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中国、香港特別行政区のキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が提供した最新データによると、中国、香港特別行政区のキャベツ生産量は、1961年の約39,783トンから1960年代後半に急増、その後1970年代はおおむね増加傾向が続きました。しかし、1980年代後半から劇的に減少し、その後は小規模な変動を見せつつ安定しています。2022年時点における生産量は771トンで、ピーク時である1981年の86,410トンと比較すると大幅に低下しています。この推移は地域の農業構造や土地利用の変化が大きな影響を与えた結果と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 770
-0.21% ↓
2022年 771
0.43% ↑
2021年 768
-0.22% ↓
2020年 770
-0.82% ↓
2019年 776
2.36% ↑
2018年 758
-2.16% ↓
2017年 775
-2.55% ↓
2016年 795
26.11% ↑
2015年 631
-24.58% ↓
2014年 836
-9.03% ↓
2013年 919
-3.25% ↓
2012年 950
5.56% ↑
2011年 900
4.65% ↑
2010年 860
1.18% ↑
2009年 850
-2.61% ↓
2008年 873
-2.4% ↓
2007年 894
5.21% ↑
2006年 850
0.29% ↑
2005年 848
9.06% ↑
2004年 777
8.92% ↑
2003年 713
6.23% ↑
2002年 672
33.01% ↑
2001年 505
-18.58% ↓
2000年 620
-26.02% ↓
1999年 838
-16.19% ↓
1998年 1,000
-33.33% ↓
1997年 1,500
-0.99% ↓
1996年 1,515
-14.21% ↓
1995年 1,766
37.97% ↑
1994年 1,280
-57.48% ↓
1993年 3,010
-9.34% ↓
1992年 3,320
-38.4% ↓
1991年 5,390
-57.92% ↓
1990年 12,810
-24.51% ↓
1989年 16,970
-38.76% ↓
1988年 27,710
-52.31% ↓
1987年 58,100
-10.2% ↓
1986年 64,700
4.3% ↑
1985年 62,030
-17.29% ↓
1984年 75,000
-6.25% ↓
1983年 80,000
-1% ↓
1982年 80,810
-6.48% ↓
1981年 86,410
14.15% ↑
1980年 75,700
-4.95% ↓
1979年 79,640
12.19% ↑
1978年 70,985
-13.22% ↓
1977年 81,800
7.22% ↑
1976年 76,295
6.75% ↑
1975年 71,470
6.67% ↑
1974年 67,000
1.52% ↑
1973年 66,000 -
1972年 66,000
8.2% ↑
1971年 61,000
10.91% ↑
1970年 55,000
5.77% ↑
1969年 52,000
13.04% ↑
1968年 46,000
-23.33% ↓
1967年 60,000
11.11% ↑
1966年 54,000
75.54% ↑
1965年 30,762
0.44% ↑
1964年 30,628
-16.89% ↓
1963年 36,851
-5.53% ↓
1962年 39,008
-1.95% ↓
1961年 39,783 -

中国、香港特別行政区における1961年から2022年のキャベツ生産量推移を見ると、まず注目すべきは1960年代後半から1970年代にかけての急増です。この急増は、人口増加に対応する食料需要や国内生産向上への取り組みが背景にあります。1966年の54,000トンから1975年の71,470トンへの増加は、農業技術の改良や耕作面積の拡大が寄与した結果と推測されます。1970年代末まで持続したこの傾向は、多くの国が同時期に経験した「緑の革命」の影響が反映されている可能性があります。

1980年代後半に生産量が顕著に減少した背景には、都市化による農地の減少や土地利用の変化が挙げられます。香港特別行政区は小規模な地域であり、都市の拡大とインフラ開発が農業用地を圧迫する要因となりました。1988年以降、キャベツ生産量は27,710トンから1990年には12,810トンと、わずか2年で半減しています。この時期の急激な変化は、経済成長に伴い一次産業から第三次産業への地域経済の構造転換が影響したと考えられます。

1990年代以降、キャベツ生産量はさらに減少を続け、2000年代には安定的な低水準で推移するようになりました。2022年時点でとどまる771トンの水準は、香港特別行政区が主要な農業産地というよりもむしろ輸入に依存する地域であることを示しています。香港の地理的特性や市場規模から判断すると、自給自足を目指すよりも流通網を介した輸入体制の整備が合理的とする判断が行われた可能性が高いです。

中国本土や他のアジア諸国と比較しても、香港のキャベツ生産量は極めて小規模です。例えば、中国全体ではキャベツが主要な栽培品目であり、全国で数千万トン単位の生産量があります。同様に、韓国や日本でもキャベツは需要の高い作物で、国内市場への供給の多くを国内生産で賄っています。一方、香港では全体の土地面積が限られているため、農業活動が地域経済に占める割合は極めて低い状況です。

気候変動や自然災害もまた、この地域の農業問題に影響を与えます。例えば、台風や豪雨がキャベツ収穫期を直撃すると、収穫物が大きな被害を受ける可能性があります。また、土地の狭小さゆえに、作物の多様性を確保する余裕が少ないという課題も存在します。

未来への提言としては、まず香港の気候や土壌に適した高収量や害虫耐性に優れた品種の研究開発が挙げられます。さらに、都市農業や垂直農業といった新しい技術を導入することで、限定的なスペースでも効率的にキャベツや他の作物を栽培できる可能性があります。同時に、香港域外との農業貿易をさらに強化し、地域全体の食料セキュリティの向上を目指すことも重要となるでしょう。

結論として、中国、香港特別行政区におけるキャベツ生産は、地域的特性や経済構造の変化を反映して小規模な生産へと推移してきました。ただし、今後の課題に対処するためには、持続可能な農業モデルの構築や、輸入依存度のバランスの調整といった多面的なアプローチが求められます。これにより、香港は地域の特質に合った柔軟な農業政策を展開できる可能性を秘めています。