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ソロモン諸島の牛乳生産量推移(1961年~2022年)

ソロモン諸島の牛乳生産量は、1960年代は急速に増加し、その後1977年以降長期間一定の水準で推移しました。1991年には大幅な増加がみられ、それ以降は緩やかな増加傾向にあります。2022年の生産量は3,053トンで、過去比較の中でも比較的高い水準を維持しています。ただし、2000年代後半からは横ばいの傾向が強まり、生産の伸びが停滞していることも伺えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 3,053
0.24% ↑
2021年 3,045
0.24% ↑
2020年 3,038
0.22% ↑
2019年 3,031
0.49% ↑
2018年 3,016
-2.45% ↓
2017年 3,092
0.04% ↑
2016年 3,091
0.14% ↑
2015年 3,086
0.23% ↑
2014年 3,079
1.51% ↑
2013年 3,033
-0.43% ↓
2012年 3,046
0.46% ↑
2011年 3,032
0.01% ↑
2010年 3,032
0.01% ↑
2009年 3,032
0.01% ↑
2008年 3,031
0.01% ↑
2007年 3,031
3.84% ↑
2006年 2,919
2.65% ↑
2005年 2,843
0.06% ↑
2004年 2,841
-1.7% ↓
2003年 2,891
4.59% ↑
2002年 2,764
0.06% ↑
2001年 2,762
0.06% ↑
2000年 2,760
0.06% ↑
1999年 2,758
0.06% ↑
1998年 2,757
0.06% ↑
1997年 2,755
0.06% ↑
1996年 2,753
0.14% ↑
1995年 2,749
17.77% ↑
1994年 2,334
-15.05% ↓
1993年 2,748
0.06% ↑
1992年 2,746
0.06% ↑
1991年 2,744
106.76% ↑
1990年 1,327
2.1% ↑
1989年 1,300 -
1988年 1,300 -
1987年 1,300 -
1986年 1,300 -
1985年 1,300 -
1984年 1,300 -
1983年 1,300 -
1982年 1,300 -
1981年 1,300 -
1980年 1,300 -
1979年 1,300 -
1978年 1,300 -
1977年 1,300
17.65% ↑
1976年 1,105
6.25% ↑
1975年 1,040
6.67% ↑
1974年 975
7.14% ↑
1973年 910
7.69% ↑
1972年 845
8.33% ↑
1971年 780
9.09% ↑
1970年 715
10% ↑
1969年 650
11.11% ↑
1968年 585
5.88% ↑
1967年 553
6.25% ↑
1966年 520
6.67% ↑
1965年 488
7.14% ↑
1964年 455
7.69% ↑
1963年 423
4.84% ↑
1962年 403
3.33% ↑
1961年 390 -

ソロモン諸島の牛乳生産量の推移は、この国の農業体制や経済状況、さらには社会構造の変化を反映した重要な指標の一つです。1960年代から1970年代半ばにかけての生産増加は、新たな農業技術の導入や輸入飼料の拡大、政府による農業基盤の整備などが背景にあります。しかし、1977年以降、生産量が約1,300トンで一時的に停滞しているのは、農業への政府投資が縮小したことや、経済的な制約、さらには諸島特有の地理的な制約が大きかったと考えられます。

1991年に約2倍に跳ね上がるような大幅な増加が見られますが、これはこの時期に導入された乳牛の改良種やその飼育手法が成功を収めたためと推測されます。同時期、ソロモン諸島政府や国際機関が連携して行った農業生産拡大プロジェクトもこの変化に寄与したと考えられます。その後の1990年代後半から2000年代にかけては、緩やかに増加するものの、それ以降の伸び率は限定的です。

近年の3,000トン前後の生産量は安定しているものの、インド(世界最大牛乳生産国)やアメリカ、中国などの主要生産国に比べ、非常に小規模であることが明らかです。日本と比較すると、日本は年間約800万トンを生産しており、ソロモン諸島の規模とは桁違いの生産量を誇ります。このように、世界各国と比べてソロモン諸島の乳業規模は小さく、主に自給自足や地域内消費を目的としていると考えられます。

また、2020年以降の新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、生産量に大きく影響を与えるリスクがありましたが、ソロモン諸島では幸いなことに明確な生産低下は見られませんでした。これは、地域ごとに少ない輸入依存度の中で自給生産の仕組みが機能していた結果といえそうです。

今後の課題として、地政学的リスクによる輸送や資材供給の不安定性、気候変動による干ばつや台風などの自然災害、乳牛の改良や飼育における技術の停滞が生産に影響を及ぼす可能性が挙げられます。特に、気候変動は牧草の育成や水の供給に悪影響を与え、牛乳生産全体を脅かす問題として注目が必要です。

具体的な対策としては、まず地域特有の気候や土地条件に合致した丈夫な乳牛品種の普及や持続可能な牧草管理が求められます。また、小規模な生産者を支援するための協同組合制度の強化や、地域間での資源共有ネットワークの増強も有益です。さらに、国際機関や他国と協力し、農業技術や資材を共有する枠組みを構築することが生産効率を高める鍵となります。

結論として、ソロモン諸島の牛乳生産は、この国の農業と経済において重要な役割を果たしてはいるものの、規模や成長の点で他国との差が大きいことが明確です。この現状を受けて、持続可能な生産体制を強化することが国と地域社会の発展に寄与するでしょう。そのためには、政府と地域社会、さらには国際的な協力関係を一層強化する必要があります。