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アラブ首長国連邦の牛乳生産量推移(1961年~2022年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、アラブ首長国連邦の牛乳生産量は1961年に15,300トンだったのに対し、2022年には242,006トンとなり、約16倍の増加を記録しました。このデータから、時代を経て牛乳生産が持続的に成長している様子が明らかです。ただし、2017年以降は大幅な変動も見られ、一部の年で生産量が減少している点が注目されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 242,006
1.37% ↑
2021年 238,727
-7.15% ↓
2020年 257,100
11.69% ↑
2019年 230,190
0.57% ↑
2018年 228,890
-5.7% ↓
2017年 242,730
34.47% ↑
2016年 180,510
4.04% ↑
2015年 173,500
1.5% ↑
2014年 170,930
21.28% ↑
2013年 140,940
-0.99% ↓
2012年 142,350
15.4% ↑
2011年 123,350
16.07% ↑
2010年 106,270
-19% ↓
2009年 131,200
12.14% ↑
2008年 117,000
6.9% ↑
2007年 109,448
0.88% ↑
2006年 108,495
0.86% ↑
2005年 107,566
10.22% ↑
2004年 97,590
0.47% ↑
2003年 97,138
5.26% ↑
2002年 92,288
5.55% ↑
2001年 87,436
5.98% ↑
2000年 82,502
6.62% ↑
1999年 77,382
6.3% ↑
1998年 72,797
7% ↑
1997年 68,034
7% ↑
1996年 63,584
7% ↑
1995年 59,424
7% ↑
1994年 55,537
11.53% ↑
1993年 49,795
5.72% ↑
1992年 47,100
3.89% ↑
1991年 45,337
7% ↑
1990年 42,371
7% ↑
1989年 39,600
8.2% ↑
1988年 36,600
7.96% ↑
1987年 33,900
7.79% ↑
1986年 31,450
4.1% ↑
1985年 30,212
5.58% ↑
1984年 28,614
3.67% ↑
1983年 27,600
6.56% ↑
1982年 25,900
4.76% ↑
1981年 24,722
3.19% ↑
1980年 23,958
11.69% ↑
1979年 21,450
1.31% ↑
1978年 21,173
19.24% ↑
1977年 17,756
16.55% ↑
1976年 15,235
-8.5% ↓
1975年 16,650
-2.92% ↓
1974年 17,150
-2.28% ↓
1973年 17,550
1.15% ↑
1972年 17,350
-1.14% ↓
1971年 17,550
3.54% ↑
1970年 16,950
3.99% ↑
1969年 16,300
1.24% ↑
1968年 16,100
4.89% ↑
1967年 15,350
-2.23% ↓
1966年 15,700
0.32% ↑
1965年 15,650
0.97% ↑
1964年 15,500
0.32% ↑
1963年 15,450
0.85% ↑
1962年 15,320
0.13% ↑
1961年 15,300 -

アラブ首長国連邦(UAE)は、砂漠地帯の国として自然資源が限られる厳しい地理的環境において独自の農業発展を遂げてきました。この国の牛乳生産量は1960年代初頭には年間15,000トン台で安定していましたが、1970年代後半から急速な成長を遂げています。特に1980年代以降、25,000トンを突破し、2000年代には10万トン、そして2022年には24万トンを超える規模に達しています。この成長の背景には、国内の消費需要の拡大、持続可能な農業技術の導入、そして政府による農業支援政策が挙げられます。

特筆すべきポイントとして、2017年には242,730トンという記録的な生産量を達成しました。この後、2018年から2021年にかけて減少傾向が見られましたが、2022年には再び回復を見せています。この変動は、一部には地域での需給バランスの変化や、新型コロナウイルス感染症の影響、輸出入政策の調整の影響があったと考えられます。たとえば、パンデミックは物流や国際市場に障害をもたらし、一時的な牛乳生産の制約につながった可能性があります。

UAEの地政学的背景も、牛乳生産に影響を与えています。同国は湾岸協力会議(GCC)諸国に属しており、地域の他国との協力が重要な役割を果たしています。特に、UAEは食糧安全保障戦略を掲げており、輸入に大きく依存してきた歴史を背景に、自給率向上を目指した乳製品などの生産基盤の強化が進められています。さらに、人口増加や観光業の発展が国内消費の需要拡大を促し、この分野の発展を後押ししています。

今後の課題として考えられるのは、環境負荷の軽減と持続可能性の実現です。UAEでは淡水の不足が深刻な問題であり、大規模な畜産業の拡大は水資源消費の増加につながるため、細心の注意が必要です。また、異常気象や砂漠化といった自然環境の変化も、家畜の健康や農業生産に直結するリスクです。これに対応するためには、再生可能エネルギーを活用した乳製品製造や、スマート農業技術の導入が有効な解決策となるでしょう。

さらに、他国との比較から考察すると、日本や韓国などの水田作物中心の農業国と異なり、UAEは牧草地が限られるため、人工飼料の使用が不可欠です。ヨーロッパ諸国、特にフランスやドイツでは、広大な農地と牧草地を基盤とした乳牛生産が行われているため、UAEと異なり自然環境の制約が少ないのが特徴です。このような差異は、UAEが技術革新による生産効率化を優先しなければいけない現実を浮き彫りにしています。

結論として、UAEの牛乳生産量は過去数十年で驚異的な増加を遂げてきた一方で、環境的限界や需給の微妙な変化に直面しています。今後、持続可能な生産方法を模索するとともに、輸入依存度を減らし、国内生産の安定化を図ることが長期的な課題となります。政策提言として、環境負荷を最小限に抑えるための技術投資や、地域内での食糧供給の協力体制強化が推奨されます。国際社会や専門機関の協力のもと、UAEがこれらの課題を克服し、より持続的な乳製品生産を実現することが期待されます。