国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、サモアの牛乳生産量は1961年の700トンから2022年の1,661トンまで、大きな変動を伴いながら推移してきました。特に、1980年代後半から2000年代初頭にかけてはある程度の安定が見られる一方、2015年以降からは再び変動が増しています。2022年の生産量は、前年2021年の1,682トンからわずかに減少しましたが、近年の平均的な生産量を維持しています。
サモアの牛乳生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 1,661 |
2021年 | 1,682 |
2020年 | 1,499 |
2019年 | 1,547 |
2018年 | 1,673 |
2017年 | 1,751 |
2016年 | 1,811 |
2015年 | 1,971 |
2014年 | 1,817 |
2013年 | 1,485 |
2012年 | 1,485 |
2011年 | 1,480 |
2010年 | 1,500 |
2009年 | 1,583 |
2008年 | 1,360 |
2007年 | 1,359 |
2006年 | 1,358 |
2005年 | 1,357 |
2004年 | 1,356 |
2003年 | 1,329 |
2002年 | 1,301 |
2001年 | 1,301 |
2000年 | 1,500 |
1999年 | 1,450 |
1998年 | 1,350 |
1997年 | 1,243 |
1996年 | 1,242 |
1995年 | 1,241 |
1994年 | 1,300 |
1993年 | 1,250 |
1992年 | 1,200 |
1991年 | 1,250 |
1990年 | 1,200 |
1989年 | 1,300 |
1988年 | 1,300 |
1987年 | 1,300 |
1986年 | 1,000 |
1985年 | 1,100 |
1984年 | 1,000 |
1983年 | 1,000 |
1982年 | 1,000 |
1981年 | 1,000 |
1980年 | 1,000 |
1979年 | 800 |
1978年 | 600 |
1977年 | 600 |
1976年 | 600 |
1975年 | 600 |
1974年 | 620 |
1973年 | 586 |
1972年 | 600 |
1971年 | 500 |
1970年 | 500 |
1969年 | 500 |
1968年 | 500 |
1967年 | 500 |
1966年 | 500 |
1965年 | 1,055 |
1964年 | 1,125 |
1963年 | 703 |
1962年 | 703 |
1961年 | 700 |
サモアの牛乳生産量データは、同国の農業生産の変化や政策、地理的条件を反映しています。1961年から2022年にかけての推移には、生産技術や社会情勢、自然環境の変化が影響していると考えられます。1961年当時、サモアの生乳生産量は700トンと控えめな規模でしたが、その後1964年には急激に1,125トンに増加しました。その後数年間、500トン台に落ち込む時期が続き、この期間はおそらく農業政策や災害などによる影響が考えられます。
1960年代後半から1970年代後半にかけては、生産量は一貫して500〜600トンの間で推移しており、地元の乳製品需要や土地利用の優先順位が定まらなかった側面があるようです。しかし、1979年以降、800トン、1,000トンと徐々に回復基調に転じます。これは、酪農業の改善やインフラ整備の効果、あるいは輸入品に依存しない食料自給の目標が一因と考えられます。
特に1985年以降の1,000トンを上回る安定した生産量の時期(1985年〜2000年)は注目すべきポイントです。この期間には驚異的な生産性の向上が期待された時期であり、国内経済にとって酪農業の重要性が増していたことを示しています。一方、1990年代末以降には1,450トン、2000年には1,500トンへと着実に増加をみせました。
2000年代半ばからは、少しずつ生産量が横ばいまたは漸増し、1,300〜1,350トン付近で推移していました。しかし、2009年には1,583トンに増加、2015年には1,971トンを記録し、1961年からのデータで最大の生産量となりました。この頃、酪農産業の発展や新たな技術の普及、また輸出市場に対する需要拡大政策の影響を受けたと考えられます。
近年においては、2015年をピークに次第に緩やかな下降傾向を示しています。2019年〜2022年にかけても多少の変動はありますが、2022年時点の1,661トンは、過去10年間での平均水準に近い値です。この減少傾向には、農業従事者の減少や気候変動、さらには新型コロナウイルスの影響も絡んでいる可能性があります。パンデミックにより物流や労働力供給が制限を受けた結果、酪農業に悪影響が出た可能性も指摘されています。
こうしたデータから、サモアの牛乳生産にはいくつかの課題が見受けられます。まず一つは、安定的な生乳供給を可能にするためのインフラ整備や資金調達の継続です。気候条件や災害に強い牧草地や牛の飼育環境を整えるとともに、効率的な搾乳技術の導入を進めることが重要です。また、若者の酪農業への関心を喚起し労働力を確保するための教育や支援政策も必要です。
さらに、生産した牛乳の品質向上と国内外マーケットの拡大を両立させる対策が求められます。地域協力を活用し、他の太平洋諸国と連携して乳製品市場の強化を図るのも良策と言えるでしょう。例えば、国際的な協力枠組みを活用して、将来的に輸出可能な乳製品加工の技術を導入することは、サモアの経済的発展にも寄与します。
結論として、サモアの牛乳生産推移データは、同国の酪農業が一定の成長を遂げながらも、多くの潜在的な改善の余地を持っていることを示しています。国際的な支援と輸出市場を活用しながら、持続可能な生産体制を築くことが、今後の発展の鍵になると考えられます。