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ボツワナの豚飼育数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ボツワナの豚飼育数は1961年の5,400頭から始まり、1970年代に一時的な急増を見ましたが、その後、大きな変動を経ながら長期的に減少する傾向を示しています。2022年には、わずか1,375頭にとどまりました。この半世紀以上のデータから、農業構造や環境問題、政策の変遷が豚飼育の動向に大きな影響を及ぼしている様子がうかがえます。

年度 飼育数(頭) 増減率
2023年 8,500
518.18% ↑
2022年 1,375
-2.83% ↓
2021年 1,415
-25.13% ↓
2020年 1,890
-23.33% ↓
2019年 2,465
-13.11% ↓
2018年 2,837
97.43% ↑
2017年 1,437
-61.24% ↓
2016年 3,707
-15.71% ↓
2015年 4,398
18.86% ↑
2014年 3,700
22.39% ↑
2013年 3,023
24.05% ↑
2012年 2,437
-49.91% ↓
2011年 4,865
62.17% ↑
2010年 3,000
-77.45% ↓
2009年 13,302
-2.65% ↓
2008年 13,664
-17.76% ↓
2007年 16,614
38.45% ↑
2006年 12,000
20% ↑
2005年 10,000
42.86% ↑
2004年 7,000
75% ↑
2003年 4,000
-46.67% ↓
2002年 7,500
50% ↑
2001年 5,000 -
2000年 5,000
25% ↑
1999年 4,000 -
1998年 4,000
100% ↑
1997年 2,000
-33.33% ↓
1996年 3,000
200% ↑
1995年 1,000
-71.43% ↓
1994年 3,500
-12.5% ↓
1993年 4,000
-52.94% ↓
1992年 8,500
-34.62% ↓
1991年 13,000
-19.75% ↓
1990年 16,200
6.58% ↑
1989年 15,200
18.75% ↑
1988年 12,800
14.29% ↑
1987年 11,200
1.82% ↑
1986年 11,000
22.22% ↑
1985年 9,000
16.13% ↑
1984年 7,750
55% ↑
1983年 5,000 -
1982年 5,000 -
1981年 5,000
-16.67% ↓
1980年 6,000
-4.76% ↓
1979年 6,300
-37.62% ↓
1978年 10,100
-22.31% ↓
1977年 13,000
-13.33% ↓
1976年 15,000
-6.25% ↓
1975年 16,000
-5.88% ↓
1974年 17,000
6.25% ↑
1973年 16,000
4.57% ↑
1972年 15,301
-2.71% ↓
1971年 15,728
85.04% ↑
1970年 8,500
-20.67% ↓
1969年 10,715
29.02% ↑
1968年 8,305
3.81% ↑
1967年 8,000
8.11% ↑
1966年 7,400
5.71% ↑
1965年 7,000
7.69% ↑
1964年 6,500
6.56% ↑
1963年 6,100
5.17% ↑
1962年 5,800
7.41% ↑
1961年 5,400 -

ボツワナの豚飼育数は、データの最初に記録された1961年、5,400頭という小規模からスタートしました。その後、1971年に15,728頭へと急増し、1974年には記録的な17,000頭に達しました。しかし、1979年以降、飼育数は急激に減少し、1990年代半ばには1,000~5,000頭の範囲に停滞しました。そして、ここ数十年ではさらに漸減しており、2022年には1,375頭にまで縮小しています。

これらの動向にはいくつかの要因が考えられます。まず、乾燥気候が特徴的なボツワナの環境条件が、豚の飼育にとって必ずしも理想的ではないということが挙げられます。特に、水資源の不足や農地の確保の困難さが、大規模な畜産を妨げている可能性があります。また、1970年代の急増は、農業および畜産のモダニゼーションや外国からの技術援助の影響を受けたと考えられますが、その後、インフラや資金面で持続可能性を欠き、減少に転じた可能性があります。

さらに、地政学的な背景も注目すべきです。ボツワナは内陸国であり、隣接する南アフリカに依存する輸送や市場構造が畜産活動の拡大を制約している可能性があります。また、豚の飼育に関わる疫病リスクや、それに伴う管理コストの増大も、農家の意欲を低下させた要因として考えることができます。

データのなかでも特に2010年以降、飼育数が劇的に減少したことは注目に値します。この背景には、ボツワナ国内の農業および畜産政策の変化、急速な都市化進行、さらには近年の気候変動の影響がある可能性があります。また、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックも、家畜市場や供給チェーンに打撃を与え、2020年以降のさらなる減少を招いた可能性があります。

このような現状を踏まえると、いくつかの課題が浮き彫りになります。一つは、持続可能な農業モデルの必要性です。乾燥気候や水不足への対応として、効率的な給水システムの構築や作物・飼料の選定など、より適応性の高い農業技術の導入が求められます。加えて、政府や国際機関の協力のもと、地元農家への技術支援や金融政策を強化し、農業セクターの活性化を図ることが重要です。

具体的対策としては、第一に地域協力を強化し、南部アフリカ各国と連携して畜産や家畜病の防除に取り組む枠組みを整える必要があります。第二に、教育やトレーニングプログラムを通じて、地域住民が新しい飼育方法や技術にアクセスできる機会を増やすことが重要です。また、気候変動への適応策として、より耐久性のある家畜品種の育成や革新的な水管理技術の導入を推進するべきです。

結論として、ボツワナにおける豚飼育数の推移は、地域的およびグローバルな要因が複雑に絡み合った結果を反映しているといえます。この動向を改善し、持続可能な畜産を実現するためには、多面的なアプローチが必要です。政府、地元コミュニティ、そして国際的なパートナーが連携し、気候変動、経済発展、技術革新に対応した包括的な戦略を策定することが鍵となるでしょう。