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プエルトリコのキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月の更新データを元に、プエルトリコのキャベツ生産量は過去数十年にわたり大きく減少しています。1961年には3,220トンで始まった生産量は、一時的な増加を記録した後、1990年以降急激に減少し、2022年には181トンという水準まで落ち込みました。この減少傾向は地政学的背景や災害の影響、農業政策の変化など多くの要因が絡む複合的な問題と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 146
-18.9% ↓
2022年 181
-4.95% ↓
2021年 190
-4.95% ↓
2020年 200
88.17% ↑
2019年 106
-21.35% ↓
2018年 135
-48.57% ↓
2017年 263
-17.48% ↓
2016年 318
-7.72% ↓
2015年 345
11.9% ↑
2014年 308
-17.66% ↓
2013年 374
5.7% ↑
2012年 354
-6.87% ↓
2011年 380
10.18% ↑
2010年 345
18.31% ↑
2009年 292
-1.11% ↓
2008年 295
20.06% ↑
2007年 246
-1.91% ↓
2006年 250
31.77% ↑
2005年 190
-74.83% ↓
2004年 755
-46.45% ↓
2003年 1,410
-8.32% ↓
2002年 1,538
-20.93% ↓
2001年 1,945
107.36% ↑
2000年 938
40.21% ↑
1999年 669
44.49% ↑
1998年 463
-31.91% ↓
1997年 680
-40.04% ↓
1996年 1,134
11.18% ↑
1995年 1,020
5.59% ↑
1994年 966
63.73% ↑
1993年 590
8.46% ↑
1992年 544
-60% ↓
1991年 1,360
100% ↑
1990年 680
-70.02% ↓
1989年 2,268
-23.07% ↓
1988年 2,948
11.5% ↑
1987年 2,644
-2.87% ↓
1986年 2,722
-24.99% ↓
1985年 3,629
37.93% ↑
1984年 2,631
-7.94% ↓
1983年 2,858
1.64% ↑
1982年 2,812
-16.23% ↓
1981年 3,357
-14.93% ↓
1980年 3,946
8.74% ↑
1979年 3,629
14.3% ↑
1978年 3,175
20.68% ↑
1977年 2,631
5.45% ↑
1976年 2,495
10.01% ↑
1975年 2,268
-23.07% ↓
1974年 2,948
29.98% ↑
1973年 2,268
-35.9% ↓
1972年 3,538
18.17% ↑
1971年 2,994
17.87% ↑
1970年 2,540
5.39% ↑
1969年 2,410
-3.41% ↓
1968年 2,495
10.01% ↑
1967年 2,268
11.07% ↑
1966年 2,042
12.57% ↑
1965年 1,814
-29.33% ↓
1964年 2,567
-10.02% ↓
1963年 2,853
-15.01% ↓
1962年 3,357
4.25% ↑
1961年 3,220 -

1961年に3,220トンで始まったプエルトリコのキャベツ生産量は1960~1970年代には年間平均2,500トンから3,000トン付近で推移しました。この期間、キャベツはプエルトリコの農業生産において重要な作物の一つとされていました。しかし1980年代後半以降、繁栄期にあたる生産量の水準から急激な減少が確認されます。特に1990年代に入ると、1990年の680トンとそれ以前と比較して大幅に数量が落ち込みました。その後も低下傾向が続き、2020年代には200トン以下の水準に定着しています。

この生産量の変動には、いくつかの主要な背景と要因が存在します。まず、プエルトリコの地理的特性における限界農地問題が挙げられます。キャベツは比較的温暖な気候を好む作物ですが、他の競争作物と比べて収益性が比較的低い点が長年の生産衰退の理由となっています。加えて、ハリケーンなどの自然災害が農作物全体に大きな影響を与え、2017年のハリケーン・マリアのような非常に破壊的な嵐は、プエルトリコにおけるキャベツ生産に壊滅的な打撃を与えたと考えられます。

また、プエルトリコの農業産業全体が直面する課題として、農村地域の人口流出があります。工業化やサービス業の成長に伴い、農業従事者が他産業へ移行していることから、技術や労働力の不足に繋がりました。この問題は、キャベツ生産の競争力の低下に拍車をかける要因でもあります。

地政学的背景から見ると、プエルトリコはアメリカ合衆国の準州でありながら、国際的な市場競争において独立した農業政策を取る難しさがあります。これにより、地域間での価格競争や輸入品の影響が地元のキャベツ農業に負の影響を与える一因となっています。他国と比較すると、例えばアメリカでは農業支援政策が豊富に存在し、韓国や日本のような高収益型農業への移行も進めています。一方で、プエルトリコのような地域では輸入依存が高まり、地場農業が衰退していく傾向が懸念材料です。

未来に向けた具体的な課題として、まず地域農業の強化が挙げられます。これは現地の農家支援、育成プログラム、輸入依存からの脱却を目的とした政策を含みます。また、災害リスクを軽減する農法の導入や、先進的な農業技術を活用した効率的な生産システムの導入が求められます。さらに、地域間での協力体制の構築や、輸出基盤の確立も中長期的な解決策として必要でしょう。

結論として、プエルトリコのキャベツ生産量の長期的な減少は、自然災害、地政学的圧力、そして経済的条件の組み合わせの結果であり、この状態が改善されなければ今後より一層の衰退が生じる可能性があります。しかしながら、技術革新、農業支援政策、そして災害管理の面での取り組みを強化することで、ある程度の生産回復と安定が期待できると予測されます。国際的な協力と現地政府の積極的な関与が鍵となるでしょう。