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ニジェールの落花生生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が提供した2024年最新版のデータによると、ニジェールにおける落花生の生産量は、1961年以降大きく変動を繰り返しつつも、特に2000年代以降安定的に増加傾向を維持してきました。最も低かったのは1988年の12,921トンで、そこから長期的に回復を見せ、2022年には過去最高の670,613トンに達しました。ただし、2023年には455,000トンに大きく減少しており、この変化が今後の課題を暗示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 455,000
-32.15% ↓
2022年 670,613
29.27% ↑
2021年 518,784
-12.61% ↓
2020年 593,669
9.14% ↑
2019年 543,951
-8.45% ↓
2018年 594,162
28.65% ↑
2017年 461,842
1.82% ↑
2016年 453,577
6.14% ↑
2015年 427,324
5.94% ↑
2014年 403,365
17.68% ↑
2013年 342,772
17.46% ↑
2012年 291,826
-26.24% ↓
2011年 395,669
-2.6% ↓
2010年 406,245
60.26% ↑
2009年 253,497
-16.88% ↓
2008年 304,969
106.51% ↑
2007年 147,676
8.67% ↑
2006年 135,900
-2.25% ↓
2005年 139,035
-12.6% ↓
2004年 159,079
-24.02% ↓
2003年 209,369
36.19% ↑
2002年 153,729
87.46% ↑
2001年 82,006
-27.57% ↓
2000年 113,216
9.11% ↑
1999年 103,760
-7.47% ↓
1998年 112,136
26.81% ↑
1997年 88,428
-54.94% ↓
1996年 196,230
76.64% ↑
1995年 111,092
64.74% ↑
1994年 67,433
164.44% ↑
1993年 25,500
-55.34% ↓
1992年 57,100
24.69% ↑
1991年 45,794
161.19% ↑
1990年 17,533
-31.3% ↓
1989年 25,522
97.52% ↑
1988年 12,921
-68.12% ↓
1987年 40,530
-32.45% ↓
1986年 60,000
10.09% ↑
1985年 54,500
81.67% ↑
1984年 30,000
-59.29% ↓
1983年 73,700
-15.77% ↓
1982年 87,500
-14.05% ↓
1981年 101,800
-19.27% ↓
1980年 126,100
42.54% ↑
1979年 88,468
-8.61% ↓
1978年 96,800
17.62% ↑
1977年 82,300
3.91% ↑
1976年 79,200
89.66% ↑
1975年 41,760
-67.65% ↓
1974年 129,085
67.52% ↑
1973年 77,056
-70.39% ↓
1972年 260,200
1.44% ↑
1971年 256,500
25.37% ↑
1970年 204,600
-1.11% ↓
1969年 206,900
-18.03% ↓
1968年 252,418
-15.39% ↓
1967年 298,335
-4.35% ↓
1966年 311,900
12.79% ↑
1965年 276,535
50% ↑
1964年 184,356
-16.33% ↓
1963年 220,330
7.28% ↑
1962年 205,370
22.98% ↑
1961年 167,000 -

ニジェールはサヘル帯に位置する内陸国で、多くの人々の生計が農業に依存しています。その中でも落花生は食用油の原料や輸出品として重要な作物の一つです。FAOのデータが示すように、落花生生産量はこの60年以上にわたり劇的な変動を見せてきました。特に1970年代から1980年代にかけて、深刻な干ばつや政治不安、他の作物への依存などが影響し、生産量が一時的に大幅に低下しました。例えば、1973年、1975年、1984年などの期間では大規模な減少が記録されています。一方、2000年代以降は農業技術の改善や気候対応政策、多国間支援の拡大などが成果を上げ、生産量の増加につながっています。

特筆すべき点は、2016年以降の急速な生産量の拡大です。この背景には、政府と国際NGOの協力による灌漑設備の整備や、耐乾性の高い品種の導入があったと考えられます。しかし、2023年のデータでは455,000トンに減少しており、これは2022年と比較して約32%もの減少を示しています。この変化については、干ばつやその他の気候変動の影響、または農業労働力の流出など複合的な要因が考えられます。特に、2024年時点においても気候変動の脅威がニジェールの農業に与える影響は軽視できないものです。

ニジェールの落花生生産を持続可能に維持・拡大するためにはいくつかの課題があります。第一に、気候変動に対応するためのさらなる資源投入が必要です。灌漑技術や天候予測のためのデジタル技術を積極的に取り入れるべきです。第二に、生産性向上を目的とした農民教育や肥料、種子の供給体制を強化する必要があります。第三に輸出市場をより積極的に開拓し、収益を改善することが重要です。他国との貿易交渉を積極的に進めながら、特にヨーロッパやアジア市場へのアクセスを拡大するべきです。

同時に地政学的課題も認識しなければなりません。ニジェールでは、政情不安や地域紛争が農業活動を妨げる要因となっており、これが国内及び輸出市場への影響を招いています。国際社会は、ニジェールへの紛争予防や平和的介入を支援し、地域の安定をもたらす枠組みを提案することが求められています。

総合的に見ると、落花生の生産量はニジェールの農業における希望の灯です。2022年の670,613トンという記録的な好成績は、適切な政策と技術的支援が持つ可能性を端的に示しています。しかし、2023年の急激な減少は、持続性を求めるためのさらなる努力が必要であることを物語っています。今後、地球規模の課題に即応した地域的あるいは国際的な協力が、ニジェールの農業と落花生産業の将来を左右する鍵となるでしょう。

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