,763
-51.93% ↓
2020年 7,830
29.01% ↑
2019年 6,069
50.4% ↑
2018年 4,035
-61.8% ↓
2017年 10,562
58% ↑
2016年 6,685
28.34% ↑
2015年 5,209
19.42% ↑
2014年 4,362
10.1% ↑
2013年 3,962
16.09% ↑
2012年 3,413
10.74% ↑
2011年 3,082
137.26% ↑
2010年 1,299
-27.1% ↓
2009年 1,782
29.6% ↑
2008年 1,375
-69.18% ↓
2007年 4,462
3.82% ↑
2006年 4,298
28.45% ↑
2005年 3,346
78.07% ↑
2004年 1,879 -

FAOのデータによると、ブータンのキャベツ生産は長期的には変動の多い推移をしており、その背景には地理的条件、資源配分、労働力の移動、気候変動の影響が絡んでいる可能性があります。例えば、2008年と2010年の生産量の大幅な低下(それぞれ1,375トン、1,299トン)は、気象条件の悪化や農業技術の制限が原因となった可能性が高い一方、2017年の10,562トンの急増は農業政策の成功や輸出市場の開拓による需要の拡大を反映していると考えられます。

しかし、2018年以降は再び減少傾向となり、2022年には3,206トンと過去10年の中でも低めの数値に留まっています。この減少の要因としては、気候変動による天候不順の増加、肥料や農業資材の供給不足、さらには新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による農村部の労働力不足などが挙げられます。また、近年の地政学的な影響として、周辺諸国との物流や貿易の制限、特にインドとの貿易政策の変化が生産と流通の両面で影響を及ぼしている可能性も指摘されます。

ブータンでは農業が国内総生産(GDP)の重要な柱をなしており、高地での野菜栽培は住民の生活維持において欠かせないものです。ただし、他国、例えばインド(世界で農産物の生産量が多い国の一つ)や中国などと比較すると、ブータンのキャベツ生産規模はまだ小さく、輸出市場での競争力確保には限界があります。そのため、規模の拡大だけでなく持続可能な農業技術の導入が求められています。

将来の課題として、一時的な生産量の増加ではなく、安定した生産体制を構築することが重要です。特に、地域的な気候変動の影響を緩和するために、耐寒性・耐乾性を持つキャベツ品種の導入が有益と考えられます。また、農民に対する技術訓練や政府のサポート体制を強化し、農業における最新技術の普及を図ることが必要です。その上で、インフラ整備や物流の改善を進めることで、国内外の市場へのアクセスを広げることができるでしょう。

さらに、自然災害やパンデミックなど不測の事態に対するリスク管理も重要です。例えば、災害への備えとして、水管理システムの整備や気象予測技術の導入が考えられます。周辺諸国との協調も欠かせない要素であり、地域間協力の枠組みを通じて農業資源や技術の共有を進めることで、地域全体としてさらなる安定性をもたらすことができます。

結論として、ブータンのキャベツ生産量の推移は、農業分野の成長と課題を反映しています。これをより持続可能で安定的なものにするには、政府および国際機関が協力して長期的な視点に立った対策を講じる必要があります。特に、技術の導入や輸出市場の多角化を進めることが、今後のブータンの経済発展や食料安全保障においてカギとなるでしょう。