Skip to main content

ニジェールの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ニジェールの牛乳生産量は1961年の約20万1千トンから2022年の約131万2千トンまで増加しており、長期的には顕著な上昇傾向を示しています。しかし、近年では2020年をピークに減少傾向がみられます。これには気候変動、地域情勢の変化、そして社会経済的な課題が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 1,312,846
-7.54% ↓
2021年 1,419,843
-6.03% ↓
2020年 1,510,963
4.81% ↑
2019年 1,441,575
4.79% ↑
2018年 1,375,638
4.77% ↑
2017年 1,312,972
4.75% ↑
2016年 1,253,407
4.73% ↑
2015年 1,196,784
18.58% ↑
2014年 1,009,300
3.38% ↑
2013年 976,305
-3.6% ↓
2012年 1,012,713
4.65% ↑
2011年 967,677
-0.01% ↓
2010年 967,820
1.03% ↑
2009年 957,913
4.62% ↑
2008年 915,651
4.54% ↑
2007年 875,916
4.61% ↑
2006年 837,330
4.53% ↑
2005年 801,021
4.51% ↑
2004年 766,484
4.48% ↑
2003年 733,601
4.46% ↑
2002年 702,286
4.43% ↑
2001年 672,465
4.41% ↑
2000年 644,058
4.38% ↑
1999年 617,007
4.36% ↑
1998年 591,208
4.34% ↑
1997年 566,635
4.31% ↑
1996年 543,214
3.45% ↑
1995年 525,087
5.1% ↑
1994年 499,599
4.24% ↑
1993年 479,300
4.21% ↑
1992年 459,941
15.14% ↑
1991年 399,474
-5.75% ↓
1990年 423,856
39.52% ↑
1989年 303,800
4.37% ↑
1988年 291,080
8.14% ↑
1987年 269,160
6.8% ↑
1986年 252,020
5.66% ↑
1985年 238,520
-21.86% ↓
1984年 305,250
-27.54% ↓
1983年 421,250
15.16% ↑
1982年 365,800
4.86% ↑
1981年 348,830
1.56% ↑
1980年 343,460
2.86% ↑
1979年 333,920
3.81% ↑
1978年 321,660
3.29% ↑
1977年 311,410
3.44% ↑
1976年 301,060
9.28% ↑
1975年 275,495
11.46% ↑
1974年 247,180
18.07% ↑
1973年 209,350
-16.48% ↓
1972年 250,660
-12.03% ↓
1971年 284,925
-4.89% ↓
1970年 299,560
9.17% ↑
1969年 274,400
6.15% ↑
1968年 258,500
2.3% ↑
1967年 252,700
3.14% ↑
1966年 245,000
6.24% ↑
1965年 230,600
3.5% ↑
1964年 222,800
3.72% ↑
1963年 214,800
3.27% ↑
1962年 208,000
3.28% ↑
1961年 201,400 -

ニジェールの牛乳生産量は、約60年間にわたり、ゆるやかではありますが安定した成長を遂げてきました。1961年にはおよそ20万1千トンであった生産量は、徐々に増加し、2020年には150万トンを超える水準に到達しました。この増加傾向は、人口増加に伴う乳製品需要の拡大、家畜飼育技術の改善、および農業政策の影響によるものと考えられます。ただし、1970年代や1980年代には、生産量が大幅に減少する年もあり、特に1971年から1975年、そして1984年から1985年にかけての減少は、干ばつや食料供給問題と密接に関連しています。

近年のデータを見ると、2020年の151万トンをピークとして翌年から生産量が下降し始め、2022年には約131万トンまで落ち込んでいます。この減少は、気候変動の影響による牧草や水資源の不足、さらにサヘル地域における紛争や政治的不安定性が背景にあると考えられます。これにより、乳牛の健康状態が悪化し、生産環境が劣化した可能性が指摘されています。

さらに、2022年における生産量の減少は、COVID-19のパンデミックや、輸送や供給網の混乱など、グローバルな問題とも関連しています。また、ニジェールの多くが農村地帯であることから、インフラ整備の遅れや輸送手段の不足が農業生産の成長を制限する一因となっています。

国際的な比較として、ニジェールの牛乳生産量は日本(2020年時点で約894万トン)やアメリカ(9818万トン)といった主要な乳製品生産国に比べると非常に少ない規模です。しかし、地域の経済水準や自然条件を考えると、これまでの増加は一定の成功であると評価できます。西アフリカ地域全体を見ると、ニジェールの増加傾向は、地域内での需要増とともに協力的な政策が影響しているとも考えられます。

課題としては、まず牧草地や水源の保全に向けた環境政策が急務です。気候変動の影響を最小限に抑えるためには、持続可能な農業技術を導入し、乾季でも持続可能な飼料供給を確保することが不可欠です。また、農家に対する技術研修や金融支援を提供し、地域間での安定した牛乳の取引を促進するべきです。加えて、政府やNGOが協力し、サヘル地域での紛争を緩和し、農業生産基盤を安定化させるための具体的な取り組みが求められます。

未来に向けた具体的な提言として、ニジェールは隣国や国際機関との協力を強化し、地域でのリソース共有を進めることが大切です。例えば、放牧技術の改良、水資源の持続可能な利用、そして輸送インフラの拡充などが重要です。さらに、グローバル市場での乳製品供給の競争力を高めるため、乳製品の加工産業の育成にも投資するべきです。

結論として、ニジェールの牛乳生産量は長期的な増加傾向を維持してきたものの、最近の減少は自然および社会の双方に由来する課題の深刻さを反映しています。将来的に持続的な生産性向上を実現するには、国際的な支援と国内政策の両方が必要です。特に、資源の効率的活用と農業関係者への支援体制の整備が、同国の牛乳生産の回復と安定に繋がるでしょう。